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先輩少女を可愛がったら一生離れられなくなった話  作者: 月白弥音
Summer Vacation 〜運命の出会い〜
8/9

8. お隣さんの正体

「ああ゛ー……」


瑠奈の家に無事にレンジが届いたと報告を受けたその後。

ベッドに突っ伏しながら唸り声を上げる凛翔の姿があった。

今日は8月の最終日曜日。

つまり、翌日から2学期が始まる。

要は……


「ほとんどテスト勉強しなかったなぁ……」


そういうことだった。

成績自体は可もなく不可もなくといった具合であるが、それはあくまでもある程度の努力があってこそ。

ほとんど勉強しないで成績が維持できるほど高校のテストが甘くないことも理解している。

それ故に嘆きの声をあげているのだった。


「多少なりとも足掻きますか」


気持ちを切り替え教材を取り出す。

夏休みの課題とちょっとした復習程度は行なっていたが、十分ではないだろう。

テスト範囲を確認しながら、自分が苦手だった部分と得意な部分を思い出していく。

一度深く息を吐き、数学の問題集に手を出したあたり、苦手項目から手をつけることにしたようだ。

やる気にさえなれば集中力はあるらしく、ただペンが走る音だけが流れる。

時折音が止まるが、またすぐに再開する。

そうして数学以外の科目も少しずつ勉強するのだった。





そして夜が明け。

目覚めた凛翔には一周回って謎の自信がついていた。

今日は始業式後に実力テストの予定。

始業式の始まりに間に合えばいいため、登校もゆっくりでいい。

ギリギリにはならないが、いつもより少し遅めに家を出る。

高校までは自転車で20分程度。

いつもより遅いため、すれ違う人影もまばらかと思いきや、いつもより多いように見える。

夏休み明けで、早く家を出たくないと考える生徒が多いのだろう。


「よう、凛翔」


「蓮か。おはよう」


蓮も例に漏れず遅い登校をしている。

家自体は離れているため、瑠璃子とは別登校しているらしい。


「今日のテストの自信は?」


「妙な自信だけは」


「俺もそんな感じだ」


「そんなこと言って毎回50位以内には入ってるくせに」


「まあ成績くらいちゃんとしておかないとな。ルリの両親に認めてもらえないし」


「ああ、結構反対されてたもんな。まだ変わらないのか」


実は、蓮と瑠璃子の交際は瑠璃子の両親から反対されている。

凛翔はその理由まではっきり聞いていなかったが、2年以上の交際期間ですでに緩和しているのだと思っていた。


「2人とも真剣なことは何度も伝えてるし、あとは認められるような男になるだけだ」


「瑠璃子のことになるとやる気だよなぁ」


「ルリのことはもちろん大事だけど、お前のことも大切だと思ってるぞ?」


蓮を茶化したはずが、真剣な声色でカウンターを放たれる。


「男にそういうこと言うのキモイぞ」


「ひどい!?」


「ほら、早く行くぞ」


照れ隠しか、はたまた本心か。

本人にしかそれはわからないが、あまりの言われように立ち止まる蓮。

それに気づいてなおさっさと昇降口を抜ける凛翔。


「本当に大切に思ってるんだからな」


中学三年間で大きく変わってしまった幼馴染にその声は届かなかった。





始業式のため、体育館に並べられた凛翔たちはこれから始まる退屈な時間をどう乗り切るか考えてた。

8月の終わりの体育館は終業式以上に暑く感じる。

それでも空調設備は完備されており、現在も絶賛稼働中なのだが、外の暑さと生徒たちの熱で温度を下げきれないようだった。


「ではこの夏に行われた部活動での……」


運動部の大会実績について表彰。

雨鳥(あめとり)高校は部活動が盛んであり、県大会、全国大会への参加実績を持つところも多い。

全員強制ではなく、やりたい生徒だけがやりたい部活動を選ぶという方針であることも関係しているのだろう。

現に、凛翔も蓮も、瑠璃子も部活動には所属していない。

今年は全国出場が最高結果だったようで、その部活を最後に表彰が終わった。

そうなれば次は生徒たちにとって最もつらい校長の話だ。


「2学期は行事も待っています。詳しくは後ほど説明があると思いますが、勉強だけではなく行事にも楽しんで……」


そういえば、と凛翔は行事の存在を思い出す。

確か体育大会があったはずだ。

運動がさほど得意ではない凛翔にとってはあまり思い出したくない行事だった。


「それでは有意義な二学期を過ごしてください」


熱中症対策か終業式に比べ短く終わった話に生徒たちから安堵の息が漏れる。


「それでは行事のについての説明を生徒会よりお願いします」


そうしてまた1人の女子生徒が壇上に上がる。


「凛翔、ほら、あれが例のロリ先輩だ」


蓮に後ろから突かれ顔を上げる。












「………………は?」














そこにいたのは隣に引っ越してきた中学生、もとい()()2()()()の葵瑠奈だった。

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