329話
再生の思った以上にグロい見た目に辟易したものの、何とか移動中に気分を入れ替え、時計塔での配信撮影をやり遂げた。
たった半日の活動だったにもかかわらず、ずいぶんと疲弊させられる1日だった。
翌朝、宿泊してるホテルの食堂に、食事を食べに行く。
周りはみんな軍人さんだ。それも当然だ、僕らは観光用のホテルに泊まってる訳ではないのだから。
ビュッフェ形式で朝食を取って、空いてる席にみんなで座る。ジェシカさんも一緒だ。
おかげで、周りの軍人さんが視線を向けて来るけど、すでに九州で慣れているので、軽く手を振って、挨拶の一つもしておいた。
ビュッフェ形式だけに、選ぶ料理や量にも個性が現れる。
僕は、なるべく油の少なそうな料理を選んで取ってきた。寒い地方故だろうね、寒さをしのぐためにカロリーが必要なんだろう。朝から、コッテリした料理が並んでいた。それらを、出来るだけ避ける選択だ。
ミラとアデレードは、似通った選択をしてきた。
パンにサラダにベーコン、スクランブルエッグとフルーツ、後は飲み物だ。ジャムかバターの違いはあれど、まさに、朝食って感じだ。
ソフィアとジェシカさんは、典型的なフィッシュ&チップスに、スコーンとサラダ、フルーツといった、イギリス風な食事風景だ。
遥は迷った末に、パスタにスープ、サラダ、フルーツと、イタリアン風なチョイスだった。
エミリアなんて、朝からお肉にピザにパスタにサラダ、フルーツに揚げ物の数々が並んでいる・・・。見るだけで、胃がおかしくなりそうなラインナップだ。
本当に、彼女は何で太らないんですか?
まさか・・・、ミューズと同じ体質を獲得したとかですかね?
それとも、最強スキル無限収納だろうか!!?
「良し!!しっかり食べたし、さっそく出発だ!」
「待って!待ってよ!!ちょっと胃を落ち着けてからじゃないと、辛いよ!?」
僕は慌ててエミリアを止めた。
いや、そんなキョトンとされてもね?
「いつもは、私が止めていたんだがな。幸太、後は任せた!」
「ミラ!?一緒に止めてよ!僕1人じゃ荷が重いって!!」
君の友だちでしょう!?
お前の恋人だろう!
エミリアが大事じゃないの!?
幸太に任せておけば安心だ!私の肩の荷は降りた!
仲間でしょう!?
「すごいですね。アイコンタクトだけで分かり合えるなんて、何だか妬けてしまいますね。」
「意思の疎通がやたら早かったのは、そうやってやっていたんだな。ミューズ、ちなみになんて言ってるんだ?」
『2人して、エミリアの傍若無人ぶりに呆れているのですよ。』
さすがミューズ!ほぼ正解!
「ああ、アイコンタクト・・・。僕はてっきり、急に喧嘩を始めたのかと思ったよ。だって、2人ともすごい気迫なんだもん。」
「私、あんな目で見つめられたら、ゾクゾクしてしまいますわね。」
・・・やめよう。
そうだね。
・・・ん?
何でこんなに明瞭に、意思の疎通が出来てるんだ?
スキルや魔素の存在のせいか?
だとしたら、魔素とはもしかして、ミトコンドリア的なパラサイトなのだろうか?そうすると、魔素と魔力は別に存在する?
それなら、変形型のスキル、又は形を持たない無形のスキルである可能性もあるかも?
・・・試してみるか。
エミリア!!
・・・あれ?
なんの反応もないな、僕の勘違いかな?
『エミリア、ご主人様が呼んでいるのですよ。』
!!?
「ん?呼んだかコウタ?」
エミリアには届かなかったのに、ミューズには届いていたみたいだ!
ミラとは意思の疎通が出来る、他の人とは無理だ。
違いは何だ?
Lv?魔力値?器用値?それともスキルか?
魔素・・・、魔素にも、色々と種類があったらどうだろう?
・・・ダメだ!情報が足りない!
何か、掴みかけてる気がするのに・・・!
「コウタ!コウタ!」
ハッと僕が顔を上げると、エミリアの顔がくっつくほど近くにあった。
「どうした?『魔眼』まで発動させて。」
「え?」
僕は、魔眼を発動させた覚えは・・・。
・・・何だこれ!!?
辺りに、薄っすらと光の流れが見えた・・・。




