273話
ep.79に『閑話』として、盾の仕様を入れておきました。
よろしければ、そちらもご覧下さい。
割り込みのせいで、ブックマークにずれなど生じるかと思いますが、何卒ご容赦下さい。
それに伴う記載ミスなど、気がつき次第直して行くつもりです。
ミラは少し勘違いしてたみたいだったけど、九州で行ったソロ討伐企画にはもう一つの意味があった。
それは、みんなの強さを測るというものだ。組み合わせを考える上でも参考になるので、分けて考える必要はない事なんだけど、僕にとっては重要な事なんだ。
僕のステータスは、相変わらず器用値特化のフラットタイプで、器用貧乏を絵に描いたようなステータスだ。
唯一の救いは、MPが高い事だけど、それだって、後衛の2人とそう変わらない。ゴーストから得た『ドレインタッチ』の性能も、期待ほどの効果ではなかった。
ならば、僕のアドバンテージは、器用値と手札の数、これだけなんだ・・・。
『みゅ〜、ご主人様、みゅ、幸太は悩んでないと生きて行けないのです?エミリアくらい楽観的な方が、人生楽なのですよ?』
確かに彼女は楽観的に見えるね。だけど、それは信じるという信念あってこその楽観主義だ。誰にでも出来る事ではない。
特に、母親という生き物を信用出来ない僕には、難しい・・・。
『パッパラパーで、お気楽に生きるのです!』
パッパラパーって何語?
ミューズは最近、エミリアをディスるのに容赦がないね。
「この間の企画なんだけど、実はみんなの強さも見てたんだ。」
『ミラが勘づいたように、裏があったと幸太は言うのです?』
「その辺、ミラはさすがだよね。」
ちょっと深読みし過ぎて、僕が深謀遠慮でもしてるかの様に、勘違いしてる気がするけどね。
あれは、本当に勘弁してほしい。
『幸太専門家のミューズとしては、忸怩たる思いなのですよ。まさか、ミラに遅れを取るなんて!!』
それ、最近のミューズのマイブームなの?
『それで、幸太は何が気になるのです?アデレードのバストなら101㎝なのですよ?』
「マジで!?」
でかっ・・・。そんな領域ありえるの?だって、同じ人類なんだよ?
こう?いや、こうかな?待て待て・・・、はっ!?
僕は今なにを!?
『正気に戻ったのです?何でそれでアデレードに襲いかからないのか、ミューズには不思議なのですよ?』
襲いかかる前に、心と身体が限界に達するからだよ・・・。
具体的に言うと、鼻血ブーだね。
アノ日は大丈夫だったのに、意識するようになってから、アデレードの色香に弱くなった気がする。
「・・・耐性が必要だよね。」
『色香耐性なのです?それともアデレード耐性なのです?』
「両方かな・・・。」
そのくらいないと、迫ったらコロッと死んじゃいそう。
想像で鼻血が出ないように、ミューズにおでこを冷やしてもらう。
『重症なのです。それで、ミューズにも話せない悩みだったのです?』
「いや、みんなの強さに、僕は焦ってるんだよ。」
ミューズが器用に、僕の頭の上で仰向けに寝転んだ。
デローンと伸びて、呆れている時のポーズだ・・・。
可愛いので、スマホで撮影しておく。
それにしても、よく僕の頭の上から落ちないよね。もう1枚撮っとこう。
角度が違うかな?遥に教わって、練習が必要だね!
もう一丁!
『ご主人様クオリティの爆発に、ミューズも耐え切れなかったのです・・・。スマホを返すのですよ。』
僕は、ミューズにスマホを返した。
あれ?一応それ、僕のスマホじゃなかった?
まあ、いっか。
『それで、ご主人様は、みんなのどういう所がすごいと思ったのですか?』
ん?
わざわざ言う必要ある?ミューズも分かってるだろうに。
言葉にする事によって、頭の中を整理させようって意図かな?
