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そんな人ゲームにいました?

「もう、三年か……あっという間だな」


「そ……そうですね」


 お父さんの語る『アンドリュー』という人物が誰なのか、質問できないまま必死に話を合わせる。

 会話の内容で、幼馴染なのか友人なのか、それともアンジェリーナの想い人だったりするのかを必死に探るも決定的なものは掴めない。


「アンドリュー……」


「……リーナ……すまなかったな。これからは自分の気持ちを大事にしなさい。私はもう、反対はしない」


 もしかしたら、アンジェリーナの婚約は政略だったの?

 お父さんは婚約破棄されたのが申し訳なく思っている様子。

 あんな浮気男、こっちから振ったようなもの。

 気にすることないのに。


「ここでは何も気にすることなく自由に過ごしなさい。必要な物があれば執事に。遠慮することはないからな」


「ありがとうございます」


 執務室を後にした。

 

「お父さん、良い人だったなぁ……」


 部屋に戻り、一人となり頭の中を整理する。

 アンドリュー……

 新たな登場人物。

 お父さんの話から『アンドリュー』という人物について分かったこと。彼はもうすぐ隣国から帰国する。

 彼は十七歳から一年間の予定で留学しその後更に二年、あちらでの勉強を延長していた。

 彼の今回の帰国は、本来であれば卒業後に控えていたアンジェリーナと王子の結婚式に出席する為だった……


「わざわざ戻って来たのに、結婚式中止だなんて……申し訳ない」


 貴族として王族の結婚式に参加するのは強制ではないが断る者はいない。

 その為に一時帰国の予定だったが、二人の結婚は式の数日前に急遽無くなった為に王宮に勤める貴族達は各方面への通達に追われていた。

 なのでもしかしたら、アンドリューという人物には連絡の行き違いがあり結婚式が無くなった事を知らずに帰国してしまったのではないかと考えられる。

 結婚式が無くなっただけでなく、王子だけでなく側近や男爵令嬢の処遇などの話し合いに公爵令嬢のアンジェリーナが地下牢に収容されている事もあり王宮は混乱を極めていた。

 そのような状況だった為、アンドリューという人物は空いた時間で急ぎの仕事を片付けに向かったのだろう。

 

 お父さんの口調や会話の内容からしてアンドリューは従兄弟、幼なじみではないだろうかと判断した。

 そして『アンドリュー』とアンジェリーナはきっと仲があまりよろしくない。

 お父さんの口調からして、私をアンドリューと一緒にさせたくないように思える。

 もしかしたら、アンジェリーナの事を想っていたが婚約してしまった為に隣国へ行ってしまった幼馴染というパターンも有るのかもしれない。


「それだったら私が地下牢から出てくるのを待っていても良いはず」


 となるとアンドリューは、アンジェリーナと近い関係ではあるが仲はあまりよろしくないというのが正解だろう。


「アンドリューね……ゲームに出てこなかったな……」


 彼の立場になって考えると、可哀想にも思える。

 王族の結婚の為に勉強を取りやめ帰国したにも拘わらず、その結婚が無くなってしまったのだ。

 何のために帰国したのか意味がなくなってしまう。

 時間を無駄にしたくないが為に、動きまわっているのだろう。

 そして、そんな彼が戻ってくる。

 どう接したらいいのだろうか?


「喧嘩にならなければいいなぁ」

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