55話
配信系、探索者案を遥君に説明して。ギルドに向かってる所だ。
「継続時間は30分でいいんだね?」
「ああ、間違いない。身体にハッキリとした変化がある、見た目じゃ分からないのが、救いかな。」
「そうだね。」
これで、光とか纏ってたら、遥君は天使か何かと間違われるね。
ダンジョン内で見かけたら、即討伐対象にしそうだよ僕は。
可愛いかった、青いウサギですら狩ってみせた僕だ、イケメンを狩る事に躊躇なんてあるはずがない。
法律が改正されれば、今からでも殺れるね!
「確認するのは、消費MPと、どの能力値がいくつくらい上がるのか。」
「ああ。」
「それから、『踊り』の情報を参考にして、上がるステータスがランダムなのかどうかの確認だね。」
「あれは、上がる数字がランダムなのか?」
「いや、上がる能力値がランダムらしいよ。力だったり速さだったり、狙って上げられないみたいだ。」
僕も【支援魔法】が出た時に、ネットで調べたからね。
1番信頼出来るのは、日本のギルドが出してる情報だ。まあ、バックにしっかりと国がついてるしね。一般の人が出してる物は、ガセネタも多い、それに踊らされるのは危険だ。
「後は、他人にかけられるかどうかだね。出来たら・・・、最高に強いよ。」
「そうだな。」
出来たら危険だ、僕はそう言おうとして飲み込んだ。
自己バフなら、他人にとってメリットはない、だから、狙われる可能性も極めて低い。
でも、複数人にかけられるとなると、話は変わってくる。
せっかく、落ち着きを取り戻したのに、ここで怯えさせる必要はない。
まずは、ギルドの前で踊って、鑑定室の使用を・・・、逆の方がいいかな?
スマホで、ティックトックを見ているていで、ふざけて踊ってみせる。
これぐらいなら、不自然に見えないはずだ。
後は、時間内に複数回踊るとどうなるのか、これも試しておきたい。
僕の【支援魔法】の場合は、上書きされてしまって、複数回かける意味はなかった。
他人にかけられるかどうかは、危険過ぎて試していない。
「あ、お姉さんこんにちは、鑑定室って今空いてますか?」
「はい、こんにちは。幸太君皆勤賞よ、根を詰めてる訳じゃないみたいだから良いけどね、無理しちゃダメよ。」
お姉さんに、休みの日にも来てる事が、なぜばれてるんだ?
カードの売買履歴でも残ってるのかな?
とりあえず、了承しておく。
「はい、了解です。」
「よろしい!鑑定室だけど、さっき前の組が入った所よ、この後にも1組待ってるわね。どうする?」
「どっちも10分ですか?」
「ええ、そうよ。」
「それなら待ちます。」
「じゃあ、鑑定室の前辺りに座って待てって、予約は藤川でいいかな?」
「はい、それでお願いします。このやり方って、大変じゃないですか?」
僕は、つい気になって聞いてしまった。
「そうなのよ。豊田ダンジョン、おっと、名古屋ダンジョンのギルドは、まだ新しいから、色々と準備が足りてないのよ。今度、番号札の発券機が設置される予定よ。人が足りない所は機械頼りね!」
「鑑定室を監視する人もですか?」
「そこはもう導入されたわ!だからこそ、私がここにいるんだし。」
ああ、確かに。
お仕事の邪魔しちゃ悪いし、大人しく座って待つか。
お姉さんに礼を言い、鑑定室の前の席に遥君と陣取った。
「すごいな、幸太君はギルドのお姉さんと知り合いなのか?」
「え?そういう訳ではないけど、とってもフレンドリーなお姉さんだよ?最近は忙しそうであまり話せないけど、僕が登録した頃はもっと空いてて、暇そうだったからね。」
しかも、都合の良い事に、監視が機械に切り変わったそうだ。
これで、鑑定室で踊っていても、誰にも見咎められる事はない。・・・鑑定室で踊るって、かなりの奇人変人ぶりだよね。もはや、変態の領域だね。
「幸太君は何を見てるの?」
スマホを片手に、次の事を考えていたら、無意識にダンジョンの情報を検索していたらしい。
習慣って怖い。
「イタリアで行われた、ダンジョンの封鎖実験の記事だよ。」
「こんな所まで来ても、ダンジョンの事を考えてるんだね。」
「え?ダンジョンの前にあるギルドの中だよ?ダンジョンの事を考えてるのは、むしろ普通じゃない?」
「ん〜、それもそう、なのかな?」
「たぶん。」
イタリアで行われた今回の実験は、ダンジョンの入り口をコンクリートで固めたらどうなるかという、ちょっと原始的な封鎖方法を試した結果だ。
結果から言うと、封鎖は出来なかった。
中に溜まったモンスターが、一気に地上に溢れた。ただ、これは想定通りなので、地上に駐屯してた軍隊が直ぐに殲滅した。
このまま、ダンジョンが増え続ければどうなるか、世界は危機感を募らせている。
それが、こんな実験を行う原動力となっている。
ちなみに、以前ロシアが核によるダンジョンの破壊を試みた、これに世界は期待した。結果はダンジョンの門に煤と埃をつけるだけに留まった。
煤と埃を取り除いたら、以前となんら変わらぬ姿でそこに存在していたと、報道されている。
その後も、ロシアはダンジョンに何らかの攻撃を試みたらしいけど、どんな事をやったのかは公開されなかった。やった事実すらも、ただの調査だったと、ロシアはこれを否定している。
お国のメンツもいいけど、実験結果は共有してほしいものだ。




