〈第十一話〉 不思議な孤児院
「わー!!!おねえしゃんって、まほうつかえるの!!」
「しゅごーい!!」
「まほうみてみたーい!!」
質素な木材でできた家の中、わたしは小さな子供たちに囲まれていた。今は、孤児院にいる。子供たちはわたしの足をつかんできたり、スカートを引っ張ったり、魔法について喋ってきたり、とっても元気。そんな子供たちとは違い、わたしはほとんど放心状態にあった。
疲れたあ。。。。
人といる時点でつっかれるのに、加えて病み上がりだからなおさら疲れた。
もう引きこもりたい。空気になりたい。そして、空に浮かびたい。
「おねえちゃん、へーき?」
「あ、うん。大丈夫だよ。」
なぜ孤児院にいるかというと、ならさんのせいだ。
たしかにならさんによって作戦が決まったのはいいことだけど、助っ人が来るまで暇なので孤児院にお邪魔しようってならさんが言い始めたのだ。職員の人たちにルーチェさんの友達と説明したけど、職員さんたちは半信半疑だった。どうやら職員の人たちは依頼について知らなかったらしい。てっきり、依頼主は孤児院の職員の人たちかと。。それでも中に入れてくれたのは、子供の遊び相手が不足してたかららしい。
「こらー!お客さんを困らせちゃダメだよー!」
気が付くと、ルーチェさんが後ろから現れた。ルーチェさんはここでは年上のほうらしい。さっきまでかわいい弟みたいだったのに、今は頼りになりそうなお兄ちゃんみたい。
「ごめんね、手伝いなんかさせちゃって。」
「あ、えっと、大丈夫ですよ。中にいさせてくれるだけで助かっているので。」
って言ったけど、本当は馬車の中にいたかったなあ。
けど、申し訳そうなルーチェさんの顔を見てるとさすがに言えない。
「がおー!!狼男がかわいい子羊を食べちゃうぞー!!」
「きゃー!逃げろー!!」
いーちゃんこと、レイさんは部屋の真ん中で子供たちと楽しそうに遊んでいた。横ではならさんがほかのもっと小さい子たちとかくれんぼをしていた。
なんか、二人ともさすがだなあ。
にゃー。
ふと気が付くと、右にあった窓辺に真っ白な猫がいた。瞳は赤色で、どこか純白様を思い出す。なんか、不思議な猫ちゃんだなあ。
「あ、クー!来てたんだ。」
猫と目が合ったルーチェさんは驚いたような嬉しそうな顔をした。
孤児院の猫なのかなあ。。?
不思議に思っていると、ルーチェさんが猫を撫でた。撫でられた猫はどこか嬉しそうな顔をしていた。
「すごい。。なついてる。」
あ、声に出しちゃった。。
ルーチェさんのほうを見ると、どこか慌てながら手をぱたぱたと動かしていた。よく見ると、冷や汗をかいていた。
「そ、そうかな!?全然、なついてないよ!こいつ、食べ物目当てだからさ!!」
なんで、こんなに否定するんだろう?
もしかして、猫嫌いなのかな。それとも、職員の人たちに怒られちゃうのかなあ。
「わー猫だあ!かわいい!!」
「ほんとだー。珍しー見た目の猫だね。」
いつの間にか後ろにレイさんとならさんがいた。二人とも猫に釘付けだ。
子供たちはレイさんの後を追ってたのか、ほとんどの子が集まっている。こう見ると、子供の数はそこまで多くないと思う。30人いくかいかないかくらい。
「あ、そういえばさ気になってたんだけど、首についてるの何なの?」
「ほんとーだ。気が付かなかった。」
ふいに、レイさんがルーチェさんに聞いた。
言われてみたら、ここの子はみんな首に首輪みたいなものを付けていた。小さな子からルーチェさんみたいな大きい子まで。全員。なんか、怖い。
「あー。それについては、さっぱり。印みたいなもんだと思う。」
今回はずいぶんすんなりとルーチェさんは答えた。わたしは意外な言い方にちょっとびっくりした。
てっきり、またなにかを隠すのかと思った。
「それよりも、助っ人はまだなの?」
あ、話題変えられた。ちょっと残念。もう少し知りたかったなあ。。
残念がっているわたしの横で、ならさんは扉のほうを無言で見つめていた。
どうしたんだろう。。?
