181話
『ジェリーフィッシュ』を倒した直後に痛みだした僕の右眼が、金色に輝いていた・・・。
「・・・両目とも魔眼になっちゃった・・・。」
『さすがご主人様なのです!もう、何を驚いたら良いのか、ミューズには分からなくなって来ているのですよ!?』
酷い言い草だ。
こんな事になって、僕は結構動揺してるっていうのに。
まあ、だけど、同情されたり、慰められるような事でもない。むしろ、おめでとうとか、祝福される事態ではなかろうか?一応、新たにスキルを得たんだからね。
でも、素直に喜べない自分が居るわけで・・・。
「これもドットアイって言うのかな・・・?」
『それを言うならオッドアイなのです!ドットアイじゃあ、眼が点になっちゃうのですよ!!まあ、この場合はその方が正しい気もするのです。』
『はっ!?ご主人様、高度なギャグなのです!』
「違うからねミューズ。単純に間違えただけだからね、ギャグじゃないから。」
こんな時に一世一代のギャグをかますとか、普段からネタを探してるミューズや遥君とは違うから!僕には、そんな芸人魂は育ってないから!
さっきから、右眼の痛みと共に頭痛が続いている。
映像と共に、頭の中に魔法の使い方が流れ込んで来てるんだ・・・。
さっき見た『ジェリーフィッシュ』の魔法が僕の中に・・・。
しばらくして情報の流入が終わると、右眼の痛みや頭痛も溶けて消えていった。
どうやら、今の現象が痛みの原因みたいだ。
『ジェリーフィッシュ』のみならず、『ゴブリンキング』の使った魔法まで流れ込んで来た。
情報過多が激痛の原因ってところかな、僕は適当にあたりをつける。
それにしても痛かった。
僕の新たに習得したスキルは、青魔法とか敵の技って言われる部類のもののようだ。
僕が立ち上がると、ミューズがすかさず声をかけて来た。
『大丈夫なのですか幸太?』
「うん。もう痛くないよ、大丈夫。心配かけたねミューズ。」
『痛かったのですか!?』
「う、うん。」
ミューズが急に大声を出すので、ちょこっと驚いた。
頭の上から身を乗り出して、ミューズが僕の顔を覗き込んでくる。
『痛いなら痛いってちゃんと言うのですよ!?我慢しちゃダメなのです!心配するのですよ!もう、大丈夫なのですか?痛くないのです!?』
泣きそうな顔で必死に語りかけて来るミューズに、僕は嬉しくなってしまい、ついつい笑みがこぼれる。
『聞いているのですか!?笑ってる場合じゃないのです!!』
ありゃ、怒られた。
僕は、そんなミューズを胸に抱き直し、頭を撫で回す。
本当にミューズは良い子だ!
「ごめんね。心配かけたねミューズ、ありがとう。」
『みゅ〜。分かれば良いのです!もっと撫でるのですよ!!』
ミューズの要請に応え、僕はしっかりと撫でる。
『それにしても、1匹目からドロップするとは、今日のご主人様はつきまくってるのです!』
あまりの事に忘れていた、僕は『満月の羽衣』を狙ってジェリーフィッシュを倒しに来たんだった。
ミューズに言われて、慌てて辺りを見渡し、落ちていたドロップを回収した。ダンジョンに吸収されたり、ゴブリンに盗まれる前に気づけて、本当に良かった・・・。
『スキルを獲得したって事は、高い確率でLvアップなのです!これから早速スキルの検証をするのですか?』
「う〜ん。スキル自体は大体分かっちゃったんだよね。習得条件も見る事っていう、かなり楽な条件っぽいんだ。」
『習得条件?ご主人様、説明が足りないのですよ。』
「ああ、そうだね。実は・・・。」
ミューズに言われて、これがモンスターから魔法なんかを習得するスキルである事を説明した。
『本当にご主人様は・・・。どう驚いたらいいのか、ミューズは迷ってしまうのです。』
不思議な事だ。
普通に驚いてくれたらいいと、僕は思うんだけどね。
『このスキルは、武技は習得出来ないのです?』
「どうなんだろう?習得出来る武技が分からないから、今はまだなんとも言えないね。」
『みゅ〜。』
「あっ!だけど、『ゴブリンキング』の抗いし者は習得出来てないね。」
『あれは武器付随の武技なのです、なので武技の習得が出来ない事の証明にはならないと思うのですよ?』
それもそうか。
納得の意見だ。
『それとも、これからゴブリンキングをいわしに行くのです?確認になるかもしれないのです。』
「・・・いわすって・・・、ミューズは輩じゃないんだから、そんな言葉使いは止めようね。」
『分かったのです!止めるのですよ!』
こんな言葉使いを教えるのは、細井さんか今野さんくらいだろう。今度会ったら注意しておこう。
だけど、ミューズの提案自体は惹かれるものがあり、僕はこれを受け入れた。
習得した魔法の数々を試してみたいっていうのは、人の業だよね。
特に、僕としては『眷属召喚』って魔法が気になるんだよね〜。『ゴブリンキング』から習得した魔法だ、きっと僕にとって奥の手になってくれるに決まってる!
幸太君の眷族はそのうち出します、直ぐには出しませんのでご容赦下さい。




