33話
クラスメイトとのダンジョン活動を滞りなく終らせて、僕らはダンジョンを出た。
「はーい、みんなお疲れ様ー!!」
「疲れたー!!」
「結構・・・きついな。」
「それな〜。」
ダンジョンの外では、どこのチームも同じように座り込んで休憩していた。
一部お通夜みたいなグループがいる事は、スルーしておく。
怪我人か・・・死人をだしてしまったグループだろうからね。
女性陣もエミリアの叱咤を受けて、最後には男子よりも貪欲にゴブリンを倒していたね。
女性の底力にはちょっと驚かされた。
「Lvが上がると太りづらくなる!その仮説を信じよう!」
「「「「おう!」」」」
なんか・・・、男性陣よりも元気なんですけど。
「それじゃあ、ドロップを換金して終わりにしようか。」
「悪いけど、僕はパスで。」
ダメだダメだと思っていても、どうも僕は集団行動に向いていないらしい。
ストレス発散してから帰りたい。
「いや、幸太君が1番大変だっただろうに・・・!?」
「コウタは暴れ足りないのさ、行かせてやれよ。」
エミリアにフォローされてしまった。
ニヤリと笑うその顔がたまりません、なんちゃって。
相手はクラスメイトだから!?
落ち着け僕ぅ!
「ありがとうエミリア、じゃまた明日!」
エミリアの後押しを受けて、僕はみんなに背を向けて走りだす。
「俺が預かっておくよ!」
「エミリアにあげちゃって!エミリア!ラーメン代の足しにしてくれ!」
遥君の言葉を受けて、僕はジャンプして横捻りを入れ、空中で後方に言葉を置いて、前向きに着地して再び走り出す。
もう振りかえらない。
だって、実質狩りが出来たのなんて、40分そこそこなんだ。そのあがりを11人で分けたら、ジュース1本買えるかどうかだ。
クラスという柵を放りだした僕は、身体が浮き上がるような身軽さを感じていた。
あるいは、彼らの命を、僕が背負い込んでいる気だったのかもしれない。
足が軽い!身体が軽い!頭・・・は、ちょっとうかれてるかな、うん。
視界も心なしか広く感じる。
緊張に弱いのは僕の特徴だ。だいたいは、今みたいに後になってから気づくんだ。
僕は緊張していたんだと。
だけど、今日は失敗をしなかった。だから、こんなに身体が軽く感じるのだろう。
2階層に向けて、人の群れをスラロームしながら走って行く。
一昨日、初めて足を踏み入れた2階層だけど、ゴブリンの集団が最大7匹になって、少し強く、武器が多彩になる。後はウルフが1〜2匹で出て来る。
でも、しょせんその程度の変化だ。【支援魔法】を纏った僕の敵じゃない、むしろ索敵時間が短縮出来て効率的だ。
・・・。
【支援魔法】を数人にかけてやれば、もっと安全で効率的だった事は、僕だって分かっている。
そうやって、自分の手の内を隠しながら、一緒にやっているのが嫌だったんだ。
自分の身を守るため!最近は治安が悪いんだから!行方不明になった探索者が一体何人いる事か・・・。正論ではあるけれど、心が納得しない・・・。
卑怯者!臆病だ!変わりたいんじゃないのか!良心が僕を苛むんだ。
僕は、ダンジョンの広大な景色と、どこまでも高い空を見上げ、ため息に乗せて全てを吐き出した。
声には乗せていない、それでも、ちょっとだけスッキリするんだ。
気分の問題だよ、気分の。
なんとなく、自分に言い訳しながら、今日も2階層のゴブリンにご挨拶してきた。
葛藤、まさに若者の特権ですね〜♪
大人になると、ふ〜ん、それで?って感じになります・・・。
感じる心を大切になさって下さいね。




