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【第06話】練習試合1

俺たちが生まれる前に日本で行われたオリンピック施設の再利用らしい。

野球場やサッカー場やバスケコートにランニングコースまで整備された

巨大なスポーツ公園。

その一角、草が生い茂る広場に俺たち機堂(きどう)高校ロボコン部は集まっていた。

俺たちだけじゃない、近所の新星(しんせい)高校のロボコン部も来ている。

ゴールデンウィーク最終日の早朝6時。まだ利用者がまばらな時間だ。

こんな時間じゃないと人が寄ってきたりして、ロボコンの練習試合は難しい。


そう、練習試合である!


「リクくん、調子はどうですか?動かしにくいところはありませんか?」

「OKです。」


ツキカゲを装着した俺は手足を伸び縮みさせながら答えた。

抵抗はなく、むしろ強く速く動くようにアシストされているのを感じる。

ツキ子先輩のメンテナンスは今日もばっちりだ。


岩田(がんだ)リク二年生、新星高校なぞ軽くひねるのだぞ。」


部長が俺の目の前に押しの強い笑顔を浮かべて言った。


「オス…… もし、苦戦したり負けたりしたら?」

「うむ、その場合には我が全国制覇計画にフィードバックをかけて、

 貴様のトレーニングメニューは空前絶後の苛烈なものとなろう。」


おおう、これは絶対負けられないな。


(わたり)ジン一年生も刮目して見よ!」

「はい、岩田先輩の戦いかた、勉強させてもらいます!」


新入部員の航くんも見てる。

お手本にならなくちゃな。


俺は練習試合の相手、新星高校のロボット、ノヴァと

パイロットの下田(げた)が待つ広場の中央に向かった。


「岩田、今日は勝たせてもらうぜ。」

「お手柔らかに。」


俺と下田は歩み寄って軽くこぶしを合わせた。

新星高校とは練習試合を何度もやっており、すっかり顔なじみだ。


「それでは模擬戦、始めます。

 ロボットの背中のスイッチを押されたら負けです。」


新星の女子部員が簡単にルールを説明した。

ツキカゲもノヴァも、今日は背中に赤いボタンを付けていた。

大会ではコアという部品を取り付けて、それを破壊されたら負けだが、

練習試合では出費とけがを避けるためにボタンで代用する。


「岩田リク二年生、仕上がりのよいところを見せるのだぞ!」

「下田あー、びっくりさせてやれよ!」


お互いの部長が檄を飛ばす。

ノヴァは一見シンプルなヒト型ロボットだが、中身は完全に機械なので、

人間ならありえない攻撃が飛び出すような仕掛けがあちこちにある。

また前回と違う何かを仕込んできたのだろう。


「はい、それでは少し距離を取ってお互いに向かい合ってー……ふぁいッ!」


女子部員の合図で戦いが始まった。

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