42話
せっかく、声を出さずに鑑定したのに。
鑑定結果が口をついて出てしまった。
1人暮らしの弊害だね、ついつい独り言が増えるんだ。
でも、Lv3って・・・、僕のLv2はどこに行ったんだ?
ステータスは・・・、良かった、ちゃんと2つ分増えてる。
調子にのって、ゴブリンを狩り過ぎたのかな?
それとも、最初だし、Lvが上がりやすいって事もあるのかもしれない。
強くなったと思ったのは、【支援魔法】のおかげだけではなかったんだね。
納得だ。
・・・また、魔法が生えてる・・・。
最近、運が良過ぎて怖いんだけど・・・。
好事魔多しって言うし、自分がポカをやらかすタチだって自覚があるだけに、不安が・・・。
運が良い事に、不安になる僕って、本当に小者だなぁ・・・。
大丈夫大丈夫、変わるんだろ僕!
不安になるな!
「大丈夫かコウタ?そう落ち込むな、また、ラーメンでも食べに行こう!」
「え?いや、落ち込んでは・・・。エミリアが奢ってくれるの?」
今のところ、スキルについては話す気がないのに、僕は何を言う気だった?危ない危ない!
日頃から接してる、エミリアだったから良かったけど、ソフィア相手だったら困っただろうね。
「まあ、コウタがパーティーに入るなら、パーティー結成祝いに奢ってやらん事もない。」
「ありがとう、でも、冗談だよ。パーティーに関しては、それも良いかなって思ってるけど、エミリアに奢らせる気はないよ。」
思ったより、僕もエミリアもお互いを受け入れている感じがした、だからこその返答だ。
「じゃあ、パーティー名が必要だな。『幸太と愉快な仲間たち』でどうだ?」
「いや、それはないでしょう!?」
ミラがバカな事を言ってくる。
まあ、雰囲気を明るくしてくれたんだろう。
「じゃあ、『コータさんと3人官女』とかでしょうか?」
「いやいやいや、なんでソフィアまでそっちネタ!?」
あれ!?ミラのは、空気を変えるための物だよね!?
続けなくても良くない?
むしろ、続けないでよ!
「『コウタはハーレムの夢を見るのか』、これだな!」
「いやいや、バニーガール先輩みたいに言わないでよ!青ブタじゃないんだから!?それに、夢を見たって実現しようがないよ!」
何で、エミリアがそんなの知ってるんだよ!
意外過ぎて、素でツッコんじゃったよ!
「いや幸太、無理ではないぞ。」
「は?」
ミラは何を言ってるんだ?
「日本の法律では今のところ出来ないが、欧州各国ではLv10以上の者を対象に、導入する法案が次々と可決されてる。Lvに関しては、今後見直しがあるだろうけどな。」
なんだ、それは?
日本でそんなニュースあったか?
海外メディアのサイトは、あまり見てないんだよね。
ダンジョン関連ばっかり、情報収集してるせいかな?
それとも、入試の頃に話題になったのかもしれない。
それなら、僕の記憶にないのも頷ける。
必死になって、ない頭に、テスト用の知識を詰め込んでたもんね。
「ダンジョン出現後に変わった、各国の法律をまとめたサイトなんかもあったぞ?見てないのか?」
「見ないよ、そんなサイト。」
「うん、見ないな。」
僕の意見に、エミリアが同意してくれた。
それも、一応ダンジョン関連って言えるのかもしれないけど、見ないよね普通。
「まあ、民間人にダンジョン探索を促す餌だ、なんて言われてるな。」
うへぇ〜、そんな事までしてるんだ。
「欧州の方では、年々ダンジョンが増え続けている事に、強い危機感を持っています。それに加え、Lvが上がるにつれて、強くなってしまいますから、そういう人たちが非行に走らないようにと、今から枠組みを定めておこうという狙いもあるようですね。」
実際には、まだ高Lvの人による犯罪が増えたという情報はない。
Lvが高くなると、9㎜弾が効かなくなる、これは結構有名な話だ。それでも、高Lvでも人間なので、最悪毒や酸欠で始末出来る。
だけど、Lv10以上の人が暴れたら、抑えるのは大変だというのも、確かにある。
それで、今から枠組みを作っているのか。
他人よりも高い能力に、他人よりも広い自由を享受させる事で、満足させようというところか?
これで、ダンジョン産のアイテムを高額で買い取れば、モンスターの脅威が減って、アイテムも手に入れ、人を超えた力を他人に向かわせない。
本人はヒーロー気分で良い暮らしも出来るっと。
まだまだ、穴はあるかもしれないけど、僕には良く出来たシステムに思える。
世界は、ダンジョンの出現によって、否応なく変化を強いられている現状を、僕は垣間見た気がした。




