183話
生配信に参加してるパーティーが皆んな集まった。
国家事業に参加する人たちだけあって、皆んな時間厳守だ。時間前にはパーティーなり、代表者なりが到着していて、他の参加者とおしゃべりしたり情報交換をしたりして時間を潰していた。
数日がかりの、日付けを跨いだ配信をするために、協力してくれるパーティーを探してる人たちもいた。
ダンジョンに泊まり込む事によって、より奥を目指そうって事だろう。僕らみたいに、走って移動する事で日帰りを可能にしてるパーティーの方が珍しいんだ。
ただ、ただ奥に行くだけでは配信が生である必要性がない、なので、リアルタイムならではの臨場感や、見せ方が問題になって来るのだろう。
お互いの配信内容の違いを考えて断ったり、その違いこそを面白さだと考えて受けたりと、様々な交渉がなされたりしているようだ。
「・・・うちにはお声がかからないね。」
『当然なのです!皆んな打倒ダンジョン・フィル・ハーモニーに燃えているのですよ!?それなのに、うちに声をかけて来るような寄生やろうはいないのですよ!』
「そうだね、テスターに選ばれるほどの人たちだからね。」
「ああ、選考の時点でそういった恥知らずは排除されてるな。」
お声がかからない事に、若干の寂しさを感じてつぶやきが漏れただけなのに、皆んなから責められるかの様な返答が返って来た。
「この企画も残り後僅かですからね。皆さん最後のアイディアを模索されてるところでしょうね。」
「このままじゃあ、うちがトップ独走で終わってしまうからな!連中も必死だろうさ!」
「せっかくの公のお仕事ですからね、皆さん足跡を残したいでしょうからね。」
アデレード先輩の言葉に、皆んなが揃って頷いている。
どうも、僕だけが的外れな事を言っていたようだ。
「ほう、アデレードも分かって来たじゃないか。明確なキャリアなどあってない様な探索者業だが、今回の事業は間違いなくキャリアになる。今後の世界での活躍を見据えれば、ここで手を抜く訳にはいかないさ!」
『むしろ、多少無理してでも結果を出しにいく所なのです!』
チラリと他のパーティーに目を向けるミラとミューズは、好敵手の出現を歓迎してる様子だ。
非常に楽しそうで何よりだね。
「ですが運営側としては、怪我人はともかく、死人は出さずに終わりたいところでしょうね〜。」
「じゃあ今日は、ソフィアの言うその辺の注意喚起が本題か?」
なるほど、気の弛む終わり直前こそが危険だと、そういう事かな?
ありえなくはないね。
エミリアの発言に僕が納得していると、そんな僕の考えをミラがバッサリと否定する。
「あり得ないな。それだけならメールを1通出せば済む、わざわざ呼び出しをかける程の事じゃない。・・・視聴数も悪くないから、テコ入れは考えられないし・・・。」
「むしろ、現状では想定よりも少し良いくらいじゃないかな?」
「そうなのですか?」
「うん、そのはずだよ。」
ソフィアの疑問に遥君がシレッと答えた。
ギルド側というか政府側の想定数を、なぜ遥が知っているかの方が僕には不思議なんだけど・・・。
「あれだ!CMを載せて一稼ぎするつもりなんだろ!?」
エミリアが馬鹿な事を言っている。
政府主導の事業に、CMなんて絶対にあり得ない。
『「「それだ!」」なのです!』
ええー!?
ミラ、ソフィア、ミューズの3人が、エミリアに賛成してる!?
「待って、待ってよ!国の事業なんだよ?そんな事ギルドが勝手にやったら、怒られるだけじゃあ済まないよ!?」
「幸太、国の事業だから載せられる広告もある。」
『そうなのですよ幸太!』
ミラは兎も角、ミューズまでもが教師面だ。なんか悔しい。
言い出したエミリアもまだ分かっていないようで、仲間が居る事に少し安心した。だけど、意外な事に、遥君もまだ理解出来ていないようだ。
アデレード先輩も首を傾げている、そんな姿も色っぽい。その姿がたまりません!
それは置いといて、真面目に考えるか・・・。
「あっ!分かった!!」
なにぃ!!?
エミリアに先を越された!
マズイ!いや、別に良いけど、なんとなく焦るんだよね!
「・・・ああ、なるほど。ミラ、これは軍隊や探索者募集の広告ですね?」
「正解だアデレード。」
アデレード先輩が答え言っちゃった!
僕ももう少しで・・・、うん、出て来ないね。出て来ないよきっと。
時間になって、近藤さんによる説明があったけど、ミラの予測が的中していた。




