43話
僕の鑑定が終わったところだ。
「おっと、つい長話になってしまったな。甲冑の鑑定を早いとこ済まして部屋を出よう。パーティー名は、後でも決められるしな。」
「そうだね。」
僕も思わず、同意してしまった。
ちゃくちゃくと外堀が埋まっている事に、この時の僕は気づけなかった。
まあ、気づいても、同じ決断をしたとは思うけどね。
「じゃあ、誰か鑑定したい人はいる?」
「はい!」
「お姉さん以外でいるかな?」
何このお姉さんは、ナチュラルに返事をしてるんだ?
ギルド窓口のお姉さんに、僕らの装備にもなるかもしれない物を、見せる訳がないよね。
ミラですら驚いてたよ?
「では、私がやります。」
珍しくソフィアがそう言ったので、僕は鑑定アイテムをソフィアに渡した。
僕は、エミリアかミラ辺りが主張するかと思っていたので、少しだけ意外だった。
「鑑定。」
やっぱり言うんだね。
「えーと。」
「ソフィア、メモをしておいて、部屋から出てから話そう。」
散々、スキルが出ただの出なかっただのと、話した後だけどね。
お姉さんが、せっかく存在を主張してくれたから、僕らも情報を漏らさないように注意する。
そうか、この為にお姉さんは、あそこで返事をしてみせたのか。細やかな気遣いがありがたいね。
僕はこの事に感謝して、目礼しておいた。
相変わらず、面と向かってお礼を言うのは、照れくさい。
お姉さんも頷いてみせてくれた、これで良いって事なんだろうね。
鑑定が済んだので、僕らはギルドの待ち合いスペースに移動して、ソフィアから結果を聞く事にする。
ギルドの待ち合いスペースは、ちょっと軽食を摘んだりするのにちょうどいい、フードコートのような感じになっている。
土曜日の今日は、若い人たちが結構いて、席を探すのに苦労させられた。
これまでなら、ナンパの嵐だっただろう彼女たちも、甲冑一式を男の僕と一緒に運んでいれば、めったに声をかけて来る奴はいないだろう。
さて、甲冑と一口に言ったけれど、僕らが運んでいたのは、重装歩兵とか重装騎兵とか言われる分類のゴッツイやつなんだ。
トルメキア兵と言ってわかるだろうか?そう、戦車に轢かれそうになっていた方々だ。
まさにアレが、僕らの目の前に置いてあるんだ。
「ソフィア、鑑定結果を知りたい。この喧騒で聞き取れる奴がいるとは思えないけど、念のためなるべく小声で話そう。」
「分かったわ。」
「了解。」
僕も了解しました、当然ですよねー。
でも、周りからの視線はさらに大きく悪化したと思います。魔法で呪殺とか、無いといいのですけどね。
あったら、今の僕は即あの世行きでしょうね。
『青い甲冑』
DEF12
MDEF8
重量10キロ
特殊効果:全てのパーツを同時に着用時、DEF+6、MDEF+6する。
こんな感じの内容だった。
僕は思わず声が漏れそうだった。
普通に考えて、破格の性能だと、そう思ったからだ。
自衛隊員の装備も、確か20キロ近い重さでDEF10だったはずだ。それが半分の重さでDEF18まで上がる、これが破格でなくて、なんと言えばいいのか分からない。
おまけにこれ、甲冑のくせに、たった6つパーツで出来ている。
腕、足、頭、に胴体だ。
腕片方でDEF1、足片方でDEF1、頭がDEF2で、胴体がDEF6
MDEFは胴体が3で後は1。
バラでの運用も出来る、優れものだ。
「出来れば・・・、売却したくない。だが、その場合、他の人の取り分が問題になる!それでも、私は、これを、私たちで運用したいんだ!これがあれば・・・。」
「うん、僕は賛成だよ。後はエミリアとソフィアどっちが着るか、もしくは別々で着用してもらって、2人の安全を守るか、だよね?」
ミラの意見に僕はすぐさま飛びついた。
Lvはあっても、能力値が真っ平らな僕は、こんな物着たくはない。
「幸太ぁ・・・。」
ミラ、そんな泣きそうな顔で喜ばなくても・・・。
ドキドキしてしまうので、そんな顔で見つめないでほしい。
ミラは、僕が反対するのではないかと思っていたらしい。
僕としても、反対だ。
僕が法律なら、美女にこんなヘルムを被せるのは、重罪もいいところだ。
だけど、人の命を守る為だ。まして、美女の命を守る為なら、僕は涙を飲んでそれを受け入れよう。
ちなみにミラは可愛い系なので、僕の守備範囲外でお願いします。
「これ、私が着用してもいいですか?」
ソフィアの発言にミラと僕は、困惑した。
だけど、彼女の決意は固いようだった。
ソフィアにしろエミリアにしろ、ヘルムは邪魔だったんだ!だけど、ナンパ避けって意味では、ソフィアが着用するのが最も効果的なんだ・・・。
ダンジョンは分かってない!と僕が慟哭しても、それは仕方のない事なんだよ。
防御力は高いし、重要な頭を守る装備、リアルにすると外せないけど・・・!邪魔だよね!?要らないよね!?
こういう所、ゲームの制作会社は本当上手くやってるよね。
こうして、突き詰めていくと分かってくる、事実もありますね・・・。




