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23話

 時間が経つのは早い。この間中学を卒業したと思ったら、もう明後日には高校の入学式だよ。自由にダンジョンに通い詰められる日々が、終わってしまうと思うと、少しだけ寂しい気がした。


 だから僕は、今日も早朝からダンジョンに潜ってるんだ。


「昨日賑やかだっただけに、今日は寂しいなぁ。」


 こんな言葉も溢れ落ちる有り様だ。

 本当に昨日は最高の1日だった、綺麗な女性とダンジョンで楽しくゴブリン狩り、あれ?なんかちょっと猟奇的な感じになっちゃったな。

 綺麗な女性と楽しくLv上げ?これなら楽しそうだよね、よしよし。


 昨日の事を思い出すと、もう1つ良かった事がある。

 もちろん【支援魔法】の習得だ。

 効果も、継続時間も、だいたい把握した。

 能力値が全て+5されて、それが2時間も持続される。


 昨日、彼女たちを見送ってしばらくしたら、身体がガクッと重く感じた事から、継続時間は2時間ジャストで間違いないと思われる。


 例えるなら、トランポリンでしばらく遊んでから、地面に降りた瞬間の感じに似ている。

 重力を無視するように飛び跳ねてたところから、普通の環境に戻る。あの時の感じは忘れ難い、世界の重力が急に重くなったように感じるんだ。

 だから、支援切れのタイミングは注意しないといけない。

 ゴブリンと戦ってる最中に切れたりしたらどうなるか、考えたくもない。




 おっとゴブリンだ。

 初日は1日1ゴブリンで満足していた僕だけど、それからは時間もあったので、もうちょっと狩っていた。

 ゴブリンもそこそこ居るし、人もそこそこ居るから、当然遭遇率もそこそこだったから、それなりにやれていた。

 1階層は1匹〜多くても4匹で出てくる。僕はこれまでほとんどソロのゴブリンを狙ってきたから、1日の討伐数はそんなに稼げなかったけど、今の【支援魔法】が持続している時間なら・・・。


「・・・獲物発見、4匹か・・・、逃がさないように殺ろう。」


 小声でボソリとつぶやき、僕は唇を湿らせる。


 ゴブリンに気づかれると応戦される恐れがあるから、気づかれる前に出来る限り接近して、奇襲で数を減らしたい。

 相手に何もさせずに蹂躙じゅうりんする、それが最も安全に繋がると、僕はこの数日間で学んだんだ。


 身を屈め、すすきが群生していない所を探して接近する。群生地を抜けようとすれば、当然すすきがガサガサと揺れ動いて、ゴブリンに気づかれる可能性が増す。


 だから、人が通った跡や、ゴブリン自身が移動に使った獣道を探って、そこを辿って接近するんだ。

 視界が良くないここでなら、僕でも上手くやれば10mくらいまでなら近づける。


「・・・。」


 ゴブリン共はもう目の前。

 何度やっても緊張する瞬間だ。

 ここからは、視界を広くボンヤリもって、相手の僅かな変化も見逃せない。

 ゆっくりと、焦らず、ゴブリンとの距離を縮めていく。


 9m、8.5m、8m、今日は随分と調子が良いなぁ。


 6m、マジか?まだいける?


 5m・・・、気づかれた!


 4匹のうちの1匹が、僕に気づいて何か喚いたのを機に、僕は突進する。

 当然、僕に気づいた個体は後回しだ。

 未だ辺りをキョロキョロと、見渡してるゴブリンから始末する。


 次に狙うは、今気づいたばかりの奴だ!


 後は適当に近くにいる奴!!


 あれ?1、2、3・・・、3匹しかないぞ?



 なんと、僕に最初に気づいたゴブリンが、背を向けて逃げ出しているじゃないか!?

 お前、状況判断が速すぎるだろう!