「もー来たと思うよ。」
不意に、ならさんがいった。その言葉を聞いてか、レイさんたちも扉のほうを見つめた。釣られてわたしも見た。
コンコンコン。
「失礼します。誰か居ますかー?」
次の瞬間、扉から聞き覚えのある声がした。もしかして。。!?
わたしは慌てて、扉に向かってドアノブを回した。
扉を開くと、香色のお団子にラベンダーみたいな瞳の女性が立っていた。
贈りの魔女、くりさんだ。
「あら、ライナちゃん。こんにちは。」
くりさんがにこやかに笑った。わたしも慌ててどうにか笑おうとしたが、どこかぎこちなくなってしまった。ごめんなさい。。
「おーさん遅いよー。」
「ごめんなさい。ちょっと仕事が終わらなくて。」
気が付くと、ならさんが扉の前まで来ていた。ほかのみんなも。
ならさんの言葉にくりさんは困り眉をしていた。くりさんも大変だなあ。。
「ねえねえ、それよりも早く作戦の準備しようよ。」
レイさんがならさんとくりさんの間を割るように言った。レイさんはさっきからも言ってたみたいだけど、早く仕事がしたいみたい。ならさんとちがって。
「そうね。まずはそれからかしら。」
「そーしよっか。」
どこかどんよりした顔をしながらくりさんとならさんが賛成した。
ルーチェさんは戸惑いながらもならさんの後ろにいた。
ならさん、レイさん、くりさん、ルーチェさん。
これで、みんな揃った。
すー
わたしは手を胸において大きく息を吸った。
これから、作戦が始まるんだ。今回こそは、だれも負傷せずに、完璧に終わらせなきゃ。
今回は失敗しないように。
はー。。
「よし、頑張ろう。」
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
魔法とはすごいでしょう?
人間の限界を超えているんだよ?
不可能を可能にしているんだよ?
これ以上に素晴らしいものはないでしょう?
なら、魔法が使える魔女は敬われるべき。
そうでしょう?
でも、世の中はオカシイ。
みんな素晴らしい魔女の死を望んでいる。
みんな素晴らしい魔女の絶望を望んでいる。
みんな素晴らしい魔女の終わりを望んでいる。
素晴らしい魔女は殺されるべき
みんなそういう。
おかしいでしょう?
魔女が何をしたっていうの?
ただ、素晴らしかっただけでしょう?
しかし、歴史を振り返ると転がっているのは素晴らしい魔女の死体だけ。人の死体は一つもない。
だから、私たちはそれを変える。
素晴らしい魔女のための世界を作るのだ。
さあ、あなたも変えましょう。
さあ、あなたも作りましょう。
さあ、あなたも壊しましょう。
全世界の素晴らしい魔女のために。
ーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーーー
「今の何ですか。。?」
ラーちゃんがおぞましそうに言った。
今は、みんなが作戦の準備をしている。そんな中、暇そーなラーちゃんにポケットに入っていた面白そーな紙について教えてあげてたのだ。
「これはね、ゆーめーな魔女改革の宣伝みたいなかんじだよ。」
「なんでそんなもの持ってるんですか。」
ラーちゃんは余計におぞましそうな顔をしていた。これは魔法店の人がめったに見れない、いちおー重要な紙。ラーちゃんの言う通り、ふつーこれを持っていたら王さまに怒られるけどね。ふつーはね。
「って、それよりも、その、準備はもう大丈夫なんですか。。?」
不安げな顔でラーちゃんが言った。まあ、せーしきな依頼は今回が初めてだしね。普通なら、不安になるのかな。
「準備はばっちりだよ。あとは、誘拐されるのを待つだけだね。」
ぼくはなるべくラーちゃんが安心するよーに、心強く言った。さすがぼく。やさしー。
それでも、ラーちゃんは不安そうに俯いていた。
「悪いことが起きないといいんですけど。。」
遅れて申し訳ありません!!
近いうちに立ち絵を追加していると思います!
あと、今月中には第一章が終わります(予定では残り2話です)
ぜひ楽しみに待っててください!!




