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【第07話】練習試合2

ノヴァが両腕をこちらに伸ばし、一瞬で距離を詰めてくる。

初速が速い。足の裏に何か仕込んでいるのだろう。

俺も両腕を前に伸ばし、相手の両腕とつかみ合った。

膠着状態になるかと思ったのもつかの間、

ノヴァの首が伸びて俺の頭を飛び越し一気に背中のボタンに迫ってきた。


「まずっ!」


俺はすかさず前蹴りでノヴァの体を蹴り飛ばし、距離を取る。


「あっれー、今のギミックは自信作だったんだけど、

 相変わらず馬鹿ヂカラだなー。」


気を抜いたのか愚痴をこぼす下田(げた)

俺はそれを無視して地面を蹴り、ノヴァに追撃を仕掛ける。

相手の正面からやや右に体の軸をずらし、

相手の左足裏側に自分の右足を当てつつ左手の掌底で相手の胸を押す。

足掛け下段突きだ。

あおむけに倒して、一気に終わらせる!


岩田(がんだ)、君はやっぱり空手屋さんだな。

 人間なら転ぶんだろうけど、ノヴァはロボットだ。」


下田が言うと、ノヴァの体が一瞬浮き、押し返された。

俺は無理せず、押された力を利用して距離を取る。


「さっきも初速がやけに速いと思ったけど、足の裏に何かあるよな。」

「はい、ジェット噴射でーす。自信作。」


軽口をたたきあいながら、間合いを測る。


まずいな。相手の後ろを取る方法が思い浮かばない。

いっそ持久戦でバッテリー切れでも狙うか?

いやいや、それでは部長の全国制覇計画にフィードバックがかかってしまう。


「リクくん、聞こえますか?」


ヘルメットの中でツキ子先輩の声が聞こえた。


「ノヴァ、頭を伸ばして攻撃してきましたよね。

 頭を武器として使っているということは……。」

「……ということは?」

「あの頭にはカメラなどのセンサーは入っていないと思います。」


なるほど。

ツキ子先輩の言わんとしていることを理解した俺は、

下田がノヴァの右に陣取っていることを確認し、

すぐに今度はノヴァの左側に回り込んだ。

ノヴァはすぐに俺のほうに向きなおり、一瞬動きを止めた。


「あっ、くそ……!」


下田のあせる声。

ノヴァの体が邪魔で、下田からは俺が見えないはずだ。

やけになったのか、ノヴァは例のジェット噴射でこちらに突っ込んできた。

俺はさらにステップして左へ回避。

ノヴァを後ろを取ると、ボタンを押した。


「リクくん、お見事です!

 センサーがないから、やっぱり下田くんが

 自分の目で見て操作してたんですね。」


ツキ子先輩のうれしそうな声が、ヘルメットの中に響いた。

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