41話
僕らは鑑定室に入って、早速鑑定を開始する。
時間のかかるものじゃない、順番に鑑定するだけだ。
せっかくなので、僕とエミリアもやっておく。
「さあ、ソフィアからだ。」
「ありがとうございます。では、お先に。」
ソフィアでも緊張するようだ、真剣な表情で深呼吸をして・・・。
「いきます、鑑定。」
うん、やっちゃうよね。
実は、声を出して言う必要はないんだ。
教えなかったんじゃない、忘れてたんだよ、本当だよ?
3人が、わざわざ声に出して鑑定するところが見たいとか、思ってないって、本当本当。
「・・・残念ですね、スキルは現れませんでした。」
「まあ、そんなもんだって。あたしも出なかったしな。」
「まだ、Lv1なんだし、気にしない気にしない。」
どの口が言ってんだ、とも思わなくはないけれど、そこは勘弁して頂きたい。
他に、フォローの言葉が思いつかなかったんだよ。
「正直、ちょっとだけホッとしたよ。私だけスキルが出なかったら、どうしようかと思っていたからね。でも、ここで私だけスキルを出したらカッコイイな!!」
雰囲気を変えるためとはいえ、ミラの奴よくやるよ。本当に、仲間想いな良い奴だ。
おかげで、しょぼくれてたソフィアが顔を上げた。
「ミラ頑張って!」
「お前もこっち側においで!」
なんて対照的な意見だ。
いや、バランスが取れてて良いのかな。どっちであっても、片方が喜んでみせる事が出来る。いい塩梅だ。
僕はどっちにもつかずに、親指だけ立てて送りだす。
「グッドラック。」
「鑑定。」
やっぱりミラも言ったか。
ミラは一瞬、パッと笑顔になって、直ぐに表情を取り繕った。
僕にでも分かったんだ、他の2人が気づかない訳がない。
「ミラ、おめでとう。」
「やったなミラ!」
「ソフィア・・・、エミリア・・・。」
「おめでとう。これで武技だった、なんてオチはないよね?」
「あるか!!・・・ありがとう、ありがとう2人とも・・・。」
「あれ?僕には?」
「幸太には、私の魔法の初撃ちをプレゼントしてやろう!」
「それは勘弁してほしいな。」
ここは、僕が道化師を演じる場面だろう。
これからも仲良くやって行きたいしね、お3方にわだかまりを残さないように、僕が気を遣いますとも。
美女とダンジョン探索する幸運を、手放さないためにもね!
口に出しては言えないけどね!
「よし!あたしの番だな。ミラ貸してくれ。」
まあ、普通は上がってないよね。
それでも、時間はあるし見ておきたいってのが、普通だよね。
「鑑定!うん、上がってない。」
早いな、それにメッチャ軽い。
「まあ、そんなもんでしょう。」
「はい、コウタ。頑張れよ!」
「え、うん。」
鑑定は見るだけだからね?
Lvアップの時点で、能力は決まってるから。
分かってるのかな?
迷ったけど、僕は声を出さずに鑑定した。
「え?Lv3になってる・・・。」
【支援魔法】の効果が高過ぎますからね、やれちゃいますよね。
ただ、能力値の上がり方は変わらず、真っ平らで!




