〈第十話〉 事件解決への大きな一歩
「まずは自己紹介からしよっか。」
静寂な空気の中、わたしたち三人は馬車の中に座っていた。そんな空気を最初に壊したのはわたしの横に座っていたいーちゃんことレイさんだった。
どうやら男の子も孤児院に向かっているみたいで、一緒に行くことになった。ちなみに飛び出した理由はヒッチハイクのためだったらしい。
「まずは、レイからだね。レイは魔法店で働いている新人。」
おお。さすがレイさん。ちゃんと挨拶できてるー!
「それで、この可愛い子が。」
「あ、えっと、魔女見習いのライナです。」
「魔女!?」
男の子がびっくりしたように口を塞いだ。
あ、魔女って言っちゃだめだったかも。。でも、平気なのかな。。?よくわからない。
「じゃあ、魔法使えるの!?どんな魔法?どんな魔法?」
「あ、えっと、お花と、あと光を出せます。」
「すごい!!ねえ、出してみて!!お願い!!」
男の子がすごい瞳をきらきらと輝かせながら、前のめりに近づいてきた。ミルクティーみたいなふわふわな茶髪についているアホ毛が動物の耳みたいにぴょこぴょこはねていて愛くるしい。なんか、かわいい子犬みたい。
「ちょっと!ライナに馴れ馴れしく近づかないで!まずは、名乗りなさいよ!」
「あ、ちょっ。」
詰められているわたしをみて心配してくれたのか、レイさんが男の子をわたしから引き剥がした。
あ、かわいかったのに。。
残念がっているわたしと同じく、男の子も不貞腐れながらレイさんのことを睨んでいた。それを感じ取ったのか、即座にレイさんも睨み返した。
「もーわかった。自己紹介でしょ?ボクはルーチェ。今向かっている孤児院の子だよ。」
少しのにらめっこの後、ルーチェと名乗った男の子が不機嫌な声で言った。レイさんは納得したように頷いた。
「そういえば、ルーチェさんは行方不明事件についてなにか知ってますか。。?」
「あー。。」
わたしの質問にルーチェさんは動揺したように目線をそらした。瞳には焦りの色に染まっていた。なんか、怪しい。。
「あれー?なにか知ってるんじゃないのー?」
すかさずレイさんも怪しむようにルーチェさんのことを見つめた。どこかにやついているようにも見えた。そんな視線にルーチェさんは冷や汗をかきながらどうにか視線をそらそうとどこか遠くを見つめている。それでも、やっぱりレイさんがすごかったからか、それともルーチェさんが正直者だったからかすぐに降参したと表すように両手を挙げてしまった。
「はいはい。知ってますよ。あと、行方不明事件じゃなくて誘拐ね。」
「あれー?なんでそんなこと知ってるの?まさか、犯人は君なのー?」
レイさんの口角がどんどん上がっていく。
こ、怖い。。
前に座っているルーチェさんはしまった!っという感じの顔をしながら口を両手でふさいでいた。ボロがでるのが早すぎる。。
「で、なんで?」
ヒェッ。
横にいるわたしでもその圧に怖気つくほどの怖さだった。なんか、とりあえず怖い。純白様と同じような怖さがある。ルーチェさんは諦めたようにもにょもにょと小さく言った。
「じ、実はそれについて調査してたんだ。。」
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「つまり自力で調査してた子がいて、そのおかげで仕事が減ったってこと?」
「は、はい。。」
白と黒のどちらでもない色の空の下で、ぼく、サヨナラの魔女はらーちゃんことライナちゃんたちとさっき合流した。今は例の孤児院の前にいて、らーちゃん・レイちゃん・ルーチェと一緒に話しているところ。
どうやらルーチェという孤児院の子は無断で行方不明事件について調査していたらしい。しかも意外と優秀で、いろいろとわかったみたい。
「えっと、もう一度調査で分かったことについて話しますね。」
横からルーチェが言ってきた。
しょーじき、調査をしていたことにもびっくりだけどそれをバレずにやっていたほうにびっくりした。ちょー優秀だね。
「行方不明者がでたのは昨日の子を含めて合計で13人。期間はだいたい一か月です。時間は主に夜。何人かは昼や朝でしたが、そういう場合は必ず今日みたいな曇りの日でした。つまり、外が暗いときにみんな行方不明になってます。子供に対しては共通点は見つからず、あるとしても全員が孤児院の子であったことぐらいです。」
ルーチェは淡々と調査結果について説明していった。
ふむふむ。おもってたよりも、結構調べてるね。すごい。
それを聞いたぼくは、頭を上下に揺らしながら心の中でほめてあげた。
「それで、なんで誘拐だと思うの?」
「それに関しては、たまたま昨日の子が一人院を抜け出したとこを追ったときにわかったからです。その子は外に出た後、フードを被った大人たちによって馬車に乗せられていたとこを目撃しました。」
「だから、迷子だったんだあ。」
らーちゃんが横から納得したように手をぽんっとたたいた。
たしか、らーちゃんたちが会ったときには森の中で一人さまよっていたらしい。これが残念なとこだったなー。
「ここまでわかるとレイたちがやることほとんどなくなーい?」
「ふふん。ボクをなめるなよ!」
たしかに、ここまでやると特に調べることがなくなった。レイちゃんが言っていることもわかる。
「あ、あとは、犯人を捕まえるだけですね。」
「そーだね。まあでも、ルーチェの言っていることがほんとーなら、らくしょーだね。」
「「?」」
らーちゃんとルーチェが不思議そうに一斉にぼくのことを見つめてきた。
「あの、どうやって捕まえる気なんですか?」
「簡単だよ。囮をわざとあっちに誘拐させて追いかけて倒す。ね?簡単でしょ。」
なんで、そんなことも思いつかないんだろう。
不思議に思いながららーちゃんたちを見ると、余計に困惑したような顔をしてきた。
「どこが、簡単なんだよ?どうやって囮の居場所を見つけるの?そもそも、誰が囮をするんだよ?」
「囮はだれでもへーきだよ。見つけ方は助っ人に頼ればどこにいてもすぐに見つけられるよ。」
「そんな都合のいい人がいるわけ。。。」
なにかを言い終える前にルーチェの顔がぱっと輝いた。ふふふ。どうやら、わかってたみたいだね。
「ま、まさか。。」
「そー。そのまさかだよ。」
考えを共有できたぼくたちは手をポンっと当てあった。そんなぼくたちを見つめたらーちゃんは少し考えた後に、ハッと気が付いたようにぼくのほうを二度見した。その目には不安げな色が混じっていた。
「えー?どういうことー?」
一人、話についていけなかったレイちゃんはぼくたちを戸惑いながら見つめてきた。そんなレイちゃんを見てルーチェはこぼれそうなほどの笑顔でレイちゃんに笑い返した。
「キモイ。」
「ちょっ、喧嘩売ってるの!?」
すみやかにレイちゃんが暴言を吐いた。さすがにルーチェもこれで心が折れたみたい。さっきまでの笑顔はどこか忘却の彼方に飛んでいってしまった。
「もー、ぼくからいうよ。」
「あ、ちょっだめですよ!!」
「ルーチェ、黙って。」
ぼくとレイちゃんの間を阻むルーチェの手を振り払いながら、ぼくはレイちゃんに向かって伝えた。
「この依頼にぴったりな魔女を呼ぶんだよ。」
「あー。なるほどね。」
レイちゃんがニヤニヤしながらルーチェを見下した。どーやら、ルーチェは魔女の大ファンらしい。
誘拐事件、助っ人の魔女、囮、魔女の大ファンかー。
ふふ。
「こりゃ、面白いことになるねー。」
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