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63話

 ミラに、時間があるか聞かれ。

 エミリアにお昼のラーメンに誘われたが、僕たちはお弁当持ちなので断った。

 その代わり、3時半〜4時にはダンジョンを出る予定だと伝え、ギルド前の広場、コンビニの前で待ち合わせする事にした。


 ぼくは、なぜミラに勘づかれたのか、考える。

 そして、あの場でその話をしなかった意味も、同時に考える。



 パーティーみんなで動けない日に、他の人とダンジョンに潜る。

 これは、別におかしな事じゃない、用事がある人もいるだろうし、怪我して治らない事だってある。


 現に今日だって、ソフィアは来れないけど、ミラたちは、アデレード先輩まで誘って来ていた。

 まあ、アデレード先輩が、ソロでダンジョンに向かうのを見つけたエミリアが、その場で声をかけて誘ったそうだけど。


 陽キャか?陽キャなのかお前らは!?


 遥君といい、今の僕の周りには、陽キャが多過ぎる。

 陰キャの僕には辛い。



 遥君にも伝えないといけないだろう。

 僕の気のせいならいいけれど、そうではなかった場合のために、打ち合わせが必要だ。


「遥、ミラが何かに勘づいた恐れがある。」


「嘘だろ!?だって、何もそれらしい情報は話していないよ?」


「うん、これは僕の責任なんだけど。」


「いや!幸太はよくやってくれたよ!!」


 遥君ありがたいんだけど、早いよ?

 せめて、もう少し喋らせて。

 予防線を張ろうとした、僕が悪いのか?


「ああ、うん、ありがとう。」


「いや、ごめん。つい感情的になった。」


 イケメンなだけじゃなくて、良い男だわ。

 やっぱ、遥君は人間じゃないわ。ホモ・サピエンス、ヒト科、良い男族の、イケメン種とか、別の生命体だね!間違いないよ!


 ゴリラやチンパンジーと同じなら、殺っても良いよね?

 何?保護動物?

 知らないよそんな事!!

 現地では、ゴリラとか狩って食べてるじゃないか!


 それで、お前は綺麗なお姉さんに狩られて、食べられるのか!?爆発しろイケメンめ!!



 おっと、つい僕も感情的になる所だった。


「僕らが配信を始めた事を、ミラは不審に思ったんだと思うんだ。」


「誰でも気軽に始められるのが、こういうのの良い所だろ?急に始めたくらいで、不審に思うかなぁ?」


「探索者の配信をやりたいなら、パーティーで始める方が自然なんだよ。なにせ、うちのパーティーには、ソフィアとエミリアの2人がいるからね、一言もお誘いがなかったのは、不自然なんだよ。」


「ミラさんもいるしね。」


「そうだね、ミラも今では、一部の人たちに刺さる事間違いなしだね。これだけの人材を無視しておいて、遥だけを誘うのは・・・ね。」


「なるほど、不自然だね。」


 ただ・・・。


「まだ、おかしいってくらいしか、分かっていないと思う。それと、あの場で話し出さなかったのは、きっと、交渉の余地があるからだ。」


「と、言うと?」


「色々な予測も立てているだろうけど、その話を、わざわざどこかに持って行く気はないんじゃないかな。」


 遥君が、辺りを執拗に見回し、喋りだす。


「彼女は僕のスキルに関して、よそに売る気はないって事だね?」


「そうだと思う。それと、手伝いを申し出てくれたから、良ければ手伝うよっていう、彼女なりのメッセージなんじゃないかな。」


 彼女は、身内だけに通じる、サインみたいなものが好きだ。

 きっと賢い彼女に、周りがついていけなかったんだと思う。


 だから、自分を理解してくれる、ソフィアやエミリアが大好きだ。

 間をとったら、直ぐさまエミリアが話し出すとか、小さな視線の動きに気づいてくれる、そんな2人が大事で仕方がない。


 最近、少しずつ、僕も、その輪の中に入っていってるみたいなんだ。

 だから、さっきの視線はサインで間違いない。



 会話してると分かるんだ。

 彼女は、僕と比べて頭が良い。それも、僕ではどの程度差があるのか、分からないほどに。


 そして・・・、なぜだか、やたらと僕を頭脳派だと思い込んでる節がある!

 本当にやめてほしい。

 こちとら、ない頭を精一杯ふりしぼって頑張ってるのに、明らかにそれ以上を求められてる気がするんだ。


「幸太は、彼女を良く理解しているんだね。」


「人が人を理解するなんて不可能だよ、出来るのは理解しようと努力する事と、理解不能だと遠ざける事のどちらかだ。」


「哲学かな?」


「ただの経験だよ。それで、どうする?彼女の手を取って助力を求めるか、理解を求めて遠ざけるか。他の選択肢は、僕には思いつかないな。」


「頼りになる人なんでしょう?」


「たぶん、僕以上にね。」


「そんな事は、ないと思うけどね。でも、せっかくだし、手を借りようよ。」


 うん、彼も、僕を高く評価し過ぎてると思う。

 危険な情報を、上手く隠し通す事の出来なかった、僕を。


「そうしよう。じゃあ、もう2時間くらい狩って戻ろうか。」


「・・・いつも、こんなに頑張ってるの?」


「え?今日は夕方の部がないから、軽い方だよ?だいたいいつもは、8時くらいまでダンジョンにいるよ?」


「・・・。」


 遥君が最後に何か言ったように思えたけど、僕には聞こえなかった。

最後の言葉は、あまり意味のある言葉ではありません。

「うへ〜。」とか「マジかよ。」とか驚嘆と呆れが混じった、何かです。

書く必要がないかな?と思い、「・・・。」だけにしました。


細かい言葉のサインが、みなさんに届けばいいなぁと思います。

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― 新着の感想 ―
ダンジョン、好きすぎだろう………………じゃないのかww
遥「クレイジー……」
最後の言葉は、 『やべぇ奴に相談しちまった』 だと思ったwww
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