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〈第六話〉 犯人候補



「43番ちゃんがお薬?」






そういって、不思議そうにくりさんが大きなラベンダーの瞳で見つめてきた。

今はまだ昼ご飯が終わった後。窓からの温かい風に揺らされているカーテンに、水の中で輝きを取り戻している食器たちがぶつかりあって奏でる音に、昼ご飯でのスープによっての満腹感でいつでも寝られそうなほど心地よい時間。


「うん!レイ的には、真面目さんは病気か毒で死んだんだと思うんだ!!」


現在進行系で食器を洗ってくれてるくりさんは事件解決を目指すレイさんから事情聴取をされている。わたしことライナはもう少し後で話そうって止めようとしたけど、どうしても今確かめたかったみたい。


「そうね〜。そんな素振りは一回も見たことないわ。」

「むむー。。ってことは、病気はないのかなー?」

「そもそも、朝に同室の皆さんに聞いて違うって言ってたじゃん。」


そう。今日は日が昇った瞬間からずっと調査をレイさんによってやらされていた。

もう膝から崩れ落ちちゃいそうなほど疲れちゃった。早くお布団に入って寝たいよお。。

あと、もと引きこもりの体力を舐めないでえ。。。


「確認だよ〜!確認!」


レイさんはノートにペンを走らせた。手には紙によってか、小さな切り傷に覆われている。

昨日の39番さん、43番さんの殺人事件を解決するのにレイさんはすっごく頑張っているからかな。きっと、レイさんはわたしや他の魔女の安全のためにやってるんだと思う。


(いいなあ。。)


ふと、心のなかで呟いた。誰か他の人のためにあそこまで頑張れるのはすごいことだと思う。ちらっと自分の手も眺める。誰かから聞いたことがある。手はその人の心を表してるんだって。白くて綺麗な二人の手に比べて、私のは尖った爪に血がついたままの肌。

やっぱり、やっぱりわたしは。。。。


「そういえば、犯人候補はいるの?例えば、39番ちゃんと同室の『96番』とか。」

「えっ!?あっ。。えっと。。確かに、犯人候補についてはまだ。。。」


くりさんの急な問いかけに驚いて、反射的に手を後ろに隠した。いや、隠してしまった。

今の手をくりさん、ましてレイさんに見られたら。。。わたしはきっと。。。


「えーっと、確か39番ちゃんを最後に見たのは96番ちゃんよ。彼女が上のベッドに入るところを見たらしいわね。あっ、あと、窓の外が暗くて深い、神聖な青色に染まってたっとか言ってたわ。」

「あ、私も青い空を見ました。わたしは39番さんにいたずらされて腹を立てたあとすぐに部屋に入ったときに綺麗な青色を見たのを覚えてます。」

「ってことは、いたずらさんはライナにいたずらしたあと、すぐに寝たってことだね。」


いつの間にかノートを取り終わったレイさんが、横からドヤ顔で言った。

確かに39番さんがその後すぐに扉を閉めた音がしてた気がする。


「死体が発見されたのは次の日の朝だから、その間に殺されたのね。」

「ってなると、レイとライナはアリバイがあるね!」

「それに加えて、私とさよさんそれにわーさんも同じ時間帯に寝たし白ってことね。」


くりさんが食器を一つ持ち上げて、大事に持ってきてた茜色のアタッシュケースから出した布切れでキュキュっと優しく拭き始めた。布切れには人魚姫の刺繍がされていて、とてもかわいらしい。拭くのに使うのにはもったいないほど心のこもってるハンカチだった。


