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〈第三話〉 始まっちゃったね

注意・流血表現などが含まれてます!!





「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」



誰かの悲鳴が寮を包み込んだ。生臭い血の匂いがほんのりと鼻へと伝っていく。


ああ。見つかってしまったのか。


まず思ってしまったのがこれだった。これじゃあ、犯人みたい。悲しいね。

皆の動きに合わせて、足を進める。皆が急ぎながら悲鳴へと向かう足音とあの人の笑い声が■■の耳をいっぱいに満たした。




「ついに、はじまってしまったね。。。」









ーーーー数分前ーーーー







「ほわぁ。。もう朝だあ。。。」



眠たい目をこすりながら、わたしはそっと起き上がった。


ベッドの横にある小さな枠組みからは、とても現実とは思えないほど灰色の景色が広がっている。花もなく雪もない。お化け屋敷みたいな架空の世界みたいだった。そんな小さな外の

光によって照らされる二人部屋は薄暗く、どこか閉鎖的に感じる。まるで牢屋みたい。


「本当に現実とは思えないね。」


ここに来てから数日、本当に平和な日々が続いた。

平和すぎて怖いって思ってしまうほどに。

毎日、温かいごはんと温かい寝床。依頼もへり、一回しかこなかった。しかも、その依頼自体もそこまで怖くなく、ならさんのいう「いつも通りの依頼」とかではなかった。


本当に平和な、夢に描いたような幸せな毎日。

本当に完璧な生活。


っていっても、確かにこの寮はすこしおかしいところがあった。


ギシギシ。


部屋の扉から一歩踏み出すと、古びた木の板が嫌な音を響かせる。

意外と一階がきれいに見えたから油断してたけど、二階はとても古いままだった。多分、一階だけ直したんだと思う。まあ不便って言われたらそうでもないけど、いつ壊れてもおかしくないから本当に心臓に悪い。


これ以外にもおかしいところがあって、例えば廊下。

もしかしたら、これが一番おかしいかもしれない。どこがおかしいって言われると、素材がおかしい。気がする。パッと見、壁は木材に見えるけど、触れると実際はまるでふわふわなパンみたいな感触がする。といっても、とっても高いパンじゃなきゃここまでふわふわしない。「おかしい」よりも「不思議」ってことばのほうがぴったりな気がする。


本当に怖いよお。。。なんでこんなとこに住まなきゃいけないのおお。。?


心のなかでそう思ってると、横からキィィと古い木材の扉を開ける音がした。

扉からは藍色のストレートヘアの女性が手に古びた手帳を持ちながら出てきた。パッと勿忘草みたいなかわいらしい青色の瞳がこちらへと動いた。スラッとモデル体型みたいで、完璧に身だしなみが整えられてる。43番さんだ。


「あ、お、おはようございます。。!」

「。。。」


わたしは勇気を振り絞って精一杯の笑顔で挨拶をした。けど、43番さんはどこか鬱陶しそうにわたしの横をズカズカと通り過ぎてしまった。スーパー完璧スルーだあ。

ううう。。。なんでえええ。。。。わたしなにかしちゃったかなあ。。


「あら〜!そこで湿気た顔をしてるのは見習いじゃないの〜!!」


気が付くと、後ろから甲高い声がわたしを嘲笑った。

慌てて振り返ると、そこには96番さんがいた。雲で作ったようなカールに金魚草みたいな赤色の瞳。背はならさんと同じくらい。


「お、おはようございます。起きるの、えっと、その、早いですね。。」


わたしはさっきよりも元気をなくした声で言った。

ぶっちゃけ、この人は苦手なタイプ。なんかこう、偉そうで苦手。

そんな嫌々そうな声色で言っても、96番さんは気にせずに鼻を高くした。


「お~ほっほ!私ほどになれば早寝早起きは当然ですとも!!」


96番さんはわたしの冷ややかな視線を無視しながらも、とても嬉しそうに自慢をしてきた。なんだろう。。この人の自慢ってなんか微妙なんだよな。。。

いつまでも続きそうな自慢にわたしは半分呆れながらも、愛嬌を振りまいた。


「そうですかー。」

「当然よ!あなたごときには、私みたいな健康t、もご、もごもご!!」


ふと、急に96番さんの口を誰かがぎゅっと両手でふさいだ。


「だまれ。しね。」

「あ、あわ、わわわ、あ、わわ、あいあいあ、あいさん。。!?」


あわあわとわたしが呼ぶと、あいさんがギロっと琥珀色の瞳で睨みつけてきた。

96番さんはもごもごしながら、どうにか手をどかそうとすこし体を揺らして抗ってる。けど、効果はないみたい。

ひ、ひぇええ。。。ど、どどどど、どうしよう。。!一番合いたくなかった人だあ!


