〈第四話〉 絡まり続けるイト
私(43番)。。魔法店に勤めている女性。完璧に固執している。
レイ。。16歳の記憶が曖昧の少女。43番と一緒に調査をすることに。色んな力を秘めている。らしい。
見習い(ライナ)。。16歳の魔女見習い。レイに巻き込まれて一緒に調査をすることになった。
「さーてと。」
さっきよりも重苦しいダイニングでサヨナラの魔女はテーブルをそっと立ち上がった。
彼女のいつも通りの喋り方が逆に怖く、皆顔を強張らせている。
「みんな知ってると思うけど、39番が死んだよ。」
当たり前のように彼女は言った。
あの元気だった39番が死んだ。死んだんだ。本当に死んだんだ。
その事実をまだ誰も信じられずに、サヨナラの魔女をまじまじと見つめている。
「ってことで、とりあえず今日はみんなしっかり休もっか。」
「でも!!それじゃあ、殺人者といっしょに過ごさなきゃいけないのよ!?!?」
「そうそう!それじゃあ、また。。また、誰かが犠牲に。。なるかもよ!」
贈りの魔女と黄色の少女の二人の話からは耳を塞ぐように、サヨナラの魔女はそのまんまさっさと二階へ上がっていってしまった。
「ならさん。。。」
私の背中をゆすりながら横に座っていた見習いが心配そうに彼女の背中を見つめる。
本当に嫌気がする。もうやだ。本当にお腹がいっぱいだ。
サヨナラの魔女に無視されたのがそうとう効いたのか、黄色の少女もどこか遠いとこを見つめながらぴくりとも動かなくなった。
「それなら、レイたちで調査しよう!!」
「はあ。。?」
パッと急に少女が立ち上がる。
呆気にとられる私と見習いを交互に見ながら、彼女は胸ポケットから小さな紙を取り出した。
「実はね、ここにね、そのときの状況を描いたんだ!今は片付けられちゃったけど。」
確かに、部屋の片付けは見つけた瞬間サヨナラの魔女や贈りの魔女たちがすぐにしてしまった。そのせいで証拠はほとんどなく、私でも犯人を見つけるのは不可能だと思っていた。
でも、もし本当に彼女の話が本当なら。。
「。。。わかった。手を貸すわ。」
私はそういいながら黄色の少女、レイの前にそっと手を差し出した。
レイはそれに気がつくと外の灰色の雲みたいな瞳をキラキラと輝かせながら、私の手を思いっきり掴んだ。
「そうと決まれば、まずは現場調査からだね!」
「メモったのに?」
「でもでも、もしかしたら現場になにか残ってるかもだし、現場見たほうが想像しやすいもん!!」
そう言って先に行くレイとそんな彼女に引っ張られている見習いを見送り、私は少しでも心を落ち着かせるために朝ごはんと一緒に飲む予定だった冷めたコーヒーを口に含んだ。いつもよりも苦い味に何処か安心し、もう一口飲む。
「ふー。。」
空っぽになったコップを置き、私は駆け足で二人の後を追いかけた。
二人との距離は縮まらず、二階に行くまで私は彼女たちの背中しか見ていれなかった。
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「まずはこれから!これがこの部屋の間取り!!あっ、上から見たときのね!」
興奮気味に差し出された紙には、四角い部屋の中に二つの棚、二段ベッド、窓、そして私たちが発見したときに通った扉が簡潔に描いてあった。
「あんな短時間でよく描けたわね。」
「ふふーん。実は一瞬であの景色を覚えたんだ!!」
ドヤッとレイが誇らしそうに胸を張った。
そんな彼女を横目に見習いは横から紙の図に瞳が釘付けになっている。
「ねえねえ、この線って一体なんなの?」
パッと顔を上げたと思うと、見習いが紙の一部に指をさした。
そこには39番の死体から窓へとつながる意味深な線が一つ描かれていた。
「これはね、紐だよ。」
「紐?なんで紐が。。」
「レイもびっくりしたよ~。よくよーく見たら小さな紐が床で光ってたんだからね!」
よくそこまで見てたなと改めて感心しながらも、私は部屋を見渡した。彼女の描いた通り、部屋の間取りはその紙に描かれたものと全く一緒だった。
「うーん。でも、なんで紐があったんだろう。。。なにかに必要だったのかな。。?」
「ええっと、うーんと、あっ手助けにっとか?例えば、魔法がかけられた紐で死体を殺したとか?」
頭を絞らせて推測を出したレイに横の見習いはどこか納得してないような、困り眉をみせた。魔法か。。また面倒くさいことになりそうだなあ。
