人様の領地でノンビリ
伯爵からマーベルらしき存在を確認していないことで、アンドリューもそこまで親密ではないのだろうと今は一安心。
「あ~久しぶりにノンビリだわ」
私がここに滞在中は、二人を接触させるつもりはない。
もし、相手がマーベルであった場合は邪魔するのではなく真剣に考えるつもり。
「まずは、アンドリューに本当に結婚したいのかを確認する」
マーベルと結婚するとなれば、過去のマーベルについても話さなければならない。
マーベルは国外追放となっているのだから、結婚となればアンドリューもシュタイン国への入国に制限が掛かる可能性がある。
マーベルとの結婚はそういうことだ。
それでもアンドリューが公爵家だけでなく入国制限を受けてでもマーベルを選ぶと言うなら私はそれ以上なにも言わない。
アンドリューならフォーゲル伯爵の領地でなんとか暮らして行けるだろう。
「あっ、意外に問題解決しそうじゃない? 」
これで本当のスローライフが送れそう。
その予行練習ということで、今からノンビリをするぞー。
……と、意気込んだのも束の間。
すぐにノックの音で現実い引き戻される。
「お嬢様、手紙が届いております」
「手紙? お父様かしら? 」
「いいえ、旦那様ではございません」
「なら……誰かしら? 」
お父様以外で友達とは無縁の私に手紙をくれる人物……
もしかして、またイーリアスの元婚約者さんかと考えながら使用人から封筒を受け取る。
「これは……書類?」
手紙とは思えない厚み。
「もしかして手紙以外に何か同封されているのでは? 」
透かしてみるに、紙以外の物が入っているようには思えない。
不審なものではないと判断し封を見る。
封を見た所で何処の家紋の物かなんて全く分からない。
内容を確認すれば分かることと思い、封を開ける。
「報告書? 」
中身は確かに便箋だが、あまりの量にパラパラとめくれば様々な便箋で書かれている。
あまりの枚数に読むのを少し躊躇う程。
これは読むのに気合いが必要と感じる。
「……ふぅぅぅ」




