330話
謎の、光の流れが見えた幸太くん。
ふわふわと、謎な光の流れが見える。
例えるなら、巻き取られるまえの綿飴だろうか?
薄っすらと軽く、光を浴びてキラキラと風に舞うんだ。
実際に綿飴が風に舞うと、辺りは大惨事なんだけどね!!砂糖だから!
観てる分には、けっこう綺麗なもんなんだよ。
ソッと触れようと試みるも、距離感すら分かり難い。
どうやら、触れないようだ。
「コウタ?何をやってるんだ?」
「えっと・・・?いや、なんだろう?」
どうやらエミリアにも、他の人にも見えていないようだ。
『ご主人様?そんな物に触れられるはずがないのですよ?』
!!?
「ミューズには見えてるの!!?」
『みゅ?当たり前なのですよ?』
僕はミューズに眼を向けて、2度ビックリだ!
ミューズが光ってる!?
むしろ、この光の流れはミューズから出ている様だ。
となると・・・、これが、魔力って事になるのだろうか?
面白くなって来た、と言いたい所だけど。
正直、僕には手には負えなくなって来た、っていうのが本音だね。
キョロキョロと、辺りの光の流れを観察していた僕は、やっとエミリアに返事をしていない事に気がついて、謝っておいた。
長い事放置してしまったみたいで、申し訳ない事をした。
食後の会話のネタに丁度良いと思って、仲間たちに話しておいた。
まあ、ジェシカさんもいたけど、今更だしね!
「鑑定結果はどうだ?」
「新たなスキルは生えていないね。」
「【魔眼】というスキルの可能性ってやつなのか?それとも、元々備わっている能力だって可能性はどうだ?」
「なるほどね。それは考えなかった。」
元々備わっていて、ある日突然使えるようになるって事、あるのかなぁ?
ちょっと僕には、想像出来ないな。
「スキルの成長ではないでしょうか?」
「「ソフィア?」」
みんなが、ソフィアに注目する。
ソフィアは、神妙に一つ頷いて、何かに納得してから話し始めた。
「思い出してみて下さい。マルティンさんのゴブリンが、強くなったという話があったではありませんか。」
「スキルが成長している前例は、すでにあったという事か・・・。」
いや、でもあれは、マルティンさんのLvに連動して・・・。
それでも、確かに成長している・・・のか?
どう考えるべきなんだろう?
ん〜・・・。
答えは出なかった。
ミラが、適当な時間で終わりを告げた。
「可能性のひとつとして覚えておこう。スタッフには、それらしい情報が出回っていないか、調べてもらうとしよう。それで良いか?」
「うん、色々頼んで悪いけど、またお願いしよう。」
「彼らはそれが仕事さ、気にするな。よし!頭を切り替えて、今日の探索に向かおう!!」
「お?話し合いは終わったか?それじゃあ行くか!」
エミリア・・・、君も一緒に考えようよ・・・。
【魔眼】は、ちゃんとOFFに出来た。
パッシブだったら、困る所だった。
新たなスキルの可能性に、ワクワクしながらダンジョンに向かう僕だった。
ジェシカさんは机に突っ伏して、「報告書がぁ〜・・・!」と呻いていたので、僕らは聞かなかった事にした。




