表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
先輩少女を可愛がったら一生離れられなくなった話  作者: 月白弥音
Summer Vacation 〜運命の出会い〜
5/9

4.お隣さんとの偶然の出会い

瑠奈にご飯を渡した翌日。

電車で3駅ほどのところにあるショッピングモールにきていた。

見たい映画があったのとゲームセンターにも行く予定だ。

映画の予定までまだ少しあるため、ショッピングモール内を当てもなく歩き回る。

アパレル、食品、雑貨……あらゆるジャンルの店舗が並んでいる。

今日は特に他の用事がない凛翔は歩き回りただ時間を潰すのみにとどまっている。

普段から1人で過ごすことが多い凛翔にとってこの時間の潰し方は慣れている。

ちょうどいい時間まで時間を潰して、凛翔は映画館へと向かった。






映画を見終わった凛翔は満足げだった。

今年の小さい怪物たちの映画も満足度が高いものだったようだ。

時刻はちょうど昼過ぎごろ。

上映中定番のポップコーンを食べていたとはいえ、それだけでは高校生の腹は満たされない。

足は自然とフードコートに向かった。

ラーメン、ハンバーガー、丼ものなど空腹を訴える凛翔の腹をダイレクトに刺激する香りに包まれる。

様々な香りの誘惑を我慢しながらぐるっと一周して吟味し……


「やっぱりこれが一番いいよな」


手にしているのは芳しい味噌の香りを発している丼と香ばしく焼かれた半月状のもの。

味噌ラーメンと餃子のセット、それが凛翔の選択だった。

一周した時に目星をつけていた座席に向かおうと歩みを進める。

その途中、視界に最近何かとよく関わる人影を見つけた。


「よう、どうした?」


「あ、こんにちは」


同じくテーブルを探す瑠奈だった。


「そっちもこれからご飯か?」


「あ、はい、まあ」


「そうか」


お互い気まずい沈黙が流れる。

今日は夏休み中の土曜日でありかなりフードコートも混んでいる。

2人で気まずくなっている余裕はあまりなかった。


「その、だな」


「は、はい」


「そっちがよかったら一緒に食べないか」


「混んでますし、仕方ないですよね。いいですよ」


「おう、ありがとうな」


瑠奈の了承を得たところで改めて凛翔が狙っていた席に向かう。

無事に座れたところで2人は安堵の息を吐いた。


「座れてよかったです……」


「本当にな」


そこでふと瑠奈が持ってきているお盆を見た。

そこに乗っているのはおしゃれなパスタのみ。


「それだけで足りるのか?」


「まあ……そちらは随分多いですね」


「そうか? いつもより少ないくらいだと思うけど」


実際に今日は上映中に食べていた分だけ少なめにしている。

いつもなら半チャーハンも追加していただろう。


「男の子って感じですね……」


「まあ実際そうだしな」


しばらくして思い出したように瑠奈が口をひらく。


「そういえば昨日はありがとうございました。とても美味しかったです。あとでタッパーを返しに伺ってもいいですか?」


「ああ、別に気にしなくていい。現実逃避の産物だから」


「現実逃避?」


「夏休み明けのテスト勉強からの逃避……かな」


「ああ、なるほど……でもちゃんとしなきゃダメですよ?」


「真面目だねぇ……」


そんな話をしながら食事を進めていく2人。


「そういえば今更だけど俺と一緒で大丈夫なのか? 友達とかと一緒だったんじゃ」


「本当に今更……私は1人だったので大丈夫ですよ」


「それならよかった。それなら今日は何しにきたんだ?」


「ああ、えっと……」


突然言い淀む瑠奈。

何か言い難いことだったかと反省しながらふと昨日の出来事を思い出す。


「もしかして、電子レンジか?」


その言葉に瑠奈は体をビクッと揺らす。

どうやら図星だったようだ。


「はい……でも行ってみたものの何を買うべきなのかわからなくて……」


「あー確かに、種類も多いもんな」


確かに電子レンジも今や当たり前にレンジアップ以外のことができる。

あれだけ家事ができない瑠奈だ、あまり家電にも詳しくないのかも知れない。


「私、今までこういうものを1人で買いに来たことがなくて……困ってしまったので一旦ご飯でもと思ってここに」


「なるほどな。でも店員とかいるだろ? そいつらに聞けば対応してくれるだろう」


「あの、店員さんが私が本気で買うと思います?」


「あっ、あー……」


()()()が本気で電子レンジを買いたいと言っても確かに店員は信用しないだろう。

普通は一人暮らしなんかしている年齢ではないのだから。

さらに可愛らしい花柄のワンピースという今日の服装も相まって尚更客とは認識されなさそうだった。


「わかりました? 年齢相応にもみられないから自分で探して選ぶしかないんですよ」


言いながら小さくため息をつく瑠奈。

受け入れているように話しながらも相当困っているのがわかる。

昨日の爆発と今日の偶然の出会い。

運命などくだらないものを信じる気にはならないが、ここまで話を聞いて何もしないのも流石に寝覚めが悪い。

そう考え至った凛翔の口からは少し息が漏れた後、自然と言葉が紡がれる。


「なら一緒に選びにいくか」


「え? でも昨日も迷惑をかけているのに今日も付き合ってもらうわけには……」


「昨日みたいな爆発をそう何回も起こされても困るしな。それならそのリスクを減らすために付き合ってやるよ」


ぶっきらぼうに言いながら凛翔は食器を返却口に返すため席を立つ。


「そのまま待ってろよ、探すのめんどくさいし」


それだけ言って歩き出してしまう。

残された瑠奈は


「ありがとうございます」


小さく呟き、終わったらちゃんとお礼をしようと心に決めた。

評価をするにはログインしてください。
この作品をシェア
Twitter LINEで送る
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
このエピソードに感想はまだ書かれていません。
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