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周囲の反応

「あのアンジェリーナ様が頭を下げましたわ」


 ゲームのアンジェリーナは悪役として描かれているので、誰かに頭を下げるような人物ではない。

 なので私が頭を下げると周囲の令嬢達は当然ながら驚き私はその態勢のまま聞き耳を立てる。


「嘘でしょ」

「……確かにアンジェリーナ様のマーベル様への対応は厳しかったですものね」


 この世界がゲームのままとはまだわからないが、今の私にはゲームでの情報しかない。

 彼らの反応で人間のアンジェリーナがゲーム通りなのか判断する必要がある。

 それに、ゲームの外側ではヒロインや攻略対象者や悪役令嬢はどんな印象を持たれているのかを知りたい。

 婚約者がいるのを知りながら男性に近付き見せつけるような行動をしているのに、悪評がアンジェリーナだけなんておかしすぎる。

 やはり相手が王子だと批判しにくいだけなのか、本当に王子達の行動に疑問を抱いていないのか……


「アンジェリーナ様は少々言葉選びに問題が有ったのは事実です」


 そこは私も思いました。


「ですが身分についてや、婚約者のいる殿方との距離については私も疑問がありましたわ」


 やはり私だけでなく違和感を持つ人間はいた。口に出せないだけで。


「私、マーベル様が王子だけでなくゴードン様やシャガール様ともそのような関係だったとは全く気付きませんでしたわ」


 え? 

 色んな場所でイチャついていたのに、気づきませんでした? 

 嘘でしょ? 

 あぁ、イーリアスとトラウデンは一応誰もいない場所だったか……


「マーベル様のそのような行動を観させられていたら、アンジェリーナ様があのように厳しく助言してしまうのも頷けます」

「アンジェリーナ様があれほど婚約者のいる男性に近づくなと仰っていたのに……」 

「王子もマーベル様を諫めることをせず、アンジェリーナ様に対して苦言を呈していましたよね? 」


 風向きが変わった。


「私、王子とアンジェリーナ様より王子とマーベル様がご一緒されている光景の方が良く目にしましたわ」

「私もです」

「王子とマーベル様はとても親密な距離でしたわよね」

「二人でいるところを目撃したのも、一度や二度ではありませんでしたわ」


 漸く王子の行動を口にする者達が現れる。一人が先陣を切ると一斉に語りだす。


「それをゴードン様とシャガール様にも同様の事をしていただなんて信じられませんわ」

「まるで娼婦じゃありませんか? 」

「ゴードン様もシャガール様も婚約者様がおりましたのに……」


 そう、そこよ、そこ。

 婚約者がいるのに他の女性と親密になる方が問題でしょう。

 性格に問題があったとしても、婚約関係を曖昧にさせたまま別の女性と関係を持ち相手の方に『問題がある』と責め立てる方が問題でしょ? 

 『俺が浮気したのはお前のせいだ』って責任転嫁してんじゃないわよ。

 『お前の常識のなさが原因だ』って言ってやりたいわ。


「あのドレス……どなたが用意したのかしら? 」

「男爵家が用意出来るような物には見えませんよね」

「仰る通りですわ」


 そこにも気が付いてくれるなんて嬉しい。


「あの宝石は? 」

「ネックレスはゴードン様の瞳の色では? 」

「指輪はシャガール様? 」


 さすが、令嬢達。

 目が肥えていますね。皆さんの推察通り、ヒロインの身に着けているドレスや宝石の全てが彼らからの贈り物です。

 彼らの言う『真実の愛』を目に見える形にした結果……

 愛の象徴。


「なんてことなの……」


 そう、『なんてことなの……』です。

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