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屋敷

「釈放だ」


 いつものように朝食が運ばれたのかと思っていた私には、騎士の言葉の意味が分からなくなってしまった。


「令嬢への罰は、一カ月間の地下牢に王都追放という処置に決定した。このまま私が令嬢を公爵邸まで送り届ける。その後は令嬢の準備が整い次第王都を離れる事」


 ゲームでは「国外追放」を言い渡された。聞き間違いなのか、騎士は『王都追放』と言ったように思えた。


「国外追放ですか? 」


「いや、王都追放だ」


 騎士に再度確認したが、私は王都追放らしい。

 卒業パーティーでの私の反撃が利いたのか、それとも冷静に考え如何なる理由だとしても一方的に王命を反故した王子の行動も反映されての結果なのだろうか? 

 騎士に先導され、階段を登っていく。

 頑丈な鍵が解かれ、外へ繋がる扉が開くと獣でも鳴いたかと思うような音が響く。


「ん゙っ眩しいっ」


 一カ月ぶりの太陽の日差しに、何よりも先に目が驚いていた。

 両手で目を保護し慣れていくのを待つ。

 騎士に促されるまま公爵家へと向かう馬車に乗車。

 私にとってはこの世界の初めての外になる。

 馬車からこの世界を眺めていると馬車がある屋敷の前で停車し、門を護衛する騎士と視線が合い思わず隠れてしまった。

 顔が見えない程度に外の様子を確認すると門が開き再び馬車が動き出す。

 カストレータ家に到着したのだと分かる。

 

「すごっ……」


 見慣れない家の大きさに圧倒されてしまう。

 それは、かくれんぼしても逃げ切れる自信がある程の大きさ。

 放心状態のまま騎士に玄関まで見送られる。

 これだけの広さの屋敷なら、王都追放といわれつつも屋敷から一歩も出なければバレない気もする。

 もしかして、私が本当に王都にいないのか確認に王宮の騎士が見回りにでも来るのだろうか? 

 そうだとしても、私はあのゲームのような貴族が集う堅苦しい王都に固執していないので荷物を纏めたらさっさと公爵領へ向かう予定。


「……の前に、お風呂っ、お風呂っ」

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