【第01話】新入生見学会1
四月。
入学式が終わり、高校の部活では新入部員争奪の時期となった。
どの部も連日、部室に新入生を引っ張り込んで口説くのに必死だ。
俺の所属するロボコン部も例外ではない。
「一対一の白兵戦で競う、今の高校生ロボコンは2030年に始まった。」
部長の説明に新入生たちはうんうんとうなずく。
そんな中に仏頂面で腕組みした女子が一人。
わが妹、岩田 ウミだ。
あいつ、初日でさっそく来たのか。
「ウミちゃん、難しい顔してますね。」
三年生のメカニックリーダー、ツキ子先輩が困り顔で言った。
俺たちは部室の隣の物置に身を潜めて、
ドアの小窓から新入生たちの様子をうかがっている。
パーツ越しだから何も感じないが、ツキ子先輩とは肩が触れるくらい距離が近い。
「我々、機堂高校ロボコン部は昨年から優秀なパイロットを迎え、
ロボットも一新。
県大会で準優勝の成績を修めた。今年は一気に全国優勝の予定だ。」
おーおー、盛り上げる盛り上げる。
パイロットとは俺のことだ。
実のところ県大会突破できるかなんてさっぱりわからないが、
褒められて悪い気はしない。
こういうしゃべりができるあたり、さすが部長。
「では、とくとご覧ぜよ。
機堂高校ロボコン部が誇るメカニックとパイロットだ!」
部長の宣言を受けて、物置のドアが開いた。