25話
ついに、入学式の日を迎えた。
式自体は長いだけで、特に語る事はない。
だけど、教室に入ってからはそうはいかない。
入学式の時は、クラスの人が男子〜女子と横並びに並んでいて気づかなかった。
同じクラスにエミリアさんがいた。
「あれ?コウタお前高校生だったのか!」
「やあエミリアさん。それはお互い様だと思うな、絶対に年上だと思ってたよ。」
目鼻立ちがクッキリとしている欧米人の年齢は、なかなか日本人には見分けられない。
割とスタイルも良かったりするからね。
「なに?コウタはあたしをババアだと思っていたと言うのか!」
「違うって!?もうちょっと上の、大学生とか社会人かと思ってたんだよ!」
「うむ!それならよし!」
あっ!からかわれたのか。
僕が緊張してたのが分かったのかな?それとも、自分の緊張を解く為だったのかもしれないね。まあ、どっちでもいいけどね。
「翻訳機を着けてても、日本語が読める訳じゃないんでしょう?授業は大丈夫なの?」
「なんとかするさ、その為の勉強もしてるしな。まあ、重要な書類なんかの時は、スマホで撮影して翻訳機能に頼って、書類に記入すればいいしな。」
「へぇ〜、そんなアプリがあったんだね。無料のアプリなら僕も使ってみたいな。」
「残念ながら、あたしの使ってるアプリは有料だ。まあ、補助金は出てるらしいけどね。」
日本なのか、ドイツからなのかは知らないけど、豊田市に大規模な誘致をしたんだから、その辺のアフターケアも万全か、さすがに国のやる事は範囲や規模が違うよね。
「あれから『ゴブリン・ナイフ』が欲しいって、オヤジに言ったんだけどさあ。これ以上小遣いはやれんって、オヤジの奴が言うんだよね!娘の命を守る武器なんだぞ!そのくらい、なんとかしてくれよって思う訳よ!コウタはどう思う?オヤジの奴ひどくない!?」
「ああ、まあ・・・、安い物でもないし、仕方ないんじゃない?」
オヤジって・・・、何でこんな翻訳の仕方なの?まあ、エミリアさんには似合うけどさあ、もうちょっとソフトな変換が出来ませんかねぇ、翻訳機さん!
「ちぇ〜、コウタはオヤジの味方かよ。」
「いや、そうじゃないけどさ。そうだ!ゴブリンからドロップも出たでしょう、それを売ったお金で買ったら?」
「みんなラーメンに消えた。」
「え〜・・・。」
本当にもう、エミリアさんだなぁ。
普通にしていれば、見惚れるほどの美人なのにね。ラーメンラーメン言ってる姿を僕は知ってるから、おかげで、見惚れるなんて事はない。
「ダンジョンの話をしてるなら、俺も混ぜてくれない?」
「もちろん。良いよねエミリアさん。」
「ああ、かまわないよ。」
そこにはイケメンが立っていた。
透き通るような白い肌に、整い過ぎてる顔、ふわりとパーマをかけた髪が、彼の印象を柔らかくしている。
日本人・・・だよね?
「俺は皇 遥、まあ、どっちもどっちだけど、良かったら名前の遥の方で呼んでくれ。」
「僕は藤川 幸太だ。僕も幸太でお願い。」
「エミリア・シュナイダーだ、名前の方が良いならエミリアでかまわない。」
なんか、すごい人が出て来た。
中性的な顔立ちに女性っぽい名前、なのに仰々しい苗字。
キャラが濃いなぁ・・・、あっ、そんな事いってる場合じゃないね。
「・・・すめらぎって、やっぱり白に王って書くあれ?」
「そうそう、冗談みたいに聞こえるかもしれないけど、本名だよ。」
「すっげー・・・。」
やっぱりすごい名前だ・・・。
僕じゃあ、萎縮してとても名乗れない。
「『こうだい』じゃないんだね、『こうた』は幸多いって書くのかな?」
「いや、僕のは幸太いって書くんだよ。」
「細く長くじゃないいんだね、なかなか欲張りだな〜。」
「あはは!そうだね。」
「むう、漢字は難解で話についていけない。」
「ああ、ごめんごめん、そうだよね!」
「悪かったね。そうだ、ダンジョンの話をしてたね。俺もダンジョンには興味があってね、登録だけは済ませたんだけどさ、まだ行ってないんだ。親が許してくれなくてね、でも今日から暇をみて行ってみるつもりだよ。」
さすがはイケメン、話題転換もスムーズなものだ。
ここまで綺麗だと、男でも、爆発しろ!っとか思えないなぁ。
「今日から解禁って訳だ。」
「そうそう!そんな感じだ。情報はそれなりに集めてるつもりだけどね、生の話が聞けるなら聞いておきたいね。」
「うんうん!あたしの話はきっと参考になるぞ。」
おっ?エミリアさんが積極的に動いた。
まあ、これだけのイケメンだからね、仕方ないかもね。
そして、なんで君は僕と話したそうなの?
エミリアさんクラスの美人なら見慣れてるとか言ったら、爆発しろって言うからね?
そこは僕でも遠慮しないよ?
「コウタのは、すご過ぎて参考にならない!どこの特殊部隊の人かと思ったからな!」
「え、え〜・・・、エミリアさん、ひどくない?」
僕は、エミリアを応援するつもりだったのに・・・、いきなり後ろから刺された気分だ。
君も爽やかな笑顔で引かないでくれ!!
「すすきに潜んで奇襲するとか、背後から身体の中心を狙って攻撃して、まずはゴブリンを動けなくしろとか。普通の人は言わないぞ?」
「なんで?僕的に考えて、改良していった、合理的なゴブリンの狩り方なのに・・・。」
「コウタの動きは合理的すぎるんだ、完全に軍隊のそれかと思ったからな!」
「幸太君はすごいんだね!」
イケメンに褒められても嬉しくない!
何良い顔してんだよ。そんなの喜ぶのは、周り集まって来たクラスの女子くらい・・・。
いつの間にか、僕らの周りには、男女問わずクラスメイトたちが集まっていた。
うわぁ・・・。
学校を出すのは、最小限にしておきたい!
学生だから、全くなしってのは、私には無理です。




