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ミノリ・リエ ループ ①

俺は今までの驚きの連続の中で最も驚愕している事実に直面している。


時刻を確認しても、誰かに確認しても俺はまだ登校すらしていないと言う。


今までの出来事は夢なのか…?


いや、俺はそんなとぼけたことは言わない。


そもそも夢は一日の振り返り機能だ。


俺が体験したこと無いことが鮮明に夢として映し出されるはずがない…。


もし、万が一にも、俺が登校する前に()が戻ったのだとすればそのトリガーは一体何なのかを知る必要がある。


ここで、なぜお前はそんなに冷静に時が戻るなどと信じられるかと疑問に思ったかもしれないが、このループものが一般に普及した時代に鈍感でいれる方がおかしい。


俺は前回の今日の一日を一個一個丁寧に思い出す。


すると、それっぽい記憶が引っかかる。


それは「息子への暴行」という記憶だ。


やはりループするからにはそれなりの衝撃的な出来事が鍵になると考えるのが定石だ。


そう考えると一番の衝撃はそれ以外思いつかない。


ただ、疑問点を上げるとすれば俺は二回蹴られたがその二回ともループが不発で終わっている点だ。


ここで考え出されるのが、単にループはある程度の時間を過ごさないと起きない。


または、俺は誰かの玉が蹴られるという行為を観測することだ。


後者についてはあの赤髪マゾが蹴られたタイミング的に合っていると考えられる。


とりあえず今分かるとことは、俺は自ら彼女の猛攻に身を投げ出さないといけないという赤髪マゾもドン引きの所業だ。


俺は前回の「行ってきます」よりも若干暗いテンションで家を後にした。


俺は前回の行動をできるだけ再現しながら辺りをキョロキョロしていると案の定何かにぶつかるような感覚がした。


「いたっ」


彼女は相変わらず、そんな苦痛の言葉を咄嗟に吐き出すが、俺にやたら色気のあるパンティーさんと俺を見合わさせる。


俺はこの後どうなるか分かっていながらも、


「おはようございます。」


そう彼女の下着に対して敬意を持って挨拶をした。


彼女は前回と同じ様に激昂していた。


「お前、私がちっこいからってからかってるのか!?

なんで、ごめんなさいよりもおはようが先に聞こえる訳ぇ?ねぇ?どういうつもりなのよ!?」


俺はこれが「デジャブ」かと他人事の様に彼女の言葉を聞き流していた。


俺は彼女に台本でも読んでるかのように気の迷いなんてなく呟いた。


「ちっこいな」


彼女の怒りの沸点はゆうに限界を超え、怒りをあらわにしていた。


「なっなんだよお前!?こんな失礼な奴初めて見たわ!もう謝罪なんていらない。これでも喰らって野垂れ死んどけカス!!」


俺は前回見えなかった彼女の一連の動作を目で追いつつ、それに合わせて息子を生贄に差し出した。


彼女は俺の急所に一閃を決め込んだ。


「おっおおぉう」


俺は何の恥じらいもなく、当然のことの様に股間を抑え、内股で尻を突き上げて崩れ落ちた。


そして俺は気絶した。


幾分か経つと、聞き覚えのある声が聞こえていた。


「あっあの大丈夫でしょうか?」


ロベリアさんの声だ。


俺は再び前回の行動をできる限り忠実に再現した。


━━━━━━━━━━━━━━


俺は教室に入った瞬間の猛攻にも耐え抜き、一つの仮説が有力になったのを確認した。


それは時間があまり経っていなかったから急所による攻撃を喰らってもループしないという説だ。


俺は次の説が立証するかを確かめる為にさっそく赤髪がマゾを暴露する証言台に忍び寄った。


「なっなぁ、私とお前はさ。二年になってからもなんだかんだ今年も一緒のクラスになれて、一年から部活も一緒で、放課後も遊ぶ仲にもなったよな。」


彼女は前回と変わらずに思いを彼に伝え始めた。


俺はこの告白から断罪へと切り替わるまで再びじっくりと一連の告白を傾聴していた。


「くたばれゃゃゃァァ!!!このマゾカス野郎ぉぉぉォォォ!!!!!」


俺は待ってましたと言わんばかりに少し体を前のめりにして彼女の怒りの攻撃を観戦していた。


その直後だ。


俺が前のめりになったせいか前回は気づかなかった毛虫が足元の赤いチューリップに付いているのをを発見してしまった。


「けっ毛虫ぃ!」


俺は思わず彼の目の前に飛び出してしまった。


その瞬間に嫌な予感がすると俺ではなく下半身が訴えかけていた。


俺はすぐさま前を向こうと、彼女の攻撃をかわそうと先程とは一転して自らを差し出すのではなく守る行動を取ろうとしていた。


がしかし、そんな咄嗟の判断だったが彼女の方を向いた時には俺の息子ではなく顔面に見事な飛び蹴りを決めていた。


俺は喰らった直後に痛みでも、前のめりで見ていた後悔よりも先に「急所に攻撃を受けるのがループのトリガーでは無いのか」と脳裏に()ぎった。


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俺は再び見慣れた天井と部屋で目を覚ました。


恐らく、先程の蹴りで気絶してしまったのだろう。


俺は自分の立てた二つの仮説が否定された事実に対して頭を悩ませていた。


俺は必死に脳から味噌が飛び出るぐらい考えたが、確信に至るような事はわからなかった。


でも、俺はあることは決めた。


それは、少しでも疑問に思ったら答えが分かるまで何度も繰り返すという決心だ。


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俺は幾度もループを繰り返した。


気絶するのがトリガーと考え彼女の地雷は踏まないようにしたり、

ロベリアさんにガーターベルトを履かせるフラグを折ったり、

そもそも彼女達と会わないで過ごしてみたりと俺は数えるのが億劫になるくらいに繰り返した。


それで一つの共通点に気づいた。


お昼以降に一日を続けられたことが無かったということだ。


そう考える間に「お昼」というワードから彼女の告白を連想した。


俺はもはや直感でも良いと思い、この説を頼りにすることに決めた。


それは、「彼女が振られるのを回避すること」だ。

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