やってはいけない肝試し
オレたちは基本、土日のどちらかに二人でゲームをする。
それは、昔からだ。
お菓子とジュースを用意して。
「あ、リナのそのお菓子うまそう。オレにもちょうだい」
「いいよ、はいあーん♡」
「できるかよ」
と、バカな会話をしつつゲームする。
てか、リナ…
彼氏できたのに、恒例ゲームはオレとしてくれるんだ?
まぁ、オレも彼女いるけど…それ知ってからもリナは、うちに来てたからな。
幼馴染だからいいじゃんって、オレが強引にその頃は、誘ってたんだよね。
今は、強引じゃなくて普通に来てくれている。
「ねぇ、ところで…エレンってシュンの部屋とか来ないの?」
「うん。来たことない」
「なんで?」
「なんでって…知らん」
「リナは?彼氏部屋に呼ぶの?」
「ううん、絶対ムリ」
「彼氏だろ?かわいそ」
「いいの。それがルールだから」
「そっか。付き合い方にもそれぞれあるもんな」
「うん。そうそう」
「で、オレたちは…何仲間?」
「幼馴染のゲーム仲間じゃない?」
「あー」
ゲーム仲間か…。
「てかさシュン、昨日の学級日誌みた?」
「みてない」
「すっごかったよ」
「なにが?」
「それがメモ欄にさ、とあることをすると願いが叶うって書いてあったの。やる?」
「え、どんな?」
「なんか、だれかとみつめあい、くちびるを重ねると願いが叶うって」
…
「それさ…もうあれじゃん」
「あれ?なに⁇」
「いや…キスだろ?」
「えっ⁉︎キスって…えっ」
…
「えっ⁉︎じゃないから。普通わかるよね…」
「ううん、わからなかった…危なかったね」
…
なんだ?ただの天然炸裂か。
なら、気づかないフリしてキスしちゃえばよかった。
残念。
と、心の中で獣発言をしてしまったので…慌てて封印いたしました。
そんなことしたら、エレンにぶちのめされる…ね。
封印後…
オレたちは、何時間もゲームを続けた。
そしたら、エレンから電話が来たので電話にでた。
廊下で。
「エレン、どうした?」
「あのさ、愛してるって言って」
⁉︎いきなりかよ…
「あー…愛してるよ」
「うん、知ってる。」
「なんだよ…用事って、それ?」
「ううん、好きだよって言って」
「なに?」
「言って‼︎」
「す…好きだよ。これでいい?」
「うん、いいよ。でさ、明日学校で壁ドンしてくれない?」
「は?なんで急に?」
「だって…いいじゃん‼︎彼女なんだし」
…
「わかったよ。じゃあ明日な」
「うん、絶対してよね‼︎」
「はいよ」
…
はぁ
もしかしたら、エレンは勘づいているかもしれないな…
リナのこと…
電話を切って部屋に戻るとリナがニヤニヤとしていた。
「愛してるとか好きだよとかさ…まったく羨ましすぎて、お湯が沸くわ」
「なんだよ、お湯が沸くって。風呂かよ」
「あはは、でもわたしはお風呂じゃありませーん…でも、ほんと羨ましいな」
どこかさみしそうなリナ。
「彼氏に言ってもらえばいいじゃん」
「んー……あ、シュン試しにわたしにいってみてくれない?肝試し的な感じで。」
「肝試しってなんだよ…」
「いいから言ってよー、ほらほらぁ」
…
肝試し…ならいいのか…な⁇
オレはじっとリナを見つめて、
「リナ、愛してる。好きだ。」
って真顔で言った。
するとリナは、
「わたしも好き。大好き。」
って返してくれた。
真顔で。
これは…気絶もんでした。
「これって…肝試しっていうか、オレには拷問だな」
「たしかにわたしも、そう。」
リナが、なぜたしかにってこたえたのかわからないけど…
でも、あの肝試しは…正直キッツイ。
パツパツの服着たくらいキッツイっすよ‼︎
もうさ、ベリベリに破いて切り裂いてやりたい衝動にかられました‼︎
破いてよき?
いや…ムリなんだよ。
今のオレは…そんなことできないんです。
できるわけがないんだ。
でも…
…
「あ、リナ」
「なに?」
「オレさ…オレ…服をベリベリに破いて切り裂いてやりたい衝動なんだけど…ムリなんよ。だから、少し破くならいいのかなって」
「えっ?どういうこと⁉︎わたしの服?」
「ううん、オレ自身の心の服」
「はぁ…えっ?服じゃなくて紙とか破いたら?なんで洋服なの?」
「それは…わからん‼︎ってかリナごめん‼︎許せ‼︎」
オレは、さっきの肝試しでスイッチが入ってしまった。
なので、リナをどうしても抱きしめたかったんだ…。
だから、リナを抱きしめてしまった。
「えっ⁉︎」
「リナ、好き。好きすぎる」
「うん。わたしも好きだよ」
…
突如始まった肝試しは、終わりを知らない。
しばらく抱き合いました。
嫌がることなく、リナも。
と、ここで我にかえりリナから離れた。
「ごめん。やりすぎました」
「ううん。わたしこそ…」
…
気まずい。
お互いフリーならまだしも…
オレたちは、どっちもカレカノがいる立場…。
スイッチが入ってしまったとはいえ…
「ほんとごめん…」
「わたしこそだから気にしないで」
と、オレのせいでこんなことになってしまった。
…
恐るべし…肝試しスイッチ。
…
続く。