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教訓

 夕食も終え部屋で一息つきながら劇の内容を思い出していた。

 あれはきっと乙女ゲームの良くあるやつだと思う。

 教科書の一文だったり、劇のセリフ、偶然会った人の何気ない会話の中に隠れている運営側の忠告。

 

「あの話は前世の記憶が有る人間が主人公だった」


 きっと「記憶をもって生まれた人間には何らかの代償がある」と言うことを伝えたかったのではと感じられた。

 となると「記憶を持ったまま生まれる」というのが今回の乙女ゲームのヒロインと悪役令嬢なのかもしれない。

 

「今は隠しルートではなく、続編で異世界転生パターンになったの? 」


 そうすると私は全く未知のゲームに巻き込まれた事になる。

 これって本当にゲームなの?

 もしかするとあの劇のシナリオを作った人もまた前世の記憶持ちで、自身と同じような境遇の人にメッセージを送る為に観劇という手段を使って教えてくれているのでは?

 シナリオを書いた人に逢ってみたいがこの作品はかなり昔から有るものらしい。

 夫人に質問するも……


「あの劇の脚本を書いた人物は私にもわからないわ」


「そう……なんですね」


「気になるの? 」


「……あのような作品を生み出した切っ掛けのようなものが聞けたらと……」 


 私が記憶を持って生まれた理由……

 確かに私は今まで何もしてこなかった。

 断罪から逃れるためにあの四人の関係を暴露しただけで、その後私は領地に引きこもり更にはよそ様の領地でのんびりしてる。

 伯爵夫人が好意で貸してくれたとはいえ他人のドレスを着用し侯爵夫人が強引にパーティーの招待状を入手し反論すること無く素直にパーティー参加した。

 そのパーティーではアクシデントが起き、その謝罪として公爵から宝石を頂きドレスも届く予定。

 私は何もせず周りが勝手に動いたのかもしれないが、最終的に私は受け入れた。


「これではまるで……物語の強制力のように、私が参加させられているみたい……」


 ドレスを頂いたのに、王族のパーティーに出席しないなんてできないよね。

 何もせず貰うだけ貰って良いとこ取りなんてしたらどっかのあの女t……マーベルと一緒じゃないか。


「記憶を持って生まれたからには私がやらなければならないこと……」


 なんとなく気付いていることは有る。

 私が目を背け続けているものなんて……

 だけど私の記憶は断罪までで、この国で役に立つ知識は一つもない。

 その状態で一体私に何が出きるのだろうか。

 劇を教訓にするならば、逃げたら私は幸せに成れないって事なのよね。


「…はぁぁぁぁぁぁぁぁ」


 逃げ回っていてはダメって事かぁ。

 逃げるからいろんな問題が降ってくるのであって、逃げずに立ち向かえば……


「それが、嫌なんだって……」

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