「なに見てんだよ、てめえ。」

「ひ、ひぇえ。。!えっと、その。。!」


わたしはあいさんの圧に負けて一歩、また一歩と後ろに下がっていく。

ポンっ。

何歩目かになったとき、ふとわたしの背中がふわっと何かにぶつかった。


あ、壁だ。。って、やばい!!逃げ場がないよおお。。。


心臓の音が激しく耳の中で響いて、絶望で埋め尽くされる。もうだめだあ。。

わたしは死を覚悟し、目をぎゅっと瞑った。

でも、次に聞こえたのはあいさんの怒鳴り声でも殴った音でもはなく、馴染みのあるぽけーっとした声だった。






「朝ごはんできたよー」






ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー






あいさんがならさんの方へとスキップしながら降りて行ったあと、わたしと96番さんも後ろを追いかけて階段を降りて行った。

ダイニングに向かうと、そこにはレイさんや他の魔女たちがもう集まっていた。キッチンではならさんとくりさんが朝ごはんのパンとコーヒーを準備している。


「んはよー。早く席に座ってね。みんなが待ってんだから。」

「は、はい!」


丸い机の窓側の席に座っている93番さんが口を尖らせながら、わたしと96番さんを指さした。なぜか寮には不思議なルールがあって、朝ごはんはみんなが席に座ってからじゃなきゃだめなのだ。わたしはレイさんの隣の席を引いて、ポスっと座った。


「んで、あとは誰がいないのー?」

「あ、いたずらさんがいないよ~?」


レイさんが目の前の食器を手でなぞりながら言った。

確かに、他のみんなが朝ごはんのために集まりきってる中、39番さんの席だけが空っぽのままだ。いつも呼ばれたらすぐに座るのに、今日は珍しく空いたまんまだ。隣りに座っていた43番さんも心配だったのか、席を見ながらどこかソワソワしている。


「んじゃあ、キミたち見に行ってくれる?早くご飯食べたいからさ。」

「「え?」」


93番さんの意外な言葉にわたしとレイさんはどうじに腑抜けな声を出した。

そんなわたしたちに構わず、93番さんはわたしとレイさん、そして43番さんを交互に指さした。こうなると大変で、93番さんはとっても頑固だから一度お願いされたら最後。それをやらなければ、なにも進まなくなる。


「はあ。。しょうがないわね。」


最初に折れた43番さんが溜息と一緒に席を立った。レイさんとわたしもそれに続いて一緒に席を立ち上がった。めんどくささで、わたしも溜息を零してしまいそう。そんなことを思っていると、ふふ、っと誰かが小さく笑った気がした。




なんだろう。。嫌な予感がする。。



気が付くとわたしは全力で走りながら、39番さんの部屋へと向かっていた。


おねがい。おねがい。なにも起こらないで。。おねがい。



息を切らしながらも、わたしは扉の前へとついた。後ろにはわたしの異変に気が付いて追ってきたレイさんと43番さんがいる。





「きゃあああああああああああああああああああああああああああああああ!!!!」





扉を開くと、目の前には腐臭を放つ39番さんがいた。

39番さんの背中から真っ赤な液体が噴水のように溢れており、血飛沫に染まった床はそれのせいでまるでおとぎ話に出てくるような景色になってる。


「う、嘘でしょう。。」


後ろに立っている43番さんが顔を手で覆いながら、隙間の空いているとこから氷のような瞳が揺らいでいるのがみえた。レイさんも同じように石像のように固まってしまっている。どうにか平静を保とうとしても、恐怖に染まった頭じゃまともに考えがまとまらない。


「なんて、こんな。。」


39番さんの背中には包丁で切ったような傷がある。そして、周りには包丁みたいな鋭い赤く染まってるものも落ちていない。背中にこんな大きな切り傷は自分自身ではつけられない。

なら。。。


それは、つまり、つまり、








「このなかの誰かが殺したってことに。。!?」









ごめんなさいm(__)m

とっっても更新が遅くなってしまいました。。。


楽しんでいただけたら嬉しいです!!

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