「・・・逃すか!」


 思わず、口から言葉が漏れる。

 それでも小声なのは、辺りから別のゴブリンを呼んでしまわないように、自分の意識をきちんとコントロール出来ているからだ。

 ダンジョン内で叫ぶとか、騒ぐとか、正気の沙汰じゃないからね。


 僕がすぐにゴブリンを追うと、ゴブリンが蹴躓けつまずいてこけた・・・。

 僕はその挙動に呆れながら、走る速度を落としてゴブリンを倒そうと思ったら、『宝箱』を発見した。




『宝箱』、ダンジョン内で時々見つかる、謎のアイテムボックス。誰が、何の為に、何を、いつ、設置しているのか、全てが謎に包まれた存在だ。

 まあ、ダンジョン自体も謎だらけだけどね。




『宝箱』ネットで調べた時も載っていた。

 木箱、鉄箱、銅箱、銀箱、金箱。『宝箱』どれも移動させられないし、中身を取り出すと消えてしまうそうだ。

 噂では虹箱もあるって言われているけど、どうも、これは信憑性のない情報だ。

 上がっていた写真も銅箱までで、形状がどれもそっくりなので。ハンドメイドのフェイク画像じゃないかって言われていたくらいだ。


 それが今、僕の目の前にある。

 間違いようがない、本当にあの画像とそっくりだ。



 しかも金!金箱の『宝箱』だ!



 お、お、お、おち、落ち着け僕・・・。

 宝箱も、モンスターがドロップするんだと思っていた。

 いや、フィールドにもある事は知っていた。うん、だけど、他の人がすでに回収してるだろうと、勝手に思っていたんだ。


 まずは、まずは何をすればいい?

 ノック?入ってますかー?ダメだ、まだ僕は動揺している。深呼吸、深呼吸。


 すーはー、すーはー。


 落ち着いた、まずは、ゴブリンだろ僕!!?

 僕は慌てて辺りを見回すも、見つけられなかった。

 居ないし!完全に逃げられた!!




 僕は座り込んで脱力する。


 まあ、いいや。

 それよりも『宝箱』だ!


 思い出せ、思い出せ僕。

 注意事項にはなんて書いてあった?

 トラップに注意、トラップの解除に必要な道具は次の通り。

『ガスマスク、ペンチ、聴音機、針金ないしアイスピック。そして、何よりも大事なのは罠に対する知識です。』

 うん、役にたたない。


『丸さん』の動画では、擬似宝箱を使った解説もあったはずだ。

『『宝箱』に盾になる物を押し当てて、覚悟を決めて思い切って開ける!!これを漢解除おとこかいじょと言う!』

 ・・・マジか〜。


 あれを見た時には、笑ったものだけど。まさか僕がその『漢解除おとこかいじょ』をする時が来るとは、思いもよらなかった。



 金箱だ、覚悟を決めるしかない。


 盾になる物も持ってないし、僕はなけなしの抵抗を試みる。

 せめて宝箱の後ろから、ふたの横を両手で持って、ポンチョで鼻と口を隠して、毒ガストラップに備えながら・・・、開けた。


 パシュっと音がして、僕の目では追えないほどの速度で、宝箱から何かが飛んでいった・・・。

 なけなしの抵抗を試みた自分を、褒めてやりたい。


 あれは恐らく毒針系のトラップだ、毒にしろ麻痺にしろ、当たればソロの僕は終わりだった。


 今更怖くなって来た・・・、身体の震えが止まらない。


「い・・・、生きてる・・・。」


 これが毒か何かの影響じゃなきゃあ、ただの恐怖だ。

 汗がドバッと出て、視界がだんだんと暗転して行く。

 僕は焦らずに、ペットボトルを出して水をゆっくりと口に含ませた。続いて塩分補給タブレットを出して、摂取する。


 極度の緊張やストレスに限界を迎えると、人は意識をシャットダウンさせようとする。

 生存本能がどうとか、心を守る機能がどうとか言われているらしい。

 僕はその限界が、極端に低いらしく、時々こんな事になる。

 小学校の学芸会でも、緊張して倒れるたちだ。




 色々と落ち着いてきた僕は、『宝箱』の中身を回収してギルドに向かった。

狭心症とかいったでしょうか?

診断を受けた訳ではないので、私がそうなのかは分かりませんが、スーっと視界が暗くなってくのは、なかなか恐怖を覚えます。


ほっとくと意識が飛ぶので、適切な処置が必要なんじゃないかな?たぶん。

私みたいに、救急車で運ばれたくなかったら、適切な処置を覚えた方がいいと思います!

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写真は撮らなかったんだなー
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