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え?どこの国ですか?

「もう一度お尋ねしますが、シュタイン国に数名が留学をされているという事でしょうか? 」


「ああ。正確な人数は把握していないが数名が留学中と聞く。私の友人も去年から行っているが令嬢は知らないか? 年は私の一つ上であるから……令嬢の二つ下かな」


「シュタイン国に……ですか」


「気にすることはない。二つも違えば情報も行き届かないだろう」


 王子は私がサーチベール国の留学生の存在を知らないというのを気にしていると勘違いしているようだが、そうではない。


「いえ。私も最近フォーゲル伯爵に同じことを尋ねられた事がありまして……国の者に確認をしたのてすが……」


「あぁ、それで? 」


 私の要領を得ない会話に「何が言いたいんだ? 」という王子の表情。

 ただ、こちらにも事情があるんです。

 ハッキリさせたいようなハッキリ聞いてしまえばもう逃げられないような問題に発展する気がするんです。

 私の予想通りであるのであれば、それはきっと外交問題とかにもなりそうな程の問題なんじゃないですかね……

 私が躊躇っているのを焦らしていると捉えているのか、王子の表情が「早く言え」と言っている。

 私も覚悟決めるしかないんですね。

 呼吸を整え意を決して第四王子を見据えた。


「ここ三年程シュタイン国にサーチベール国からの留学生の存在は確認できていないと、さらに今年も留学生は居ないと報告が有りました」


「……そんなはずはない。俺の知る限り最低でも四人は留学しているはずだ」


 笑顔で会話をしながら目が細められた。

 私の情報収集能力を疑っているのだろう。

 それでも四人は多い。

 もし王子の言っていることが事実でシュタイン国に四名が留学していれば、噂になっているだろうしフィンメル令嬢が調査した際も留学生の存在を確認できていたはず。

 令嬢が私に嘘の報告をするとは思えないし、そんな嘘を吐く理由がない。

 もし、留学していたとしても四人が消えたことになる。

 そんな事が本当にあるのだろうか?


「四人も留学なさっているのですか? 本当にシュタイン国なのでしょうか? 」


「俺が嘘を言っていると? 」


「いえ、失礼ながら王子の勘違いではないかと……でないと、何か良くない事が起きているのでは? と……申し訳ありません軽率な発言でした」


「いや、俺も心配してくれているだけなのに強く言いすぎてしまった」


「最近良くない事が続きましたので、悪い方へと考えてしまいました。この話はこの辺で。ちょうど曲も終わりましたので会場へ戻った方が良いかもしれませんね」


 無理矢理話を終わらせその場を濁すも、燻った思いが不快で堪らない。

 第四王子が嘘をいっているとは思っていないし、キャロライン・フィンメルが嘘を吐く必要もない。

 二人が真実を言っていたとしても、辻妻が合わない。


「これはどういうことなのだろうか? これは果たして乙女ゲームのイベントなの? 」


 もしこれがゲームのイベントだとすれば、ヒロインが解決するイベントで私が首を突っ込むものではないのかもしれない。

 それによく考えれば、情報を持ってきたのは第四王子。

 まさに攻略対象と言える身分。

 今回の留学生失踪事件がイベントだったとすれば、私がしなくてもヒロインが解決するんだ。


「……きっと……そうだっ、そうに違いない」


 ぶつぶつ呟くも音楽で私の声はかき消され、エスコートしくれている王子も私には興味がないようで気にしていない。

 このまま会場に戻って、何事もなくパーティーに戻ろう。

 第四王子のエスコートでフルーリング侯爵夫人の元へ向かう。


 ガシャン


「え? 」


 振り向くと割れたグラスとワインが床に散乱していた。

 周囲の女性が「あっ」と声をあげ口元を隠し、私のある一点を見つめている。

 その視線の先を追う。

 私のドレスを確認すれば、赤紫色のシミが出来ていた。


「申し訳ありません」


 ワインを運んでいたであろう使用人が顔色を悪くし頭を下げていた。


「いえ、私自身は大丈夫です」


「令嬢を控え室に」


 事態に気が付いたミューリガン公爵に促され、控え室へと向かう。


「俺も行こう」


「ドレスを着替えるのですよ、私一人で問題有りませんわ」


 第四王子が名乗り出るも断り、使用人に案内された控え室へと入って行く。


「どうしよう、フォーゲル伯爵夫人のドレスを汚してしまった」


 会場を抜け出せたことは有り難いが、夫人に借りたドレスを汚してしまった。

 ワインの染みは取れにくいと聞くのに……

 私が伯爵夫人に借りたドレスに落ち込んでいれば、何着かドレスを持ったメイドが現れる。

 どのドレスがいいのか聞かれたので選択すると、手際よく着替えが行われていく。

 そして汚れたドレスは素早くメイドにより洗濯される為、持っていかれてしまった。 


 それらは、あっという間の出来事。


 問題は解決したのだから会場に戻ってもいいのだが、少し休んでから戻ることにした。

 先程の王子との噛み合わない会話に疲れてしまっていた。


「はぁ、パーティーって大変だな」


 ソファーに座ると疲れを感じる。

 これは慣れないダンスをしたからなのか精神的によるものなのか……

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