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〈第十三話〉 終わりへの始まり

今回は短めです!




「全部、孤児院のせいなんだ。」




お月様が地球を優しく撫でていた森の中、静かにルーチェさんが言った。夜のせいか、いつもよりも静かに感じる。ルーチェさんはしゃがみ込みながら、ならさんを見上げていた。そして、この場の全員がとても静かにルーチェさんを見つめていた。

な、なんか、空気が重い気が。。うう。。。胃が痛いよお。。。。


「キミは面白いことを言うね。さっきは他の子を責めないでって言ってたのに、今はキミが孤児院を責めてるよ。」

「だって、あいつら子どもたちを利用していたんだよ!」


ダンッ


ルーチェさんが勢いよく立ち上がった。

ひぇっ。

急な大音にびっくりして、わたしは慌ててレイさんの後ろに隠れた。レイさんと贈りの魔女ことくりさんも息を呑みながら二人を見つめていた。ならさんとルーチェさんの間に火花が散っているように一瞬見えた気がする。


「孤児院の奴らは、拠り所のない子どもたちを魔法の実験に使ってんだよ!しかも何人かは死んだり、後遺症が残ったんだよ!!」

「じゃあ、なんでゆーかいしたの?」

「っ。。」


ルーチェさんがならさんの問いに、言葉をつまらせた。それでも、ならさんは構わず鋭い視線を浴びせた。怖気ついたルーチェさんはバッと視線をそらした。口をなにかが口に入ってしまったようにモゴモゴ動かしてもいる。


「そ、それは、私から言いますよ。」


ふと、地面に縛られてた男性が言った。さっきまでルーチェさんを睨んでた人だ。

男性の提案に対して、ならさんはどこかめんどくさそうに眉毛を八の字に変えていた。けど、少し考えた後にすぐにいつも通りの無表情に戻っていた。


「いーよ。はやく言って。」


ならさんはぶっきらぼうに男性に言った。でも、どこかいつものならさんより瞳が怖い気がする。。

男性も感じたのか、恐怖で染まった顔で恐る恐る口から言葉をこぼした。


「い、一ヶ月前のことです。私たちはある人から孤児院のやっていたことをお聞きしました。そして、彼からの助言で私たちは孤児院の子たちを一人づつ助けることにしたのです。」

「それが誘拐ってことね。なるほど。」


横からくりさんが落ち着いた声色で言った。

不思議だなあ。。なんか心が落ち着く。。

なんとなくだけど、くりさんの声はどこかみんなを落ち着かせる力があると思う。違うかもしてないけど。。


「しかし、やはり私たちみたいな人じゃ失敗してしまい孤児院の奴らにバレてしまいました。絶体絶命、そんなときに助けてくれたのがルーチェでした。」


男性はどこか悲しそうに瞳を揺らしていた。ルーチェさんの方を見ると、口を紡ぎながら頭を上下に揺らしていた。やっぱり、知ってたんだ。


「それで、彼にすべてを話しました。孤児院のこと、子どもたちを助けること。すべて話しました。」

「んで、ボクも協力することにしたんだ。だって、みんなを助けるためだから。」


ルーチェさんが決意を決めたように瞳を輝かせた。しかしその光はならさんの心には届かなかったのか、ならさんの表情は一ミリも動かなかった。そんな彼女を気にせずに、男性は罪を洗いざらい吐くように懺悔を始めた。


「あの時、もし私たちが失敗してなければルーチェを巻き込むことは。。」

「いいよ。ボクは自分の意志で決めたんだから。」


ルーチェさんはにっこりと蝋燭の火みたいに温かく笑いかけた。レイさんみたい。

これなら、ならさんも納得したんじゃ。。!

そう思って、二人の話を黙って聞いてたならさんの方に振り返る前にならさんが男性を否定するように聞いた。


「話はそれだけ?」

「ええ。たったそれだけです。ただ、孤児達を救いたかっただけです。」


男性は慈しむように何処か遠くを見つめていた。その横顔は、子供を想う親みたいだった。

もしかして、この人は息子か娘がいるのかも。。それで、子供と孤児院の子たちを重ね合わせちゃったのとかで助けたくなったのかな。。


「違うよ。ぼくがきーてるのはキミのこと。」


ならさんはさっきよりも険しく男性に詰め寄った。男性は後ずさろうとしたが、手が空いてないから全く動けてない。

こ、これは助けるべきなのかなあ。。


「一体どういうことでしょうか。。?」

「しらばっくれないで。キミのしょーたいについてのことだよ。」


ならさんはさっき以上に冷たい視線を向けた。まるでナイフみたい。

っていうか、正体!?もしかして、この人も変装してたの。。!?

そんなことを考えながら男性の方を見ると、男性は不敵な笑みを浮かべていた。


「あーあ。バレちゃったのかあ。けっこう上手だったのになあ。」


あれって。。。レイさんの時の。。。


気がつくと、そこには男性はもういなかった。あったのはあのときの黒いナニカと抜け殻となった男性の体だった。黒いナニカはぐねぐねと動きながらルーチェさんに近づいていった。


「。。。。。え。あれ。あ、あれって。。。。」


ふと、前からレイさんが戸惑ったような声が聞こえた。

そうだ。レイさん記憶があやふやだから、事件のこと何も覚えてないんだ。。!

慌ててならさんのほうに助けを求めようとすると、


ドスッ


っと大きな打撃音が耳に響いた。目を開いたときには足元にレイさんが倒れていた。多分、気絶してる。

ってことは、今の音はならさんがレイさんの首を叩いた音。。。?


「ならさん!?なんで、叩いて。。!?」

「こーしたほうが、早いからね。」


わたしの問いに何一つ顔色を変えずにならさんは黒いナニカに体を向けた。

どうやら、今はそっちのほうが優先みたい。

黒いナニカは不敵な笑みを浮かべながら、ならさんの足から頭の天辺までジロジロと物色するように見つめていた。それでも、臆さずにならさんはそれの前に立った。


「目的は何?」

「貴方達を殺すこと♪」


え、殺す。。?

頭の中で繰り返しそれの言葉が響き渡る。もう状況に追いつけないや。。


「ま、これで納得だね。だからわざと行方不明事件を起こして、ぼくらをおびき寄せようとしたんだね。」

「まあ、失敗だけどね。まさか、助っ人が呼ばれてたなんてね。彼女は全くそのことについては何も言わなかったからね。」


黒いナニカが残念そうに呟く。多分、くりさんのことだと思う。だって、くりさんがいればすぐに逃げられるからね。


「どうする?来るならこっちも全力でいくよー?」


ならさんが勝ち誇ったように黒いナニカを見下した。

その瞳はわたしだったらすぐに泣いちゃいそう、いや意識が飛んでしまうぐらいに怖かった。

黒いナニカは流石に状況が悪かったのか、両手を上げて降参のポーズをした。


「お手上げだね。まあでも、機会はたくさんあるしそのうち行くから。」


そう言い残して、黒いナニかは真っ黒な森に溶け込んで消えていってしまった。

残されたわたしはレイさんを抱えながら、ぼんやりと暗闇を見つめていた。





第一章これで終わりです!

ぜひ、第二章も楽しみにしててください!!

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