表示調整
閉じる
挿絵表示切替ボタン
▼配色
▼行間
▼文字サイズ
▼メニューバー
×閉じる

ブックマークに追加しました

設定
0/400
設定を保存しました
エラーが発生しました
※文字以内
ブックマークを解除しました。

エラーが発生しました。

エラーの原因がわからない場合はヘルプセンターをご確認ください。

ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
171/455

170話

もうちょっとジェシカさんです。

今日は、お隣さんに散々稼がせて貰って、3階層から2階層に上がる階段で別れて、玲奈たちと収入を山分けして、ボロアパートまで帰って来た。


本国に報告を済ませ、なけなしの細巻きタバコをやっているところだ。


私の安月収には、懐に厳しい1本だけど、偶には自分にご褒美が必要なのよ。

そんな言い訳を自分にしながら、アパートの前で紫煙を燻らせる。



「おかえり幸太君。」


「ああ、ジェシカさんただいま。ご無事で何よりです。」


『ジェシカ!すぱーってやるのです!すぱーって!』


ミューズちゃんのすぱーが何の事か分からないけど、とりあえずタバコをふかしてみせる。

風向きを考えて、幸太君に煙が行かない様に注意する、彼は、意外とこういうの嫌いそうだから。


『おおー!ジェシカが煙を吐いてるのです!不思議な感じなのです。』


どうやらこれで良かったみたい、ミューズちゃんのご希望に添えて良かったわ。


「意外と早かったわね?もっと遅くに帰って来るかと思ってたわ。」


『今日はドロップがつきまくってたのです!!それこそ持ち運べないほどドロップしたので、サッサと切り上げて帰って来たのですよ?』


私は、思わず細巻きを吹き出してしまった・・・。

なけなしの1本がぁ・・・。


『・・・ま、まだイケるのです!3秒ルールですよ、3秒ルール!』


地面に落ちたタバコを未練がましく見ていると、ミューズちゃんがフォローしてくれた。

大人としてどうかとも思ったけど、こんなところでカッコつけても後悔するだけだと諦めて、拾って吸い直す。


格好がつかない事甚だしいけど、安くないのよ!?


「・・・何よ?悪い?」


驚いた顔でこっちを見ている幸太君に、つい八つ当たりしてしまった。

照れ隠しなので、どうか許してほしい。


年下相手に、私は何をやっているのやら・・・。

我が事ながら、情けなくなってくる。


「・・・いえ、勿体無いですからね。」


「そうなのよ!安月収の私の、密かな楽しみなんだから!これだけは、誰にも邪魔させないわ。」


「おっと、じゃあ僕は早めに退散しますね。」


おっと、しまった!


「ごめん!そういう意味じゃないのよ。・・・えーっと、そう、今日はありがとうね、おかげでしばらくはリッチに暮らせるわ。そう・・・、分け前は良かったの?って聞こうと思ってたんだけど。さっきの話を聞くに、聞くだけ無駄って感じね。」


さっき、本国に彼の報告を上げたところで、その後ろめたさに、ついつい早口になってしまった。


『今日の稼ぎは、軽く50億ってところなのです。ご主人様は短時間で・・・、ジェシカ灰が落ちるのです!!』


ミューズちゃんが、ゆったりとタバコをふかす真似をして、教えてくれた。


「あっつぁ!?あっつ、あっつ!あつ〜・・・!」


私は驚き過ぎて、思考が止まってしまった。

その所為で、手の甲に灰を落とす事になるなんて・・・。


嫁入り前のお肌に火傷がぁ!?だけど、こんな事で、ポーションなんて使ってもらえないわよね・・・、とほほぉ・・・。


「・・・あぁ〜、治るかしら・・・。」


幸太君が、咄嗟にペットボトルから水を掛けてくれたけど、これは水膨れになりそう。

いっぱい稼いで、良い気分だったのにぃ、ショックだわ・・・。おまけに、またタバコを落としたし!


座り込んだ私を、ミューズちゃんが心配そうに覗き込んで来る。


「大丈夫!大丈夫だから。ミューズちゃんの所為じゃないからね、心配しないで。」


『幸太ぁ・・・。』


ミューズちゃんが不安げに幸太君を見上げると、幸太君は仕方なさそうに笑ってみせて、ミューズちゃんを安心させる為に撫でていた。

私も撫でてあげたいけど、こんな小さな子を不安にさせた事に、バツが悪くて、そっぽを向いてタバコを咥え直した。

彼の、ミューズちゃんを見つめるその眼は、慈しみに富んでいた。


「ジェシカさん、手を出して下さい。良ければ治しますよ。」


「・・・はっ?」


私が惚けているうちに、彼は私の手をとり治してしまった・・・。

もはや、私は驚きに開いた口が塞がらない!!




『ジェシカは、もう少し落ち着くのですよ?こんなにしょっちゅうタバコを落としてたら、そのうちアパートに引火するのです。』

せっかくの一服中に、ご愁傷様です♪

評価をするにはログインしてください。
ブックマークに追加
ブックマーク機能を使うにはログインしてください。
― 新着の感想 ―
少し前に覚悟とか言ってたし それから支援魔法→回復魔法の披露とくれば意図的か… 例の剣でパワーレベリングして深層のドロップで実際に50億稼いだか? 幸太なら無理な話しじゃないからな… それで手を出…
 意識した上でわざとスキル使ってませんか? エージェントと知って牽制しているのか、或いは圧力や害意を撥ね除ける目処が立ったのか。
今回の稼ぎ「軽く50億」は無理があり過ぎると思います。50億稼げるなら今までも毎回、数千万~数億円を稼げていて幾ら装備品に高額支出が有るにしてもボロアパートにまだ住んでいる理由に説得力が無いと思います…
感想一覧
+注意+

特に記載なき場合、掲載されている作品はすべてフィクションであり実在の人物・団体等とは一切関係ありません。
特に記載なき場合、掲載されている作品の著作権は作者にあります(一部作品除く)。
作者以外の方による作品の引用を超える無断転載は禁止しており、行った場合、著作権法の違反となります。

この作品はリンクフリーです。ご自由にリンク(紹介)してください。
この作品はスマートフォン対応です。スマートフォンかパソコンかを自動で判別し、適切なページを表示します。

↑ページトップへ