358話 予定
イギリス→ドイツ
飛行機での移動中です。
しばらく、1話ずつの投稿でお願いします。
「当日の午前中はフリーだ、長距離移動は出来ないが好きに過ごしてくれて構わない。出来れば、午後に少し仮眠を取っておいてくれ、夜の10時に待機場所でスタンバイだ。何か要望があるなら聞くよ?」
みんなを見渡してみたけど、特にはない様だ。
それなら、少しやっておこう。
「スキルの可能性を配信しておきたいですね。」
「おい、何をやるつもりだ?」
すぐさまミラが聞いてくる。
「この間話してた2つだよ。」
「そうか・・・。」
なんか、あからさまに安心した様子だ。
いったいミラは僕を何だと思ってるんだろう、いくら僕だって、みんなに話してない内容まではやらないよ?
多くの人に、スキルの可能性を探ってほしいからね!
「分かった。場所や物はどうする?」
「近場で、少し開けた場所ならばどこでも構いません。あっ、切っても良い木の棒を3本用意してもらって良いですか?配信に映る太さで、地面に刺しても2mくらい地上に出てる長さの物がいいです。」
「分かった、用意しておこう。他にはないかな?」
僕を含め、みんな何もなかったので、首を振っておく。
「すまないねアデレードくん、面会時間を設けてあげられなくて。年末年始は厳戒態勢で、無理を通す訳にはいかないんだ。」
「いえ、気にしないでください。父とはメールなどでもやり取りしていますし、母や弟が様子を見に行ったみたいですから、心配していませんわ。」
「そうか、まあ、じきに会えるだろうしね!」
そっか、お父さん更生施設に入ってるんだっけ?
しまった、悪い事をした。仕事を入れたせいで、会いに行く機会を奪ってしまった・・・。
「ごめんね。」
「ああ〜、気にしなくて良いわよ幸太。父親よりも、男を取るのは当然よ。」
「・・・そ、そうですか。」
あれ?そういう話だったっけ?
もう少し、こう・・・、まあ、いっか。
「ホテルは空港近くに用意してある、ダンジョンが発生した場合、距離によって移動方法が変わるので、そのつもりでいてくれ。まあ、軍が現地まで案内してくれるから、ついて行けばいいよ。」
まあ、そうだろうね。
僕らが勝手に動き回った方が、混乱を生みそうだしね。
「さてと、ダンジョンが出来なかった場合の事なんだが。そちらの話もしておこう。」
みんなが神妙に頷く。
「何やら、フランスはあちこちの国に声をかけてるみたいなんだ、各国から有名な探索者が集まる予定だよ。これを機に、今の4階層からいっきに探索階層を進めようって腹みたいだね。」
「フランスは各国の探索競争において、遅れを取っていますからね。ダンジョン発生時にひどい被害を出した事もあり、名誉挽回に意気込む気持ちも分かります。そういうお国柄ですからね。」
「それもあるがねソフィアくん。もう1つ、看過出来ない事が起きたのだよ。分かるかな?」
『「「「九州!」」」なのです!』
すぐにみんな気づいた。
「そうなんだ。同系統で、しかも後から出来たはずの九州のダンジョンの到達階層が、早くも5階層に到達している。それに彼らは焦っているのさ!日本経由で話をねじ込んで来たくせに、妙なプライドばかり働かせる、面倒な連中だよ。」
『呆れるほど小ちゃなプライドなのです!!ご主人様を見習うのですよ!なんも考えずにイギリスのダンジョンの到達階層を更新してるのです!!張り合うだけ無駄なのです!』
・・・あれ?
褒めらてるの?けなされてるの?
よく分からないけどいいや、くすぐりの刑に処す!
僕らを動かすには、日本政府に働きかけた方が楽だから日本に話を通しておいて、でも日本に協力を求めるのは癪だから、ドイツから派遣された事にする・・・。
面子ってやつなんだろうけど・・・、もはや理解不能だね。
「今の日本が、そんなに弱気な対応をするでしょうか?」
「お!?良い所に気づいたねソフィアくん!日本は外務省の連中をとっちめるのに、フランスの証言が必要となったのさ!!その事で話をつけたんだね。」
「あの大捕物の証言をしてくれるって訳ですね。」
遥の関心も高そうだ。
連日ニュースになっていた外務省への立ち入り調査、その最後のピースをフランスが揃えてくれたって訳だ。
「それで話は変わりますが、お父様、他にどんなパーティーに声が掛かっているのですか?」
「ああ、スペインから『マドリード・ブスカドル』、イタリアから『コスピアトーレ・ローザ』、アメリカから『ゴールデンフラッグ』、同じく『アポカリプス』、フランスからは軍の特殊部隊が参加するそうだ。それと、君たち『ダンジョン・フィル・ハーモニー』はドイツ枠での参加って事になっている。悪いが、そのつもりでいてくれ。」
『そうそうたるメンバーなのです!』
「そうなの?」
『幸太ももう少し世間に目を向けるのですよ!そんなことだから、世間を置き去りにしてしまうのですよ!?・・・あれ?なんか変なのです。』
「ああ、普通は世間に置き去りにされるところだからな。」
「まあ、幸太だからね。」
「そうだな。」
をい!そこのツートップ!!
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