表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

28/144

始まるのか?始まってしまうのか?

 執務室にて、公爵とアンジェリーナの会話。

 娘がいてくれるだけで嬉しいのか、公爵はずっとニコニコしている。

 お父さん、今はそんな状況ではないの。


「……お父様、お兄様があの女に引っ掛かりました」


 娘との会話を楽しむ気でいたお父さんにとって、なんの話をされているのか理解できず時間が止まっている。


「あの女とは誰の事だ? 」


 ゲームでは語られなかった兄という存在を受け入れていると、思わぬところで兄がヒロインの魔の手に掛かっていた。

 動揺している私はわかりやすく簡潔に伝えたつもりが、完結過ぎて伝わらなかった。

 私はまとまらない頭で必死にお父さんにこれまでの話をする。

 

「お兄様は、国外追放となったマーベルと遭遇し隣国で接触したようです」


 その一言で、笑みを浮かべていたお父さんの表情が真剣なものに変わる。


「お兄様は……おそらく、マーベルとの結婚を考えているようです」


「アンドリューが、あの女と結婚? それは……」


 お父さんは驚いた後、困惑した表情を浮かべ私に視線を向ける。

 難しい立場だろう。

 娘の婚約破棄の原因となった女に息子が惚れる……

 子供の気持ちを一番に考える父親としては、どうするのが正しいのか混乱しているのだろう。

 目の前に婚約破棄された娘ががいれば複雑だろう。


「はっきりと言われたわけではないんですが……きっとそうではないかと……」


 報告していて感心してしまう。

 王族の婚約を破棄させ国外追放となりどん底のはずなのに、もう虜にしてしまっている。

 流石はヒロイン。

 何処へ行っても魅力的な容姿で人を惹き付けてしまうらしい。

 正直、羨ましい。

 これは、八つ当たりなのかな?


「……話は分かった」


 話を終える頃には、お父さんは信じられないと言った様子で重苦しい空気が部屋を支配していた。

 やっとゲームが終わり一段落ついていたのに、いつの間にか別ルートが始まっていた。

 あの女は何処へ行ってもカストレータ家を巻き込み不幸へと落としたいらしい。

 今後どうするべきかはお父さんに託すことにし、私は部屋へと戻る。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