都合よく出会いイベントは起こらない (マデリーン)
「平穏だ……」
学園に編入してからすぐに試験で成績を残し、第一段階の第三王子の婚約者エメライン・ブルグリアとの接点が生まれてから何度かお茶会を開催し参加している。
その都度紅茶を持参し令嬢達との信頼関係を築いている。
「卒業まで残り十ヶ月」
今のペースで第四王子まで辿り着き、攻略できるのか不安でしかない。
元が日本の乙女ゲームなので一年が十二ヶ月。
春夏秋冬もあり、さらに夏には長期休暇、春にも連休がある。
建物や景色は中世ヨーロッパのような世界観で、この世界に魔法は存在しない。
転生者特有のチートを発揮して学年問わず名を轟かせる事は難しい。
「このままで本当に間に合うの? 」
第四王子は今年入学したので、学年は二つ下。
最終学年に編入した私と偶然を装うにも、かなり不利な状況。
今のところ第四王子に特定の令嬢は、まだ居ないらしい。
『らしい』であって、それも定かではない。
私がこんなにも焦り出している理由は、後一ヶ月もすれば夏の長期休暇に突入してしまうから。
今の時期に何かしらの行動を見せておかないと、長期休暇の時間を無駄に過ごしてしまうことになる。
すくなくともエメラインと休暇中にはもう少し親密なり、できれば婚約者の第三王子を紹介されたい。
「ぁぁぁぁあああああ、どうしよう……なにか切っ掛けが欲しい」




