パーティーとは
<パーティ>
今回のパーティー、伯爵とルースティンは招待されているので参加する為に王都に出発している。
隣国の貴族ではあるが私とアンドリューは招待されていないので伯爵の領地に留まっている。
「お二人共、お気をつけて」
伯爵親子に留学について伝えるべきか悩んだ結果、何も言えずに二人を見送ってしまった。
「パーティーかぁ……私の初めてのパーティーは散々だったからなぁ……」
様々な思惑が渦巻くパーティーが遂に幕開く。
仕事に関する情報を得ようとする者。
どうにか相手の弱みを探り蹴落とそうとする者。
より良い婚約者を手に入れようとする者。
全ての事に巻き込まれないよう存在を消す者。
貴族の本心を隠す、素顔のままの仮面舞踏会が始まる。
そして前回までのパーティーとは違い、本日から学園に通っている者も参加し始めるそうだ。
紳士は紳士と淑女は淑女と学生は学生と。
次第に分かれていく。
その中でも更に派閥が出来、ヒエラルキーが生まれる。
社交界とは一見華やかに見えるも、実際はドス黒い感情が蠢いている。
見えない魔物の餌食になれば簡単には抜け出せない。
生け贄になったモノに手を差し出す無謀者もいない。
ドレスや宝石はその為の戦闘服。
笑顔は武器。
社交界と言う戦場を貴族達は生き延びなければならない。
淑女教育を身に着けるのは、相手に付け入る隙を見せないための鎧。
常に優雅な微笑みは盾、相手の真意を見抜き互いに腹の探り合いの社交界はまさに戦場。
それを心底楽しんでいる貴族は極僅かだろう。
そんなパーティーが私の知らないところで始まろうとしている。




