〈第五話〉 私と贈り物と謎
あーあ もう二人も死んじゃったんだ
私はずっと臆病だった
小さい頃、両親を亡くした。
その時は小さな戦争中で、二人はそれでの莫大な数の犠牲者の中のほんの一部だった。
お父さんは背中を敵になんども刺されて、お母さんは流行病で治療されず亡くなってしまった。
それでも、悲しいとも 悔しいとも 苦しいとも 思えなかった。
ああ。自分じゃなくてよかった
そう、思ってしまった。
冷たい地べたの中で息絶える両親を目の前にして涙は一つもこぼれず、ただただ安心してしまった。そんな時から、もう壊れていた、普通じゃなくなってしまったのかもしれない。
それでも、そのときは環境のせいか それが当たり前に思えた。
両親が死んだ後、私たち、私と9つ離れた妹は遠い親族をたらい回しにどうにか過ごした。
怒鳴られたり 殴られたり 沈められかけたり 燃やされかけたり
何回も死の階段を渡りかけた。それでも、どうにか生きた。
私は絶対に死なない。私はこの世にへばりつくごみになってでも生きてやる。
そう思っていた。
それでも、やっぱり家があるのは幸せだった。安心できた。ゆっくりできた。回復できた。
しかし、ある日を境に親族たちは誰も助けてくれなくなった。
誰も手を差し伸べてはくれない。幼いながら気づいた。捨てられてしまったんだって。
いきなり暗闇に二人で投げ込まれたようだった。
それでも、私は安心した。
ああ。これでもうぶたれない。もう誰にも迷惑をかけない。
それからは生きるために。なんども同じようなことを繰り返した。
なんども盗んで、なんども逃げて、なんども捕まって、
なんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんどもなんども
そんな毎日の繰り返し。
体がぼろぼろになったある日、私は神様から贈り物をもらった。
魔法
そう魔法。神様がくれた私への贈り物。
神様は私たちに慈悲をくれた。
そして、教えてくれた。
どんな手段でも生き残れれば勝ちなんだって。
だから、私は逃げる。
私の命のために。
私の明日のために。
私の使命のために。
私の唯一の贈り物の妹のために。
どんなに手を汚しても
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「な。。なんで。。」
目の前に崩れ落ちている女性、43番さんを見つめながら私は口を必死に抑え込んだ。
何度みても人が死んでいるとこを見ると、体が敏感に反応する。
息絶えた様子は、事件という複雑に絡まった糸を切られて動けなくなった人形のようだ。
「。。。だめね。息してない。。」
慌てて駆け寄ったくりさんが彼女の手首を触って、残念そうに頭を振った。
ドクンドクンドクン
緊張のせいかはたまた他の感情のせいか、心拍音が私の耳を埋め尽くす。
周りが聞こえないほど大きな音に嫌気がさす。
もうやめてよ。。。もうやだあ。。
でも、どんなに願っても43番さんはピクリとも動かない。
その代わりに心拍音は大きくなるばかり。
「。。踏み外した位置は26段目。上からだと2段目。それから。。。」
横でぼそぼそとレイさんが独り言をいう。
レイさんはわたしとは違い、冷静に目の前の状況を分析してるように見える。
39番さんの時もだけど、レイさんはいつもこの跡の調査に役立つ情報を残したり、冷静に分析したり、調査を始めたりと犯人探しのためにとても貢献してる。
それに比べてわたしは。。。
「やっぱり、変われないままなんだね。」
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真面目さんが死んでから数時間、お外はもう太陽さんも怯えるように顔を隠してしまったのか真っ暗だ。
いい子はもう寝る時間。でも、レイは違う。悪い子。それでいい。
ぱっと目を開けて、レイはこてっと横に顔を向けた。レイたちの部屋は、いたづらさんたちと違って、お互いのベッドが横に並んでるんだ。
「すー。。すー。。。。」
隣で可愛らしく寝息をたててるレイよりも幼い顔立ちの顔をまじまじと見つめる。
今日起こった事件のせいかどこか疲れたように見えたから、よく寝れていてよかった。
まあ、目の前で二人も人が死んだんだもんね。しょうがない。しょうがない。
ひゅーひゅー
どこか生ぬるい風が窓からこぼれてレイの体を優しく撫でてくれた。
藍色の空がどこか見覚えのある後ろ姿と重なる。
『。。。わかった。手を貸すわ。』
ふと、真面目さんが見せてくれた最初で最後の笑顔を思い出した。とっても優しくて、手からは生ぬるい人の温かさが感じられた。
あの時、真面目さんはレイのことをシンライしてくれてたんだと思う。
でも、でも、それなのに。。。。。。なんで死んじゃったんだろう。
レイのせいかな。レイが巻き込んじゃったから。。。
いや。今はそんなこと関係ない。
いたずらさんと真面目さんと、それに他の魔女さんのためにも、犯人を見つけなきゃ!!!
とりあえず、まずは環境について。。
まずは、2階では魔法が使えない。これはライナが試したから確定。
そして、魔女は一種類の魔法しか使えない。これもライナが昔本で読んだことがあるって。
みんなの使える魔法は、帽子さん(サヨナラの魔女)が変身、ツンツン(出会いの魔女)が占い、お団子さん(贈りの魔女)が瞬間移動、赤色さん(和解の魔女)は感情操作。寮で新しくあったいたずらさん(39番)が千里眼、おねむさん(93番)が幽体離脱、真面目さん(43番)が透明化、ですわさん(96番)が念力。
今回もやっぱり殺人かな?
でもはなんで真面目さんを狙ったんだろう。。あとは、なんで突然倒れたんだろう
病気?毒?それともやっぱり魔法?
いや、でも魔法は使えない。あっ、抜け穴があったとか?なにかルールがあるとか。
うーん。でも、そう考えると可能性が無限大になっちゃいそう。
じゃあ、とりあえず病気の線を考えてみよう。
病気なら持病が悪化して、急に倒れたとか。顔色悪かったし!
あれっでも、真面目さんお薬飲んでたかな。
朝ごはん、昼ご飯、夜ご飯、寝る前。ご飯を食べるときはみんなおんなじテーブルだったけど、一回もお薬飲んでたと込みてないなあ。じゃあ、違うのかな。うーん。
もしかしたら、隠してた。。?真面目さんなら無理してそうだし。
それなら、同室のねむねむさんとツンツンに聞けばいっか。多分、部屋で飲んでそうだし。
あとは、お団子さんに聞いてなにか水とかお薬と一緒に口に入れそうなものを頻繁に持ち出してたか聞けばいっか。お団子さんキッチンのことはぜーんぶ知ってるからね。
あとは、毒の線。
毒なら食べ物とかにいれとけば大丈夫。
でも、みんな同じご飯食べてたし、運ばれるごはんはいっつもランダム。
なら、正確に真面目さんに毒はもれない。
あっそういえば、真面目さんだけ朝用のコーヒーを飲んでたような。。。
確か、ルーティンってやつだって。それなら、誰でも殺せちゃうんだ。
で、結局どれもありえる。。。
もう、もう。。
「全然わかんないやーーーー!!!」
今回は短めです!
楽しんでもらえたら幸いです!
次も楽しみにまっていてください!!




