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余計な一言……

「側室……貴族全体を狙っての犯行と考えていたが、無差別ではなく目的があったとするなら……」


 他国の情勢を情報として認識してはいても、それが自身の国にどう関係してくるのかをアビゲイルは悩んでいるようだった。

 側室の子である第二王子が国王となった時、サーチベール国ではどのような変化が起きるのか……

 私としてはアビゲイルが口にした犯人の「目的」に至るまでが気になってしまった。

 犯人がここまでの犯行を計画し、実行に移すというのは強い恨みを感じる。


「被害者の……共通点を調べるべきかもしれませんね」


 アヘンによる犠牲者は被害者であり、ばらまいた人物が全面的な悪だと信じてきた。

 だけど、そこが間違っているのかもしれない。

 何かしらの行き違い・勘違いが生れて恨まれている可能性だってある。

 被害者の共通点を探るという事は調査するという事。

 被害にあった彼らに、狙われる動機が発覚することも……

 それは、エメラインとアイリーンも含めてだ。


「被……害者……の? 」


 彼の動揺が伝わる。

 私達家族を探る以上に、婚約者の家門を探る方がアビゲイルにとっては辛いことだろう。


「被害者に共通点があった時、その場に犯人がいる可能性もありますから……」


「そう……だな……」


 万が一婚約者の家門に不義があった場合、彼はどうするだろうか? 

 正義を貫く?

 それとも、隠してしまうのだろうか? 


「アビゲイル殿下、確か、ドレスト伯爵の嫡男がエーバンキール国に留学中で第二王子と親密だと聞いておりますが……」


 アンドリューの言葉に驚く。

 ドレスト伯爵とはマデリーンを養女にした方。

 そんな方の令息とエーバンキールで側室である第二王子が親密。

 今はなんの証拠もない。

 顔見知り、仲がいいだけの関係かもしれない。


「まさか、そこが繋がっていると? 」


「可能性の一つとして調査すべき対象かと……」


 アンドリューの言葉はマデリーンを「疑え」と言っているように聞こえてしまう。

 アビゲイル殿下から見て私は貴方自身の婚約者を「疑え」と言い、アンドリューはマデリーンとその家門を再調査しろと言っているようで私達カストレータ家から目を逸らせようとしているように見えないだろうか? 

 もし……お父様が関与していた時、アンドリューはその事を知っていたりするのだろうか……


「分かった。そこはあちらの王族とも連絡を取り、入念に調査しよう」


 アビゲイルが窓越しにエメラインに手を伸ばす姿を、私を庇うように立つアンドリューの背中から見つめる。

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