『まずは、遥から行くのですよ。』
「遥はやっぱりスピードだよね。今回の企画でも、モンスターを求めて縦横無尽に走り回って、僕らも付いて行くのがやっとだった。あと『スケリトル・ドレイク』の時の動きも良かったよね、パワーや質量をスピードで補って叩きつけてた。エミリアにも負けない働きだったよ。」
『じゃあ、次はそのエミリアいくのです。』
「エミリアはスピードも十分だけど、パワーと勝負勘だね。ああいう大物相手になると、彼女のパワーが活きて来るよね。今回はちょっと外したみたいだったけど、戦いの中で要所要所を押さえて動けてるよ。時々スポーツ選手なんかがやる、一足飛びな思考回路が、彼女の中にはあるんだろうね。」
普通の人は、こうなって、ああなって、だからこうするって、段階を踏む思考が行動を遅らせるんだ。
だけど、一流アスリートはそうじゃない。
問題の起こりから答えが、直接出て来るんだ。だからスピディーに動けるし、他の選手を圧倒出来る。そこが、選手のクオリティの差に繋がるんだ。
反射的な行動であったり、センスなんて言われる所だね。
『前衛最後のソフィアはどうなのです?』
「3階建てのビルに匹敵する、巨体の『スケリトル・ドレイク』に真正面から立ち向かったんだよ?それだけでも称賛に値するよ!なのに、最後まで崩れる事なくやり遂げた。パワー、防御力、技術、胆力、申し分ないよね!ああ、それに美貌もすごいね。」
『ご主人様にとって、ソフィアの美貌はおまけなのです。』
「そりゃあね。美人じゃなくても、ソフィアはソフィアだからね。」
なんだろう?
ちょっと、ミューズの反応に違和感がある。最近仲が良いから、何か思う所でもあったのだろうか?
『ふむ、次はミラいくのですよ!』
「ミラはやっぱり頭脳と破壊力でしょう。彼女の頭脳なくして、うちのパーティーの成功はあり得なかった。彼女のサポートがあればこそ、僕は大雑把な方向性だけ示せばよかった。彼女がサポートしてくれるなら、誰がリーダーをやってもきっと成功するよ。彼女の破壊力は、すでに人類最高の威力なんじゃないかな?」
ビックバンみたいな自然現象や、核兵器みたいな戦略兵器と比べてもしょうがないから、人類最高の威力と表現してみた。ミューズになら、伝わるだろう。
『破壊力ならアデレードだって負けてないのですよ!!』
「それは違う破壊力だよね。」
それを比べてはいけない。
ミラはあれで、気にしてるんだ・・・。
そのせいで、こっちにその破壊力を向けられても困るしね。
『アデレードはどうなのです?』
「装備面の強化のおかげでもあるけれど、低階層での損耗の抑止になってるね。それは、体力、MP、装備の損耗にまで及んでいるよ、楽が出来るっていうのは、実は精神的にも負担を軽減してくれる効果があるんだよ。奥の階層に進むには、アデレードの存在は欠かせないよ。」
『みゅう、一部ご主人様の集中力を削って余りある活躍なのです。』
うん、ついそっちに視線がね・・・。
「ミューズはね。」
『みゅ?』
「僕の、みんなの緊張を和らげてくれてるよ。最高のパフォーマンスを発揮するには、やっぱり緊張したままじゃダメなんだ。リラックスしてるか、高揚してるくらいが丁度いいんだよ。ありがとねミューズ。」
『みゅ〜〜!!みゅ〜!みゅ〜!』
ミューズが、大興奮でペチペチと叩いてくる。
まあ、痛くはないし、いいんだけどね。
可愛いので、ついつい撫でる。
だけど、事実なんだよね。
特に、エミリアやアデレードとのデートの時は、ミューズがいなかったらと思うとゾッとする。僕は意識が保てたのだろうか?
理性じゃない所が、我ながら残念な所だ・・・。
ああ、今後のアデレードとのデートどうしよう?
『今の録音を、みんなに送るか迷っちゃうのですよ!?』
をい!!?
違和感の正体はこれでしたね!
お気づきいただけたでしょうか?
普通は無理ですよね。だって、前振りしてないですから。
上手い前振りが、思いつきませんでした。
スマホの機能、本当に多様化していて、正直追いつきません。
もしかしたら、皆さんは使えてるのかなぁと思って、ネタにしてみました。




