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 夕食。

 お父さんに託したのたが、アンドリューの様子がきになってしまう。


「リーナ、アンドリューと共に隣国へ行ってみないか? 」


 お父さんに突然話を振られた。

 先程、使用人から執務室へ向かうアンドリューを目撃したと報告を受けている。

 きっと、アンドリューにそれとなく確認し留学を中断させる説得でもしたのだろう。

 だが失敗に終わり、私に助けを求めた……

 ということは……

 やはりアンドリューの想い人はマーベルなのだろう。 

 お父様は私の話をしたのだろうか?

 私の結婚・婚約を破談に関与しているのがマーベルだと……

 それでも結婚したいのであれば、アンドリューはカストレータ家から廃嫡されるだろう。

 相手の女性がマーベルでない場合もある。

 その時は、どのような過去を持っている女性か調べ、アンドリューと話し合い隣国で暮らすのか公爵家に入り貴族入りするのかを尋ねるのが私の役目なのだろう。

 どちらであっても面倒ではあるが、どちらか選ぶとしたら後者がいい。

 それを確認するには直接確かめるしかない。


「婚約が解消となり一時的にでもシュタイン国を離れ、あの出来事を忘れたいので……気分転換も含め一緒に行ってもいいでしょうか? 」


 アンドリューの表情は不服そうな顔に見える。

 私からすると『こっちの気も知らんでこの男は、変な女に捕まってんじゃないよ』と言ってやりたいのを我慢している。

 気のせいかアンドリューはお父さんを睨んだようにも見えたが、お父さんは怯まなかった。


「私は……構わない」


 私が婚約解消したことで多少は寛大になり渋々頷いたよう。

 許可を得る事が狙いだったのだが、内心は隣国へ付いて行く許可を得てしまい面倒だなぁと思っている。

 一人になると本音が漏れる。

 

「本当、ヒロインの魔性さには感心してしまう。悪役令嬢の兄まで魅了してしまうなんて……」


 隣国へ向かう為、荷物の準備をしている。  

 王都から何日も掛けてカストレータ公爵家の領地に到着し、今度は更に時間を掛け隣国へ。

 表向きはアンドリューが改革の手伝いをしている領地に。

 真の目的は……


「考えたくない」

 

 ヒロインご都合主義という言葉がある。

 マーベルを思い出すと、今度は何が起きるのか気が滅入ってしまう。


「領地までの移動に馬車で八日程も掛かったのに、隣国となればどうなる?」


 一日でも悲鳴を上げてしまう程大変なのに、領地から十日は掛かる見込みと聞く。


「そんなの……耐えられる気がしない……」


 安易に『私も隣国についていく』なんて……

 お兄ちゃん大好きっ子みたいな発言しなければ良かった。

 アンジェリーナとアンドリューがそこまで仲のいい兄妹とは思えないのに。

 なんて発言をしてしまったんだ。

 使用人達が突然決まってしまった予定に慌ただしく対応してくれている。

 そんな時に

 

『やっぱり、行くのやめます』


 なんてワガママは口にできない。

 もう、私は隣国に行くしかない。

 あの揺れる馬車に十日間……


「考えるのもイヤ……」

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