表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

118/144

密偵 2

 <密偵・その二>


 共に任務を受けていた人間が国境警備で足止めを食らっているので、こちらはドレスト伯爵の尾行を優先した。ドレスト伯爵はエーバンキール国でも辺境よりの地域に広い土地を購入し屋敷を所持している。敷地に入られてしまうとなかなか調査は進まず、潜入するも使用人の監視の目が厳しく屋敷の外から監視するしかなかった。だが、屋敷の近くまで到着するも窓からでは伯爵の姿が見えない時間が長く何をしているのか把握できず。


 本来の目的である令息に会いに学園の寮に向かうのを尾行し、親子の対面を果たす。端から見ておかしな点はないようにみえる、そこでも第二王子と接近する姿は確認できず。その後は王都を巡り特産品や宝石などありとあらゆる店を覗き、商人の姿を見せる。


「貴族との接触は無かった」


「こちらも、使用人達の怪しい動きは確認できず」


 簡単に尻尾を出す人物だとは思わないがいくら尾行しても貴族と接触する姿は見せず、仕入れの為に訪れたようにしかみえない。屋敷に戻りもう一人の密偵と合流するも、使用人達に怪しい動きはないそうだ。

 深夜になっても監視の目を緩めず、必ず一人は屋敷の様子を窺っていた。


「ん? なんだ? 」


 小屋に明かりが灯った事に疑問が生れる。あの小屋は物置小屋で、使用人が滞在する場所ではない。深夜とはいえ行き来があれば必ず気付いただろうが、だがそんな人間はいなかった。突然小屋から明かりが灯ったかと思えば消えていく。好奇心で小屋を覗けば人の姿を確認できなかった。


「俺の気のせいか? 」


 半信半疑で小屋の内部へと進む。小屋は農具が並べられ、庭師専用の物と思われる。


 ギィィィィ


 小屋内を探索すれば一部の床鳴りが気になった。ろうそくを灯して確認すれば床下からの風に気が付く。


「床下に通路でもあるのか? 」


 目を凝らすと窪みを確認し持ち上げると、階段が現れる。内部を確認したいところだが、先に行った人間と鉢合わせする可能性を考え、扉を閉めもう一人の密偵と情報を共有する。その後も監視を続けるも伯爵が小屋に近付くことはなく、今回も大量の買い付け品と共に屋敷を出発しサーチベール国へと戻っていく。

 そして、国境警備で別れた仲間を確認。


「まさかっ」


「どうした? 」


 伯爵の荷物は国境警備責任者、アセッドイン侯爵が確認中の姿を遠くから目撃。一台目・二台目を侯爵が確認していると、検問捜査に潜入した密偵が隙をついて荷台に忍び込んだように見えた。


「いや、あいつが……荷台に侵入した」


「大丈夫そうか? 」


「分からない……」


「あっ」


 荷物は問題ないと判断され、馬車が動き出す。


「あいつは? 」


「降りたのは確認していない」


 伯爵の馬車を急いで追尾した。

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