57話
ギルドから、僕の家に戻ったところだ。
2人して、早歩きだったせいもあり、お茶を一気飲みした。
「ぷはー!緊張した!幸太君悪いけど、もう一杯もらえる?」
「ああ、お茶くらいいくらでも飲んでくれ。」
遥君のコップにお茶を注いでやり、自分のコップにも注ぎ足した。
さすがに、この部屋に聞き耳をたててる人はいないだろう。
早速、情報共有と行こう。
「結果を教えてくれ。まずは・・・そうだな、消費MPからかな。」
「消費MPは3だね。僕のmaxMPは低いから、常用は難しいね。」
「いや、それはLvが解決してくれる。装備で解決しても良い、手はあるんだ、これを使わない手はない。」
「幸太君、それは、あるの?ないの?どっちさ!」
楽しそうに遥君が笑っている。
分かっていて、からかってるようだ。
「性格が悪いぞ遥。」
「悪い悪い。」
まだ、笑っている。
今日まで、随分と緊張してたみたいだし、しょうがないか。
「初めて呼び捨てにしたね、僕も幸太って呼んで良いかな?」
「そうだったかな?嫌ならこれまで通りにするけど?」
「嫌じゃないよ、呼び捨てにしてくれて構わないよ。」
「こっちも幸太で良いよ。それで、装備なんだけどね、これは結構高い。だから、Lvを上げてスキルを常用出来るようにして行くのが、無難だろうね。」
「分かった。」
遥君もやっと、表情に真剣味が戻った。
「上がるステータスと、ステータス値はどうだった?」
「上がるステータス値は固定だね、10だったよ。それと、どれが上がるかはランダムな感じだったね。そうそう、3つ目は付かなかったよ。」
どれが上がるかはランダムか、それでも10は尋常じゃないよ。
普通の人にかけても、いきなり超人になれるレベルの変化だ。支援スキル持ちが狙われる訳だよ。
ちなみに、オリンピックの選考に残るレベルの人たちは、能力値15だと言われている。
金メダル級になると、能力値16だ。
「変わったってのは、何の事だったの?」
「ああ!それは、さっきまで魔力値が上がってたのに、魔力値と素早さ値になってたんだ。最後に踊った後に確認したら、素早さ値と精神力値が上がっていたんだ。」
「最初に上がっていたのは、魔力値?」
「あたり!」
という事は、上がった効果は、古い方から消えていき。維持出来る上限は2種類って事か。
運用は難しいけど、効果は抜群に高い。
かかった効果が分かりにくい、魔力値や精神力値が上がっている時は慎重に、分かりやすい力値や素早さ値の時は大胆に行動すれば良いな。
「遥、落ち着いて聞いてくれ。」
「あ、ああ。逆に、そんな事言われたら緊張するんだけどな。」
確かに・・・。
「君のスキルだけど、僕にもかかっていた。」
「なっ!・・・それじゃあ。」
「ああ、1日も早くLvを上げないと、誰かに知られたらマズイ事になる。」
遥君は冷静になろうと、深呼吸を繰り返している。
だけど、最初にこの部屋に入った時よりは、幾分かマシだろう。
「でも・・・、確認出来ないって、言ってたじゃないか。」
鑑定室に入ってすぐ、僕には遥君の支援はかかっていなかった。
「うん。だからおそらく、支援を受ける条件は、君と一緒に踊る事だ。」
「・・・それは、バレないんじゃない?」
「あー、うん、まずバレないよね。勿体無いけどね。」
「なんで?」
「だってさ、一緒に踊るだけで支援が得られるんだよ?」
「うん。」
「消費MPは3だったんでしょう?」
「・・・あー!?めちゃくちゃ効率良い!?」
「消費MPが固定なら、後は何人まで同時に付与出来るか、だよね〜。ちなみに、上がっていた能力値は、遥と一緒だったよ。」
配信系、探索者のフリをする事で決まった。僕と配信系活動をしている事にして。
武藤君や和田君と一緒に探索する時は、踊らないと決めた。
ここまでやっても、僕の【支援魔法】や【回復魔法】を遥君に教えるつもりはない。
その危険性が、分かるだけに・・・ね。
彼のスキルは、僕の魔法に累積されていた・・・。
+5に+10が乗るんだ、もはや超人の領域だよ・・・。
スキルをカミングアウトする瞬間に向けて、ちゃくちゃくと緊張感を高めていきたいです!