「ん〜?ちょっとまって。」

「どうしたの?」

「寝た後にまた起きたかもしれないじゃん?だから、アリバイが確実かは。。」


レイさんがそういうと体をぐねっと曲げながら、はっとしたような顔をした。

言われてみたら、あり得る気がする。でも、そしたら全員できちゃうんじゃあ。。


「その可能性は少ないと思うわ。だって、二階は音がよく響くでしょう?扉を開けたら他の人が気づくと思うの。」

「確かに。。ってなると、同室の96番さんしかできないんじゃ。。!?」


レイさんの言葉にくりさんもゆっくりどこか悲しそうな瞳で頷いた。

本当に。。本当に96番さんがやったのかなあ。。なにか違うような。。


「。。。。。あっ。もしかして、犯人は魔法を使ったとか。。?透明化とか幽体離脱とか。そしたら、他の人にもできるよ。」

「でも、二階じゃ魔法は使えないよ〜?」

「うぐっ。」


そうだったああ。。。うう。。手助けになれたと思ったのに。。。そんなああ。。

わたしは頭を抱えて、座り込んだ。わたしだけが足手まといになってる気があ。。


「それじゃあ、やっぱり96番ちゃんなのね。」

「うん。そういうことになっちゃうね。」

「ただうざいだけで、そんな、人殺しなんて。。そんなことしないと思ったのに。。。残念だわ。。」


まさか、あの自慢話ばっかりの96番さんが39番さんを。。

でも、なんで。。だろう。なんか、なんか変な気持ち。なんか心がもぞもぞ?してる感じでなんか変だなあ。。。


「ねえ、ねえ。そういえば、あそこにある小さな扉なんなの〜?」


ふと、レイさんが後ろの方にあった古びた扉を指さした。横には使い古された竈と鍋が置いてあってどこか懐かしい気分になる。


「あー。あれはね、ただの物置よ。でも、古すぎて誰も使ってないわ。」

「そうなんだ〜!」


言われてみれば、つるや苔もついてて色褪せてもいる。そうとう古いのか、それとも手当をされなかったんだと思う。かわいそうだなあ。


「にしても、ここは元々誰かが住んでたのかしら。キッチンも使い古されたものばかりだし。」


くりさんが独り言のように呟いた。

手にもっていたハンカチをぎゅっと握りしめていて、瞳は扉に釘付けだった。


本当にこの寮、いや屋敷は可笑しい。

ふわふわな壁に明らかに異質なほど壊れている二階。それに加えてキッチンの謎の部屋にこの使い古された感じ。それに、リビングもどこか赤黒いしみがあったし。。。


「きっとここでは。。。」

「きゃあああああああああああああああああああ!!!!」


何かを言おうとしたくりさんの声をかき消すように、鼻が詰まったような高音の叫び声がキッチンへと伝わった。叫び声のすぐ後、ドタバタと階段を急いで駆け下りるように足音が響く。


ドンッ


最後に大きな音とともに、さっきまで話題の中心だった人、汗だくの96番さんがキッチンの扉の前に仁王立ちしていた。顔が太陽みたいに真っ赤になっていて、手はどこか小刻みに震えていた。


「だ、誰よ!私の部屋に花を置くなんて、なんの嫌がらせかしら!?!?」


ひええ。。こ、怖いよおお。。。

96番さんの圧に負けて一歩ずつ後ずさりする。い、胃が痛いよお。。

そんなわたしとは違い、レイさんは一歩前に出て堂々とした態度を取った。


「そりゃあ、いたずらさんを追悼するためだよ〜!」


けど、そんなレイさんの声は届かなかったのか96番さんはぐしゃぐしゃになった無数の花ビラが入った拳を前に突き出して見せてきた。


「こんな花が床にたくさん落ちてたのよ!?お供えとかそういうのじゃないでしょ!!これは!!!」

「そうね、私が置いたのとは違うわね。」


手からこぼれ落ちた黄色の小さくて細い花びらを手に取った。確か、これはローリエとかだった気がする。ここらへんでも育てられるんだあ。


「ん?まって、急に花が現れたの?」


手を挙げながらレイさんが聞いてきた。わたしは96番さんと被りながらも頭を縦に振った。それをみたレイさんはまた何か考え出したかと思うと、急に顔を上げて嬉しそうな自慢げな顔を向けてきた。






「この事件の真相、レイ分かっちゃった〜!!」





とても遅れてしまいました ごめんなさいm(_ _)m

今回はライナちゃん、レイちゃん、くりさんメインで話が進みます!


楽しんでいただけたら、光栄です!!

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