元気すぎんだろ…
エレンの乗りたいアトラクションは、なかなかハードなものばかりで、このまま午後までもつかな?って少し不安になりつつあった。
午前中の限界が、すぐそこまでやってきております。
というか、限界であります。
…
あー、疲れたーと心の悲鳴をあげると、ちょうどそこに、お昼を知られる音楽が流れ出した。
…やっと休憩ターイム‼︎
リナと彼氏と合流して、ランチタイムです。
グッタリしているオレの横で、エレンとリナの彼氏が、アトラクションの話で盛り上がっていた。
午後からは、あれに乗るとかこれも良さそうとか…。
元気すぎんだろー…と思いつつ隣で静かにピザというエネルギーをとり、体力の回復をじっと待った。
で、隣を見るとリナもなかなか疲れている感じだった。
「リナ、乗り物酔いした?」
「あー……少し。でも大丈夫…でもないかも…」
「だよな。顔色悪いもん」
「え?そうなん?リナ体力なすぎ!みてみろよ。エレンなんか、こんなに元気だし、めっちゃ食うじゃん」
というリナ彼。
「えー、だってここのピザすんごい美味しいよねー。」
と、エレンとリナ彼は盛り上がっていた。
二人との体力のギャップが…
…
お昼を食べ終わると、リナはまだ少しここで休みたいって、彼氏に申し出ていた。
すると彼氏は、早く乗り物に乗りたいらしく、ウズウズしているっぽい。
それは、エレンも同じだった。
「エレン、オレも限界だから二人で乗り物乗っておいでよ」
と、促すとエレンとリナの彼氏がキラキラ目を輝かせて、
「「いく‼︎」」
と、手を取り合っていた。
…
元気すぎる…。
二人は、さっさとテーブルの上を片付けて、どれ乗る⁉︎と、乗り物のことで頭がいっぱいのようだ。
オレたちは、力なくヒラヒラと手を振って二人を見送った。
「あの二人…元気すぎんだろ…」
「ね…」
オレたちは、元気な孫を見守る保護者かってくらい、ゆっくりした。
そして、二人並んでソフトクリームをペロペロした。
冷たくて、甘い。
「爺さん、アイスとけますよ?」
「おお、ほんとじゃ。」
と、くだらない会話をして過ごしました。
おかげで、幸せチャージすることができた。
今、オレたちの視線の先は…ゆる〜いチャプチャプ浮かぶお船のやつだった。
それを二人して、ボーッとみつめていた。
こういうのでいいんだよなぁ…ってぼんやり思っていると、リナが
「わたし、こういうの一日乗ってるだけで満足なんだよねぇ」
と、つぶやいた。
オレと同じやん。
なら…今度二人で、やり直し遊園地する?って言いそうになってしまった。
いかんいかん…
そんなこと…お互いカレカノがいるのに…
それはもう…浮気になるんかな?
恋人がいるのに、別の人と遊園地で一日過ごしたりしちゃったら…
それはもう…浮気よな?
…
今は、状況的にそうなっているだけで、これは…別に浮気ではないと思われる。
オレたちもそうだけど、エレンとリナの彼氏も。
まぁでも、知らない人たちからみたら、オレとリナは、付き合っているように見えなくは…ないよなー。
なんなら、エレンとリナの彼氏のほうが付き合ってんじゃね⁉︎ってくらい楽しそうにはしゃいでいる。
…
さっきチラッと見かけたんよね。
アイス買う時に。
なんか…めっちゃ楽しい‼︎が溢れていたんよね。
ごめんなさい。
乗り物酔いしながら、午前中オレと一緒にいたエレン…。
オレといても楽しくなかっただろうに…。
今は、エレンを笑顔にしてくれているリナの彼氏に感謝だ。
そっと心の中でリナ彼に感謝していると、笑顔がホクホクのエレンがリナ彼と、こちらに戻ってきた。
「おかえり、エレン」
「ただいまぁ〜、アイスだ!いいなぁ。わたしも食べる」
「うん、それじゃあエレンの分も買ってくるよ」
「ありがと〜」
オレは、エレンのためにアイスクリーム屋さんに並んだ…んだけど…
⁉︎
後ろにいつのまにかリナ彼がいるー‼︎
オレの視線に気づいたリナ彼は、
「オレもアイス食う」
と、ソフトクリームのサンプルを指差した。
…
「あぁ、バニラうまいよ」
「マジか‼︎なら、それにしよっかなー」
リナ彼って…こうやってきちんと二人で話すのって、はじめてだけど…
意外といいやつなのでは?
「あの…午後からエレンと一緒にまわってくれて、ありがとな」
一応彼氏の立場上、お礼を述べた。
するとリナ彼は、
「あー、エレンちゃんは素直でかわいいよなー。リナと違ってさ。」
と、リナたちの方に視線をやった。
…
⁉︎
え、今って…
「もしかして、リナってエレンと二人きりじゃん‼︎」
「うん、そりゃそうでしょ?なんか問題ある?」
「え…いや…」
リナとエレンは、特になにを話してるってわけでもなさそうだ。
リナは、携帯をみてるし…エレンは、鏡をみて前髪を整えていた。
オレはアイスをもらうとリナ彼に、
「先に戻ってるから」
と、急いで二人の元へ戻った。
「お待たせ、エレン。はい、アイス」
「早かったね!ありがと」
エレンは、嬉しそうにアイスを頬張った。
「エレン、こぼしてるよ」
「あ〜、つい美味しくてがっついちゃった」
「フフッ、いいことじゃん。オレがっついてる女子好きー」
⁉︎
いきなり現れるリナ彼
「えぇ〜、タクトってば好きとかやば〜」
リナ彼が、いきなり彼女の前で他の女子を好きとかいいん?
てか、一応…オレがエレンの彼氏なんですけど?
そもそも彼氏の前で、よくそんなこと言えんな?
ちょっと呆れていると、リナも呆れ顔だった。
…
よかった。
リナがムスッとしてなくて…。
まったくリナ彼は…
さっき、いいやつかもなんて思ったこと、撤回してやるかんな?
続く。