27話
僕はさっさと帰って、ダンジョンに向おうと思ったけど、遥君に捕まってしまった。
胡散臭い沼田の奴だったら、振り切る事も辞さないところだけど。常識的で社交性が高そうな遥君が相手では、僕も足を止めざるを得ない。
主に、明日からの学校生活に支障をきたす恐れがあるからね〜。
仕切り屋って感じでもないけど、フレンドリーで接しやすいイケメンだ。
イケメンオーラが出過ぎてて、つい導火線を探したくなるほどなのに、点火するのを躊躇するほどのフレンドリーさだから、仕方がない。
今回は爆発させるのは見送ろう。
いや、出来ないけどね。
「じゃあ、チーム分けは、登録済みと未登録に分けるって事で。未登録の人は数が多いから、2つ3つに分けた方がいいかもしれないね。その辺は各自に任せていいかな?じゃあ、各自ご飯を食べて1時にギルドの前に集合で!みんな、また後でね!」
惚れ惚れするほどのリーダーシップだ。
結局、男女に分かれ、未登録と登録済みで分かれた感じだ。
思ったよりも登録済みが少ない。男子が5人で、いや僕を入れて6人、女子が5人、これにはエミリアさんも入ってる。
経験値の分散も理解していれば、ちょうど良い人数だ。
僕は1人の方が稼げるけどね。
僕にしつこくステータスやスキルを聞いて来て、自分のステータスも教えるって言った沼田の野郎は、未登録組に入ってやがった。
鑑定もしてないのに、何を教える気だったんだあの野郎・・・。
今後もあいつには、関わらない方が良さそうだ。
僕のアパートは、学校から15分とかからない。
部屋に入って、冷凍パスタをレンジにかけてる間に、レタスとトマトのサラダを冷蔵庫から取り出しドレッシングをかける。
朝に、一緒に作っておいたサラダだ。
解凍したパスタをサラダの横に並べて写メ、これを家族のLINEに乗せて、食事を開始する。
ダンジョンや今の生活に、父さんは理解を示してくれて、色々と協力してくれたけど。母さんが全くと言っていいほど理解してくれない。
その母さんを黙らせる為の処置だ。
学食にまで文句をつけて来るつもりはないみたいだけど、他の食事には口を挟む気みたいだ。
はぁ。
いつものダンジョン用装備に着替えて、気分を入れ替える。
これを着ると見た目はマヌケなのに、なんだかシャキッとする。
「・・・よし。」
僕が豊田に引っ越す時に、妹がなけなしのお小遣いで買ってくれた姿見で、自分の姿を確認して、家を出る。
早過ぎた・・・、別に腐ってないけど早過ぎたんだ。
僕のアパートからダンジョンもかなり近いからね。テキパキと動いたら時間を持て余すよね。
ギルドショップを眺めて時間を潰すか、少しでもダンジョンに潜るか。僕は少し悩んだけど、後者を選んだ。この間、いつものお姉さんにお小言を頂いたところだ、ショップには顔を出し難い。
ちなみに、怒った顔も素敵でした。
一応名札に都筑と書いてあるので、あのお姉さんは都筑さんなのでしょう。でも、お互いにまともに自己紹介もしていませんので、ここは身の程をわきまえて、これからもお姉さんで行く所存です。
僕はスマホに40分のアラームを設定して、ダンジョンに潜る事にした。
ギルドの前につく頃には時間ギリギリになるけど、必要なら走ればいい。【支援魔法】のかかった僕の走る速度は、なかなかのものになっていた。
これで遅れる事はないだろう。
・・・フラグじゃないからね!?
平岩君によって、幸太さんは結構オタクになっていたんですね〜。
念の為、本当にフラグじゃありません。
時間厳守!




