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ゲーム終了

 目覚めて外を確認すると、既に暗いと言うよりも明るさを取り戻しつつある。


「お腹空いちゃった」


 夕食を抜いてしまったので、今頃になってお腹が空いている。

 『何かください』なんて頼むには時間が早すぎる。

 ここは我慢するしかない。


「ヒロインは……男性陣と別れ、国外追放。攻略対象者も新たな立場で再出発を試みていると……悪役令嬢は王都追放」


 ゲームとして、これはバッドエンド? 

 終わったという事は、私はこれから何かに縛られる事なく『自由』でいいんだよね? 


「悪役令嬢アンジェリーナ・カストレータではなく、ただのアンジェリーナ・カストレータとして……」


 そう思えば、この景色も悪くない。

 私にとって始まりの色。

 暗闇から夜明けになるように、私の人生もきっとこれから始まっていくはず。


「フフッ」


 なぁ~んて物語調にふざけてみた。

 私は私らしく、頑張り過ぎず無理なく生きていこう。

 適度に力を抜いて、基本六割の力で乗り切る。

 なるべく、省エネで生きていきたいのが私。

 楽できるところは思いっきり楽します。

 そんな事を考えていたら再び眠くなり、ベッドに戻る。


「おはようございます、お嬢様。ご気分は如何ですか?」


「だいぶ回復した。昨日はありがとう」


「本日の朝食は軽めの方がよろしいかと」


「そうだね」


 使用人の助言通り、朝食は控えめに頂いた。


「気分が優れない時は、遠慮なく仰ってください」


 彼の声には聞き覚えがある。

 昨日支えてくれたのは彼だろう。

 心配されてしまった。


「はい。そうさせていただきます」

 

 昨日の遅れを取り戻すべく順調に走り出すも、昼食は食べることはできなかった。

 私の様子で察してくれたのか、休息時間が長かった。

 夜も毎回宿を取るような移動を繰り返していた。

 本来五日程で到着するところ、今回は八日も掛かってしまった。

 騎士達に迷惑をかけてしまったのだが、私が婚約破棄された事を知らない者はいないので寛大に受け止められた。

 なにせ婚約者の王子が男爵令嬢にのぼせ上っただけでなく、側近までもが同じ令嬢に籠絡されていたのだ。

 どちらに非があるかは明白。

 寧ろ、自信に溢れ何があろうと揺るがないと思っていた人物が、婚約破棄されたことで馬車に酔ってしまうほど弱ることに人間らしさを感じていた。

 なので彼らは日程に囚われず、私の体調を優先し宿を取りながら公爵家の領地へ向かってくれていた。

 移動時間が長くなれば、盗賊などに襲われる危険性が増し騎士に負担が掛かる。

 それでも彼らは躊躇することなく主の私を優先。

 そのおかげもあり、無事にカストレータ公爵が治める領地に到着。


「……やっと、着いたのね……」


 領地の屋敷は言わば別荘のようなもの。

 王都にある屋敷に比べると小さいが、それでも豪華なつくり。

 圧倒されてしまう。

 本当にカストレータ公爵家はお金持ちだ。

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