吐き気がしそうなほどの可能性の広さに、私はめまいが起きながらもどうにか平静を装って、いつも通りの完璧さを保った。
「うーん。それは無理かなあ。」
そういいながら見習いは拳を私たちに向けて差し出した。何をするんだろうかとじっと見つめていると、次はパッ。と急に手を広げてきた。びっくりしているレイと困惑している私を交互に見て見習いはほらねっという風な顔を向けてきた。
「ここに来てから一回魔法を使おうとしたことがあるんです。けど、どうやっても二階では絶対につかえなくて。。」
どうやら、彼女は魔法を使おうとしてたみたいだった。
確か、彼女は花と光を出す魔法というとても「珍しい」魔法だ。一応、魔法店も重要視しているみたいで、私たち無名の魔女ですら注意を払えと命令が来たくらい珍しいらしい。
「なるほど。だから、私の魔法も使えなかったのね。」
「多分そうだと思います。ただ、二階じゃなければ使えるので可能性はないとは。。」
そういいながら彼女はまた紙へと視線を移した。
謎の紐 悲鳴の聞こえない部屋 勝手に開く窓
調べれば調べるほどこの事件の糸が絡まっていくような気がする。こっちの紐はあっちへ。そっちの紐はこっちへ。夢のように絡まる糸を解くには、とても大仕掛けが必要だろう。
しかし、そんな大仕掛けを使わずに糸が解ける可能性がある。
それは、魔法
そう。私たち魔女は魔法が使える。使える魔法は魔女につきたった一種類だが、それでも色んな使い道がある。つまりは、こういう殺人事件を起こすのにはぴったりだ。
けど、魔法が使えないならその可能性すら消えてしまう。
どんなに頭を回しても、糸は私の指に絡まるばかり。
本当に。本当に気持ち悪い。吐きそう。全部吐いてしまいそう。
「あれは。。? 」
ふと、窓辺においてあった花瓶が私の視線に止まった。
何個もの白い鈴みたいな花がゆらゆらと窓からの風と一緒に踊っている。そんな不思議な花。
そういえばこの花、寮中にあったような。。
そう思ってると横の見習いがさっと花瓶を手に取り、数秒見つめた後に微笑みかけてきた。
「これは、スズランですね。確か、くりさんが39番さんのためにって。」
スズラン。可愛らしい響きに私は思わず心をほころばせそうになった。
いけない。今は調査中なんだ。
パシッと自分の頬を叩き、くるりと体の向きを扉へと向けた。
「それよりも、今は調査よ。」
まずは、凶器。
それだけでもわかれば、少しでも犯人候補が絞れるかもしれない。
それに、レイのお陰でもしかしたら犯人を見つけられるかもしれない。
いや、どうやってでも見つけてみせる。私ならできる。だって私はすごいもの。
そんな風に明るく考えても、私の体は本音を表すように激しく震え始める。
ズキッ ズキッ ズキッ
ひどい頭痛が私の頭に鳴り響く。
イタイ
イタイ
イタイ
キモチワルい
どんなに抑えようとしても、頭痛は止まらずひどくなるばかり。
もう、や。。
コンコンコンコン
「んねー、夜ご飯だよー。はやく食べたいから急いでーー。」
そう言って、扉の前にいたのは93番だった。彼女はふくれっ面で私達のことを見つめながらもさっさと下りていってしまった。
慌てて、窓の外を見ると、そとはもう紅く染まり始めている。
いつもと比べては早すぎるが、今日は昼食を抜いていたからだと考えると納得する。
「じゃあ、一旦終わりにしましょう。」
ふらふらとだるい体を動かしながら、私はダイニングへと向かった。
周りの景色がどこか黄色っぽく見える。光の周りの天使の輪っかが私を照らす。
あれ?こんなに私の体は重かったっけ。。
そんなことを思いながらも階段へ一歩足を進める。
「43番さん!?!?」
気がつくと、私に見習いが手を伸ばしていた。
なんでそんなことをするんだろうと疑問に思っていたらすぐに理由がわかった。
片足に感じるはずだった地面の感触が感じられない。そっか。落ちるんだ。私。
階段から踏み外した足を体が追いかけて、ふらりと体が宙に舞う
「ふふ。」
最後に瞳があった
こちらを見ながらニヤニヤしていて、本当にキモい。きもすぎる。
ああ。もうだめだ。そう思いながら、全身の力が抜けふらっと地面に倒れた。
あなただったのね
更新がとても遅くなって本当にごめんなさいm(_ _)m
なかなか書くてが進まず2月上半は一つも投稿できてませんでした(-_-;)
それでも、楽しんでくれたら幸いです。。!!




