402話
続フィッシャーさん。
無論、核でも使えばユタ州全土からモンスターを一掃する事は出来るだろう。それだけの数がアメリカには備わっている。
だが、それでもダンジョンは残る。
その事は、すでにロシアが実験済みだ。
そのうえ土地は汚染され、ダンジョンから這い出すモンスターに延々と対処し続けなければいけない。
複数の被爆者を出しながら、誘導性の高いミサイルなどをダンジョン内で起爆する事で、今もなんとか凌いでいるが、はっきり言って税金の無駄遣いだ。
ドロップアイテムの回収も出来ず、ただただ出費が嵩んでいる。
アメリカの絨毯爆撃には期待を寄せたのだが、開始10分と経たずに反撃され、算を乱して逃げ出した。
どれほどの数と回数で空爆を実行するつもりだったのか分からないが、あの様子では、即時再開は不可能だろう。
「今回使われたのは、アメリカの一般的な兵器なんですか?」
「どうなんだろうね?専門家に聞いてみるとしよう。」
大使館の警護に着いている軍人を呼び出して映像を見せ、分かる範囲で教えてもらう。
爆撃機自体は最新の物とは言い難いらしいが、爆撃に使われたのmk.80シリーズである事は間違いないそうだ。
精度を上げるために、いささか低空飛行だったのではないかと彼は指摘していた。高度を上げれば、もう少し安全に作戦を実行出来ると。だがそれだと、当然風の影響や空気の抵抗を受け、精度や密度にムラが出るそうだ。
それと、極端に大きな、戦略兵器のようなサイズの物は含まれていなかったと彼は答えた。
要するに、最新ではないけど今も現役で、信頼に足る兵器だったという事だ。
『幸太、人類の最終兵器を起動するのですよ!!』
「仕方ない・・・、もう少しの間、平穏に暮らせると思っていたんだけどね・・・。」
「私も・・・、覚悟を決めるよ。」
すまない幸太くん・・・。
だが、出来る限りのサポートはさせてもらうよ!!
『最終兵器!ミラ・フィッシャー起動、承認!!!』
・・・え?えええぇぇ!!?
「ちょ、ちょっと待ってくれ!?え?なんでうちの子なんだ!!?」
『みゅ?』
2人が不思議そうな顔をしている。
わざわざ、顔を見合わせてる。
「彼女はすでに、世界最強の一角ですから・・・。彼女に頼るしかないと思うのですが?」
そんな馬鹿な!!?
だって、うちの子は君のパーティーのブレインで、サブリーダーで・・・、火力担当だ。
・・・そういう事なのかい?
『幸太がいくら戦車キックを決めて隠そうとしても、分かる人には分かるのですよ、ミラの方がヤバイと。』
幸太くんが神妙に頷いている。
まさかの事態だ・・・。
『幸太は、どちらかといえばマジシャンなのです、人を楽しませる事が本質なのです。』
「それは違うと思うけどね。手札の多彩さが売りですね。」
あの子は、その陰に隠れていたと?
そんな・・・。
『魔女っ子最強ぺろぺろとか、あちこちのサイトで見かけるのですよ!みんな気づいてるのです!!』
「ミューズ、それはちょっと違うと思うよ。」
『みゅ?違うのです?・・・ミラちゃん最強理論の板とか、とっても盛況なのですよ?ゴスロリ装備も外せないって書いてあったのです、ご主人様も同意してたのですよ?』
「あー、うん、それは確かに外せないんだけどぉ・・・。あれ書き込んだのって、絶対知り合いだよね。」
うちの子は・・・、どうなってるんだ?
飲み物を改めて、1度仕切りなおした。
どうやら、幸太くんの言ってる事と、ミューズちゃんの言ってる事が、噛み合っていないみたいなんだ。
「ミューズいいかい、インターネットの情報を安易に信じてはいけないよ?ああいうのは、特に掲示板みたいな物はね、読んで楽しむ娯楽くらいに捉えておかないとね。盛り上げるために適当な事を書き込む人や、炎上させるために嘘なんかを平気で書き込だりする人もいるからね。そういうお小遣い稼ぎもあるくらいなんだよ。」
『そうなのですか?でも、みんなミラに好意的な意見だったのですよ?Yes ロリータ!No タッチ!とか言ってる人が沢山居たのです!』
まあ、そうだろうね。
そういう板だろうからね、マナーを守る意思があるのなら結構な事だ。
うちの子に近づかない限りは、だけどね・・・。
「ミューズ、それは一度置いといて。今回はそっちじゃなくてね?実質的な破壊力の問題なんだよ。」
『みゅ?戦闘力の話なのですか?』
「そうそう、それそれ。」
幸太くん、君も苦労してるんだね・・・。
その後、幸太くんに説明を受けた。
戦車をスクラップにしたのなんて序の口なんだと、あの子の魔法は、凝縮され厳しく制御されているから、周りに大した被害も出さずにモンスターを倒せるのだと。
その凝縮と制御を『解放』したらどうなるか・・・、弱いモンスターや人間を殲滅する、大量破壊兵器にも劣らない事に成りかねないと。
「ミラのステータスとスキルは、それだけの可能性を秘めているんです。」
私は・・・言葉も出なかった。




