21話
ラーメン屋を満喫した僕たちは、のんびりした足取りで再びダンジョンに向かっている。
特に、何か打ち合わせした訳ではないけど、僕は今日も午後の部を始めるつもりだった。だけど、彼女たちはよかったのだろうか?
「僕は、午後もダンジョンに行くつもりだから、方向はこっちでいいんだけど、3人は良かったの?」
「夕方からミラが用事があるけど、それまでなら問題ないわ。」
「せっかく色々聞けたし、試してみるつもり。家に帰るのは、それからでも遅くない。」
「しっかり食べたから、少し身体を動かしておかないと、肥りそうだしな。」
三者三様な答えだ。
特にエミリアさんは、明け透けにぶっちゃけて来た。
3人とも、ほっそりしていてスタイルも良いし、日頃から意識してコントロールしているのかもしれない。
その割に、エミリアさんは、かなりのグラム数がある大盛りを平らげていたけどね。
大盛りは僕でも無理だ。だって普通のラーメンより、麺のグラム数が多いんだよ、それを大盛りなんて、とてもじゃないけど僕のお腹には入らない。
あれだけの麺が、一体エミリアさんのどこに入って行ったのかと思うほどエミリアさんは細い、まさに女性の神秘だ・・・。
それに、ミラさんはあんなに騒いでいたのに、しっかりと僕とソフィアさんの会話を聞いていたようだ。
凄まじい耳だ。
「これまではストレス発散に、遊び感覚でダンジョンに潜っていましたが。幸太の話を聞いて、少し真面目に情報収集をしてみる気になりましたよ。」
「ミラの家はやる事が多いし責任重大だからね。ストレスも溜まるわよ、私で良ければいつでも言って、付き合うわ。」
「あたしも付き合うぞ!」
僕が聞いて良いのか迷ったけど、ダメならダメって言うだろうから、聞いてみた。
どうも、ミラさんのお父さんは、豊田市に新たに出来た大使館の出張所のお偉いさんらしい。
僕の感覚だと、あくまでも親の仕事だけど、彼女たちの話を聞いていると、どうも一家族として大使の仕事にあたるものらしい。
在日ドイツ人には、当然男性も女性もそして子どもたちも居る、それら立場の違う人たちの、不安、不満、不便を聞き出して、なくしていくのがフィッシャー家のお仕事なんだそうだ。
それは、確かに責任重大だ・・・。
美人さんと、お知り合いになれたと浮かれていた僕としては、大変申し訳ない気分だ。
「ということで幸太、もう1回連携のレクチャーをよろしく。」
「それは・・・、構わないけど。」
僕としては、自分が実践したものじゃないから、少し不安が残る話だ。
1人が正面から相手の意識を引きつけ、残りのメンバーが隙を見つけてダメージを蓄積させていく連携が、堅実で安全だと思って説明した。
ゲームでも、MMORPGとかハンター物とか、こんな感じじゃないだろうか?
だから、ついついタンクがヘイトを取ってとか、一般人に優しくない説明になってしまった。
だけど、仕方ないよね?
一緒にゲームをやってる人たちとかってさぁ、普通にこの手の話がスムーズに進むから、自分の喋ってる言葉や単語は、一般常識だって思っちゃうんだよね。
僕も、ついに凡人を脱してきただろうか?
一般人に、ラノベとかMMOって言葉が通じなかった、実体験を参考にしてます。
私なんてビックリして、一瞬思考が止まってしまいました。




