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78話

「っんあー!やっと外だ!疲れた〜、さすがに今回は疲れたぞ。」


「お疲れ様エミリア、ソフィアもお疲れ、ミラもお疲れ様でした。まだ、鑑定と精算をしなくちゃいけないけど、とりあえず水分でもとって、ゆっくりしよう。」


 僕らは、ダンジョンの3階層から、今戻って来たばかりで、みんな疲れている。

 どんどん敵が寄って来る状況に対して、どんどん連携を深めていく僕ら、さらに動きが良くなって来ると、戦闘の合間に意見交換する余裕も生まれて来た。

 そうして、お互いの距離感やタイミングを擦り合わせていくと、次第にエミリアとソフィアがノリだし、戦闘の継続を訴えた為、結構遅くなってしまった。


 本来なら、3時か4時にはダンジョンから出られる計画だった。

 それでも、何とか5時前に出られたのは、ひとえにミラの犠牲あっての事だ。



「ほら、ミラもいい加減に機嫌を直して下さいよ。いつまでもいじけてるなんて、ミラらしくもない。」


「そうだぞ。スパッと切り替えろミラ、いつものように。」


「・・・。」


 僕はギルドの窓口で、鑑定室の利用を申請してみんなの元に戻った。40分弱待つ事になる。

 ミラの機嫌は、未だ戻らない。


「せっかくコウタの背中を貸してやったっていうのに、なあ?」


「そうですよ、私がおんぶしてほしいくらいですのに、ミラに譲ってあげたんですよ?」


「・・・譲られてもいらない・・・、私は、自分の足で歩けるって言っただろ!?それなのに、お前たちが!」


 そう、僕がミラをおぶって走って帰って来たんだ。

 ミラはこう言ってるけど、その時は立ち上がる事も出来ないほど疲労していた。

 ミラの回復を待っていたら、いつまで経っても帰れないので、みんなして強行策に打って出た訳だ。


「まあ、そのうち笑い話に出来る日が来るよ。」


「ぐっ、うぅぅ・・・。」


 ミラは僕の言葉に、怨みがましい視線を向けながらも、怒りを収めた。

 まあ、大半は照れ隠しだろうからね。



「2人が継続を訴えた時に、僕は帰ろうって言ったよね?それを翻意させたのは、他でもないミラだよね?だったら、自分の責任は自分で取ろうね。」



 僕は現地でそう言って、ミラを強引におぶって来たんだ。

 だから、一応納得はしてるんだろう。

 後は、どう自分の感情に折り合いをつけるかだけだ。


 ミラならば、引きずる事もないだろう。


 初見のアイテムだけ残して、他の物は全て売却した。

 ゴブリンが落とす剣なんかも、ショップで腐るほど見てるので、これも売却だ。攻撃力9で、5万円もする人気アイテムだ。

 買い取り値でも2万円と、とってもいいお値段になる。それが昨今の需要の所為で、さらに5千円も上がっていた、頑張って持って帰って来た甲斐があるってものだ。


「とりあえずの精算分は終わったけど、残りのアイテムも鑑定結果次第では売っちゃうからね。」


「ああ、頼む。」


「良い物であれば使いたいですね。」


「いや、それはどうかと・・・。」


「ああ、止めておけソフィア。」


 良かった、ミラも僕の意見に賛成のようだ。

 ミラも落ち着いて来たみたいで、一安心だ。


 何しろ、珍しいアイテムではあったけど、ゴブリンが落とすアイテムだ、見た目が非常ぉに悪い。

 いくら性能が良かろうとも、ソフィアに着けてほしいとは思わない。


「今回、かなりの収入になりそうだけど、ゴブリンのナイフや剣の買い取り値が、上がっている事も原因なんだ。誰か何か知ってる?」


 誰か、と言ったけど、この手の話題は断然ミラだろう。

 喋る事によって、いつもの調子を取り戻してほしいものだ。


「各国で武器開発に使用してる所為だろう。まあ、ほとんどは形状を変えただけで、攻撃力10〜12が限界のようだ、日本の『小鬼丸こきまる』には到底及ばん性能だよ。ただ、一部の国で、これを弾頭に使うことで、モンスターに対する抑止力にしようとする動きがある。」


「そんなの効果があるのか?」


「一定の効果が見込めるからこそ、実行に移されたのさ。どの程度溜め込む気かは知らんが、あちこちで買い漁っているらしいからな。日本も、値上げせざるを得んのだろう。」


「うーん。ミラ、それが終われば、値段は元に戻りそうなんですか?」


「それはまだ分からん。他の国でも同じ事を考えて、実行するかもしれんし、開発競争が激しくなればどうなるか、先が読めんな。それに、まだダンジョンのない国々でも、備えておかない訳にはいかないからな。まだまだ需要に供給が追いつかんさ。」


「その割にはギルドで安く売ってない?」


「武器も持たずに、ダンジョンに送りこむ訳にはいかんだろ?値上げ競争に参加しない、その代わりに各国に公平に売りさばく。そうやって日本が、値段の安定に努めているのさ。」


 ダンジョンが出来てから、日本は随分と世界を相手に頑張ってきていたみたいだ。

 僕は、少しだけ嬉しくなった。

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