17話
探索者登録をした日以来の、ステータス鑑定だ。
緊張する。
僕は鑑定室に入って、深呼吸を1つする。
鑑定用アイテムを盗まれないように、監視にいつものお姉さんがついて来ている。
だから、この間の事を思い出して、深呼吸したんだ。
さあ、行くぞ!
鑑定!
キター!Lvアップしてる!
やっとLv1だ!
ステータスの上がりが人によって変化する事はない。
その辺ダンジョンは、ゲームみたいに公平だ。
HPとMPを合わせて10、他の6つの能力値で7だ。
1つだけ違いの出る所がある、武技と魔法だ・・・。
これだけは、完全にランダムだと言われている。
人の人生が懸かっているというのに、検証して発表した国があったのだ。各国も表面的には批判したものの、そういったデータは喉から手が出るほど欲しい物だった。
その為、大して厳しい処置などはなかったし、ニュースにもあまりならなかった。
そのスキルとも呼ばれてる物だけど、Lv5までに何かしら出ないと、探索者を続けて行くのは苦しいんじゃないかとも言われる。
誰かが計算したのか、それとも推測なのかは分からない。
ただ1つ言えるのは、有った方が便利!
そのスキルが・・・
「キタァーーーーーーーァ!!!」
「幸太君。ギルド内では静かにね?」
ごめんなさい!
僕は速攻で謝った。
それにしても僕は運が良い!
武技も魔法も出る、キチガイみたいな人は置いておくとして。
普通はそんなに出ないんだ、それが出たんだから運が良いだろう。それも、Lv1でだ、これからのダンジョン探索が捗る事、間違いなしだ。
「それで、何が出たの?」
「えーとですね〜・・・って、言う訳ないですよね?」
「よろしい。これからも、親しげにスキルやステータスを聞き出そうとする人が居ると思うけど、今みたいにきちんと対処しなさい。」
お姉さんは分かっていて、僕がちゃんと認識してるか確認して来たみたいだ。
ありがとうございます、僕は静かに会釈しておく。
言葉で伝えるのは、さすがに恥ずかしい。
こういった対処が求められるのは、レアなスキルが出た途端、行方が分からなくなる事件が、後を絶たないからだ。
通称、研究協力登録が、義務化されていないのもこれが原因だ。
なので窓口のお姉さんも、しつこく勧めてきたりはしない。
僕は口元がニヤけるのを抑えきれないまま、鑑定を続ける。
何しろ、僕の魔法欄には【支援魔法】の文字があった。支援魔法ならば、その性能を知っておかなければいけない。
これが、攻撃用の武技や魔法だったなら、調べる事すら難しかっただろうけど。支援魔法ならば、効果と持続時間を調べるだけだ。
奇しくも、僕は今、鑑定室に居る。
自分に【支援魔法】を使って、自分のステータスを鑑定すれば効果は分かってしまう。
後は魔法が自分に掛かった時の感覚が分かれば、効果時間が分かる。
木の枝を数分毎に、端からポキポキと折っていくのはどうだろうか?
同じ感覚で折れるうちは、魔法が持続してる事にならないだろうか?
魔法が切れたら、折り難くなるはずなんだ。
分からないけど、1度やってみよう。
時計を確認して・・・。しまった、木の枝なんか持ち歩いてないよ。
仕方ない、今は効果を調べるだけにしておこう・・・。
!!?
マジで!?
全部のステータスが+5って強過ぎじゃない?
力10の今の僕には1.5倍ですよ!?
はっ!?
後々使えなくなる、事故スキルの可能性も!?
いや、+5はどこまでいっても大きいですよ。
その上、どんなスタイルの人にでも恩寵がある。弱点をカバーして長所を伸ばしてくれる、僕好みの最高のスキルだぁ〜。
ぶぇ!?
MPが10も減ってる!?今使った魔法の所為か!?
消費MP10って・・・、今の僕、マックスMPが17しかないのですが・・・。
これに気づいて、僕は一気に冷静になった。
後は、魔法の継続時間だけだな・・・。
「ねえ幸太君、誰か人を待たせてるんじゃないの?大丈夫?」
・・・。
やっば!?忘れてた!!
幸太君のステータスをいちいち書くと、読みごたえがなくなるかと思って書いていません。
でも、こんな感じ。
Lv1
HP11
MP17
力10
素早さ10
体力10
器用さ20
魔力10
精神10
武技なし
魔法【支援魔法】
DEF6
MDEF5
多分あってると思う。