表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

119/144

手紙

 <国王陛下執務室>


 エーバンキール国から再び手紙という名の報告書が届く。

 いつもの人間を集め開封しヴァージルが読み上げる。


「第二王子を調査したところ、長い間王家が所持している使用していない領地でアヘン栽培を指示していたのを確認。そこで農夫のように働いていたのが、我が国で失踪とされていた令息と……サーチベール国で家出扱いとなっていた令息だと確認できた。彼らもまた……アヘン常用者であるとされる。今回の調査で行方不明の令息・令嬢の生存を確認したので、彼らの保護に動く為にも両国で一斉同時検挙を行いたいと考えている」


 エーバンキール国からの手紙を読み終える。 


「では、これらは第二王子とドレスト伯爵の計画という事ですか? 」


 ワイアットが質問する。


「いや、まだドレスト伯爵が関与していた証拠が確認できていない」


 今回の事件は他国と綿密な打ち合わせを必要とする為、アビゲイルとワイアットから国王とヴァージルに主導権が移された。そして報告の全てをヴァージルが統括している。


「ヴァージル兄さん、いいかい? 」


「なんだ? 」


「ドレスト伯爵に付けていた密偵から報告が上がりました」


 アビゲイルはアンドリューの言葉からドレスト伯爵に独自の密偵を付けていた。


「……報告してくれ」


「ドレスト伯爵が第二王子と直接密約を交わした現場に遭遇はありませんでしたが、隣国から戻るドレスト伯爵の荷馬車に縛られ意識を失った令嬢を確認したそうです」


「それは確かかっ? 」


 アビゲイルの言葉に四人が驚く。これは決定的な証拠と言える。


「はい」


「その令嬢は保護したのか? 」


「……いいえ。保護してしまえば伯爵に気が付かれると判断し、密偵は動きませんでした。私としては彼の判断は失踪者を助ける為には間違っていないと判断します……ので、罰することは……」


 あの場で令嬢を発見した密偵であれば、令嬢一人を助けることは出来ただろう……令嬢の家族からすれば、見過ごした彼に恨みをぶつけたくなるかもしれない。だが、漸くここまで真実を捉え行方不明者の居所を掴み多数を助け出せると考えれば、密偵の判断は正しいかは分からないが間違っていなかったと訴えるアビゲイル。


「……そうだな。全員を救出する為には仕方あるまい。密偵には「よく耐えた」と伝えてくれ。それで、令嬢には目撃されていないのだよな? 」


「はい。令嬢は眠っていたので目撃はされていないと聞いています」


「そうか。これから、エーバンキール国と共同し失踪者奪還に移る。今後は慎重に……派手に動く事がないように」


「はい」

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